森人 2
side バトラー
姫様をお運びしてやってきた森人の村ですが……
なんとも不躾な視線が周り中からこちらに向かっています。姫様に害さえなければなんとも思うところはないといいたいですが、少々煩わしいですね。
さてさて、姫様のご要望は確か冒険者の集会所でしたね。
まずはそちらに向かいましょうか。
その最中も姫様は、森人の街並みに目をキラキラして見ておられました。
はあ・・・・なんと可愛らしいのでしょうか。
これで本体であれば、そのお体をぎゅっと抱きしめて差し上げるのに…。残念でなりませんね。
集会所は武骨なものですが、さすがにきれいにはされているようです。これで汚い場所であればすぐさま行先を変更したのですが…残念です。中は、森人だけではなく獣人や亜人の姿もみえますね。
皆冒険者なのでしょう。皮鎧や金属の鎧など身に着けているのが見えます。
そこかしこから不快な視線がないわけではないですが、姫様のご希望に沿うようにするのが私の使命ですので…ああ、あそこのモフモフとかもらした男は後でローランにでも処理を任せましょう。
姫様が受付で話をお聞きになりたいとおっしゃっているので、暇そうな男の受付へ。
声をかけたまではよかったのですがねえ…
集会所へと入った時から私たちをガン見して興奮している変態女が、その受付の男を押しのけ受付場所に
恥もなく座ってきたんです。
ああ、姫様もあまりの愚かさに憂えておられます。これはもう目の前の害獣を処してもいいのではないでしょうか?
side バトラーEnd
受付での暴挙に思わず、うわあ…となったことは否定しませんが、すぐに処分とかはだめですよ、バトラーさん!めっですよ!!そんな残念そうな顔してもダメです!
それにしてもこの受付嬢さんは図太いですね。
受付の男性を押しのけバトラーさんの前に平然と座るんですから…。ちょっと肉食すぎませんかね?
こっちは貴女のせいで黒くなったバトラーさんをなだめるのが大変だっていうのに…。
side 集会所にいた冒険者
今目の前にはとんでもない美形な森人に、美人で評判のいい受付嬢が対応しているところなんだが。
今までにないぐらいに殺気立っているその森人にきづいてほしい。
事の起こりは数分前。
受付嬢はこの集会所でも評判のいい、巨乳な美人。まあ、相手によって態度を変えるとかいうことも聞くがそこもまあ仕方がないといわれている相手だ。
そんな彼女だが、このとんでもない美形の森人が入ってきた瞬間から目がマジだった。
これがガン見か…といえるぐらい凝視しまくっていた。
にもかかわらず、この美形森人はそんな視線なんて全く気にしたそぶりもなく腕に抱いたちっこい従魔?のようなものを大事に抱えなおしていた。そのあとは、ガラガラな男の受付へ。
そしてその受付男を横から吹っ飛ばしてその受付椅子をうばったのが彼女だ。
その瞬間の美形男からの殺気…。長く冒険者をしているがはっきりとかなわないと思った。
だが、受付嬢は気づきもしなかったのかいつもの倍ぐらいの笑顔と猫なで声で対応していた。
それだけですげえと思ったね。‥‥早く逃げろとも思ったが。
「あの、こちらで冒険者の登録をされますか?どちらの集落からいらっしゃったんですか?あ、登録用の用紙お渡ししますね」
相変わらず笑顔の受付嬢だが…目の前…見えてんのか?
完全に無視して倒れた男の受付起こしてるぞ?あ、受付嬢も気づいたか。
「ちょっと、邪魔しないでくれる!?今私が説明してるのに!」
受付嬢もさすがに無視されたと思ったのか、その飛ばした受付に八つ当たりして…また飛ばそうとして
何かにその手をはたかれ・・・・・・はたかれた!?
「きゃああああ、いたああああいいい」
さすがに受付嬢のそばに数人が心配して近寄っていたが、ほかは今何が起きたのかと警戒するほうがつよかったみたいだ。もちろん俺もそうだ。
一瞬見えた黒いもの。
あれはたぶん…あの森人が腕にずっと抱いていた従魔だろう。
愛玩用かと思っていたが…かなり強そうだ。
これから冒険者になるっていうのなら警戒していたほうがよさそうだ。
泣いて喚いているのがあの受付嬢だが、あの美形森人は全く動じもしてないどころか、従魔の心配してるっておい、そこは一応相手を心配するべきじゃねえのか?
あ、受付(男)も従魔に礼を言ってる。
あそこだけ和やかな空気できてるが…この集会所の空気どうしてくれるんだ?
side 冒険者 End