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春夏秋冬
「暑い?」
いいえ、寒いよ。
「今何月?」
7月
「変な話だなあ」
別に。
私はこんな時が流れていても良いと思っちゃうなあ。
「なあ街って、なんだと思う?」
そりゃあ人によって答えなんて違うんじゃない?都会でも田舎でも、島でもその人が街というならばそこは街になると思うよ、私は。
「そうか…でも、誰もいない所は何と言えばいい?それは荒れ地や廃墟と言ってもいいのかな?」
確かに誰もいない場所を街というにはとても寂しい。侘しい。
…でも、そうとも限りないと思うよ。ところで何故そんな事を私に聞くの?
「それは……ううん、いいや。何となく、それとも無く聞きたかっただけなんだ。この先は雪が降っているらしい。どうか、どうか気をつけて。また春に」
じゃあね。
200×年、確か7月の中旬くらい。
別にこんな暑い暑い時期に雪が降ってるわけもないけれど、いや、実は降っているのだけれども、理解も納得も出来る景色があっても。何処かの街であなたに会いたい。
…なんて勿体ぶった格好つけたセリフを言えるわけなんてないや。