スキルユーザーは優しい夢を見る(完)
かくして優助は流刑となった。
本州の外に追い出されたのだ
「なんでこうなったかなあ……」
遠くなっていく陸地を船上で眺めながら、思わずぼやく。
「優助が冬音と問題を起こしたからでしょ」
「それが主因なのかなあ……」
「どの道、あの一家で見守れるのは二人が上限だったということなのかもしれないね」
「凄かったなあ、母さんの混乱ぶり」
「そうだねえ。智子も現場を見たんだっけ。私だけ見損ねたな」
明日香は楽しげに言う。
「なにが楽しい」
「優助がどんな顔して女を抱くのか見てみたいという思いはある」
「襲ってやろうか」
「ちょっと経験を積んだら大胆になったね。けど、発言には気をつけることだ」
明日香は滑稽そうに笑った。
陸地がどんどん遠くなっていく。冬音がどんどん遠くなっていく。
「遠恋、大丈夫?」
「大丈夫だと思う。メールもあるし、電話もできる」
「そうだね。大人になったら、二人で相談して物事を決めればいい。人生まで親は支配できない」
「母さんにとっては悪夢だな」
「まあ、子供に勘違いさせちゃうような夫婦の会話を聞かせた優助のお母さんにも問題があるよ」
「そうだよなー。全部は勘違いから始まってるからな。怖い話だわ」
「さて。現地についたらスキルの修行からだっけ」
「とは聞いているがな」
「もっともっと、強くなろう。二人で、強くなろう」
「そうさな……」
優助は思い描く。
もっともっと強くなって、全ての反詠月勢力を駆逐したら。
その時こそ、自分と冬音の幸せな未来が開けるのではないかと。
かくして、スキルユーザーは今日も優しい夢を見る。
次回、しばしの休憩を挟んで第三章となります。




