獣人 5
ジオウさんもエンジもすっかり満足したようで、雪山探索も十分堪能しました。
ということで、おなかがすいたんですが‥‥
今日はお弁当なかったですかね?
≪ないわけないじゃないですか!もちろん僕が持ってきてますよ!世界樹の実とベリー系をいくつか。あとしぼりたての果汁ですね≫
エンジがきたのは食事係も兼ねてたんですね。
さすが、世界樹の実も持ってきてますか。バトラーさんが私のインベントリにほぼ移動させていたのは知ってたんですが。
≪不測の事態が起こった時に、面倒ごとは少ないほうが良いからな。それがあれば、いざという時でも姫さんの食事は賄えるからな≫
≪まあ、そんなことはないとは思うんですけどね。なにせ、戦闘系使用人フルメンバーと影もほぼいますから。諜報係はそのまま配置していたとしても、十分戦争できるメンバーはそろってます≫
それだけ面倒なことが起きる可能性があるんですね…?
きっかけはあのキツネさんでしょうか。
どうも商売事にはしつこそうな相手でしたし、記憶がしっかり書き換えられていないとなれば、私の姿も覚えていて何かを企んでるかもしれないですね。
≪そうでなければ一番良いが…。まあ、グウェインとかいう森人にも今回のことは影から伝えているから一応の抑止力にはなると思うが、さてさて≫
ジオウさん、楽しそうですね?
≪そりゃあ、姫さん。バトラーたちがどうしてるのか楽しみでやれねえぜ?欲に目をかいた馬鹿どもを翻弄しているのが目に見える≫
…まあ、確かにそうですね。ただ、不測の事態っていうのが新種が来た場合ですよね?
どんな状態なのか…気にはなりますが…。
≪まあまあ、食事が終わってひと眠りしたあとで帰ろうぜ。それぐらいでちょうどいいだろ≫
≪じゃ、食事にしましょう!消化に悪いので難しい話はなしですよ。さ、姫様こちらに切り分けましたのでどうぞ≫
「ありがちょごじゃいます」
≪いえいえ、さあ、どうぞ≫
「いちゃやきます」
ふむう、相変わらず世界樹の実は格別においしいですね。あ、ジオウさんたちは現地調達なんですね。お肉の焼ける匂いがします。大きくなったら私もお肉食べれるようになるっていってましたし、しっかり食べておいしいものが食べれるようにならないとですね。
あ~…満腹です。そして、お眠の時間です‥‥。
お昼寝用のかごベッドに入ります。
≪おやすみさん、姫さん。ゆっくり休めよ≫
≪姫様、おやすみなさい。たくさん寝て大きくなってくださいね≫
はい…おやすみなさい・‥‥
side ジオウ
食事がすんですぐに眠くなるのは姫のいつものことで、今日も出先だが、変わらずベッドに入って丸くなっていた。数秒もしないうちに寝付くのはとてもかわいい。
≪寝たか≫
≪ぐっすりですね。あ~かわいい≫
今日は珍しくエンジと共に姫のおともについたが…あいかわらず胡散臭い。
≪エンジ、あっちの様子は?≫
≪胡散臭いなんてひどいなあ。…向こうは、獣人が数人メイズ対策で術士を連れてきているみたいですよ。メイズ事態に被害はないみたいですが、世界樹の様子を見に森人も近づいてきているらしくて、バトラーさんがキレてるそうです≫
胡散臭い面しても能力は影一だというのだから、腹が立つ。そして、こっちに居ながら向こうの様子が見えるというのも影の能力の一つだ。
今回こいつが同行したのもこの能力があるからというのが大きい。それにこいつは、影らしくない影だからな。姫さんも影とは思ってねえみたいだしな。
それにしても、あのキツネ野郎が神域に入ってから煩わしいのが最深部に近づくことが増えて、あの時返したことを後悔するばかりだぜ。あのタイガー種にくわせるんだったな。
ともかく、バトラーの予定では、姫が起きるまでには事を終わらせておくということ。うまく行きゃあいいが、姫が言っていたように新種とやらが来た場合は最悪こちらに転移だな。
≪いまのところ話にあった新種とやらは見えません。どうも、現在は外界の真人の国に滞在してるとかいうはなしでしたよ。ただ、あの獣人が怪しい動きをしていたので、こっちの情報が漏れていなければですが≫
≪はあ?ってことは、もしかしたら、その新種とやらに話が言ってる可能性もあるってのか…そうだった場合、くそ面倒だぞ?≫
≪そうなんですよねえ。とりあえず、こっちに興味を示さないでいてくれればいいんですけどね。姫様のためにも≫
≪全くだ。‥‥もどかしい気がするが、こっちはこっちで姫さんがリフレッシュできるようにしっかり動けばいいか≫
エンジの言うことを聞けば、何となく引っかかることがなかったわけじゃないが、ひとまずは姫さんの目覚めまで、俺もひと眠りするかね。
side ジオウ End