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其ノ二

《色彩魔術》


色彩魔術カラーアーツとは、"色素"の性質を利用し、自身のイメージによって、色素を操作し、様々な事象を発現させる技能の総称。


特にコレといった区分分けは存在しないが、一般人に使用許可の降りているものは、


身体機能強化・細胞活性化・浄化・殺菌・解毒・水球・微風・火球・防壁の九つのみである。


それ以外のモノは、法律により、使用許可が必要になる。



琥太郎と宗は、遅刻寸前で教室へと入る事に成功する。


すると、「珍しいな、お前達が遅刻間際なんて。何かあったのか?」と声を掛けてくる男子生徒が一人。


「おはよう、雅也」


「おはようさん」


雅也、と呼ばれた彼は「あぁ、おはよう」と返すと、再び聞き返す。


「それで、何かあったのか?」


「いやさ、コンビニで買った朝食を泥棒猫に盗られてさぁ……追いかけてた」


「らしいで?」


「……」


雅也は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの真顔に戻る。


「相変わらず勿体無いよなぁ……」


「せやなぁ……」


雅也はもっと愛想を良くすれば良いのに、と二人は思う。


雅也も宗に負けず劣らずのイケメンなのだが、持ち前の真顔と言葉遣いから、少し近寄り難いイメージを持たれている。

しかし、いざ接してみると、細やかな気遣いの出来る気さくな人間だ。


そのギャップがイイ!! と、一部の女子から大ウケしている。


「毎度毎度何の話だ?」


まぁ、本人に自覚は無いが。


「いや、何でもないよ」


「それよか、もうすぐHRやで?」


「……まぁいい」


そうして三人が席に着いたところで、教室の引き戸が引かれた。

そして、そこから艶やかな緋色の髪を後ろでポニーテールに結んだ、スーツ姿の美女が入ってきた。


「おはようございます」


「「おはようございます」」


担任教師の挨拶に生徒が返事を返す。


「はい、ありがとうございます。それでは出席を取るのでウィンドウを操作してください」


「「はーい」」


生徒達は各々利き手を外から内へと手をスワイプさせる。


すると、生徒達の目の前に、半透明のウェイバープレートのようなものが出現する。


そして、生徒達が操作を終える。


「はい、確認出来ました。お休みは……桧並さん?」


首を傾げる先生。それもそのはずで、桧並と呼ばれた生徒は教室に居る。


それも琥太郎の隣に。


先生、麗奈寝てました」


「zzz……zzz……」


桧並ひなみ 麗奈れいな。それが今、琥太郎の隣で寝ている少女の名前であり、琥太郎のクラス──1-1の担任教師の桧並ひなみ あかねの娘である。


しかし、茜の容姿はとても10代の娘が居る母親のものでは無い。ギリギリ成人迎えたか? 程度の見た目にしか見えない。現に、街に繰り出せばナンパの一つ二つは日常茶飯事の様である。

しかし、この事を知っているのは、ごく一部の人間だけである。


「……御笠みかささん、麗奈を起こしてください」


半ば呆れながら茜は言う。


「ははは……わかりました……」


琥太郎も半ば呆れながら麗奈を起こす。


「おい、麗奈、麗奈」


「んん……zzz……」


「麗奈、起きろ」


そう言いながら、身体を揺する。


「んん……うう……う?」


「ほれ、もう起きろ。出席取ってるぞ」


そう言われた麗奈は眠気眼を擦りながら、


「……琥太郎、おはよう」


と、挨拶をした。


「おはよう、麗奈。今出席確認してるよ」


「ん……」


眠そうにしながらも、出席確認を終える。


「御笠さん、ありがとうございます。確認出来ました。はい、それでは今日の連絡事項を────」


その後は至って普通にHRは過ぎていき、終わり際、茜は麗奈に一言。


「あぁ、桧並さん。HRが終わったら、職員室に来て下さい(ニッコリ)」


「……はい……」


まるで、この世の終わりを目の当たりにしたようなか細い声で、麗奈は返事を返す。


「よろしい」


対する茜は女神のような微笑みを浮かべていた。

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