表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルユーザーは優しい夢を見る  作者: 熊出
スキルユーザーは優しい夢を見る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/99

陽動部隊、前進

 夜の暗闇があることに、月夜は感謝する。

 帰らずの森を包む闇への恐怖が、紛れるから。

 今日は、月がない夜。暗闇が周囲を支配していた。


「主の気配はわかるな」


 零が、近接部隊を集めて言う。


「はい」


 月夜が返事する。


「へい」


 真昼が返事する。


「私達は、元々主を狩る部隊だったので」


 明日香が、苦笑混じりに応える。


「片っ端から切り倒していくぞ。後を残すと思うな。前の敵を一匹逃したら後ろから覆いかぶさってくると思え」


「はい」


 三人は、異口同音に返事した。


「いくよー、明日香ー」


 上空には、巨大な龍と燕とウィッチビジョンが飛んでいる。巨龍の背から、スカーレットが大声で話しかけてきた。


「あんたと共闘するのは癪だけれどね、スカーレット。ああ、気持ち悪い」


 明日香は、身震いするように言う。


「そう言わないで。私案外良い奴だよ!」


「……嘘つき」


 セレナがそう言ったのが、零の持つトランシーバー越しに伝わってきた。

 明日香は、星が落ちてきたかのような火球を作り上げる。


「こいつは大したスキルユーザーだ」


 零が感心したように言う。

 龍の上空に、似たような火球が二つ、出来上がる。

 小豆とスカーレットだ。

 三つの火球は、彗の炎の縄に引かれて近づいていき、融合した。

 気温が上昇し、周囲を昼間のような明るさが包んだ。


 そして、火球は放たれた。

 帰らずの森を飲み込むように、一直線に。

 木々が蒸発していく。そして、月夜達の進行ルートを作り上げていた。


「行くぞ! 目指すは、巨大主!」


 零が言う。


「はい!」


 月夜達は返事をして、零の後についていった。



+++



「……突入指示は、まだか」


 帰らずの森南方面。優助は、身動ぎ一つせずに言った。


「気負いすぎだよ、優助君」


 君枝が、優しい声で言う。


「俺達の肩に全部かかってるんですよ。気合は入れれば入れるほどいい」


「そうだね……」


「どっちなんですか君枝さん」


「はい?」


 君枝は、呆気にとられた。


「気合を入れたほうがいいのか入れないほうがいいのか」


 優助は毅然とした調子でそんなことを聞いてきた。

 君枝は戸惑うしかない。


「そんなこと言われても、私、困る……私案外普通の大学生だったから一般論しか言えないし……」


「気負って当たらないの」


 有栖が、優助の頭をはたいた。


「人間死ぬ時は死ぬんだ。焦ることはない。私達の突撃は正直はたから見れば自殺物だけど。皆、君を信じてる」


「……すいませんでした」


 優助はそう言って、しゃがんで項垂れる。

 緊張しているのだろう。それも、やむないことだ。皆の命がかかっている。

 その時、帰らずの森北側から、太陽のような光が放たれた。

 光は帰らずの森中央まで走り、その場で消えた。


「行くか、彗……」


 優助が切なげに呟く。


「今のはでかかったなあ」


 有栖がとぼけた調子で言う。


「巨大主とやらが蒸発してなきゃいいけど」


「彗は炎帝候補です。そんなヘマはしませんよ」


 いざその時を迎え、少し冷静になったようで、優助は立ち上がって言った。

 有栖が、トランシーバーに視線を落とす。

 突入の時は、刻一刻と近づこうとしていた。



次回『巨大主、荒ぶる』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ