第1話
こんばんは。
1話分しか投稿していないにも関わらずブックマークをしてくださった方、本当にありがとうございます。
涙がちょちょぎれそうです。…古いですかね?
少しづつ書いていきますのでゆるりとお待ちください。
あらすじ:ダンジョンをクリアして持って帰ってきた巻物が光った。
「ん、収まった…のかねェ…?」
光が収まり、目を開けてみたが、周囲に変化はなかった。
ビャクヤたちもそろそろと目を開けていくとともに、困惑した表情を浮かべて周りを見渡している。
「この巻物、どういった効果を―」
ハヤトが話し始めたその時、部屋の扉をノックする音と焦ったような声が聞こえてきた。
「え、誰なの…?」
5人以外の意思を持つ何者かが屋敷いることにミヤビが怯えた声を出す。
「ご主人、火急のご報告がございます」
「ん?この声はルシフェルか?…入れ」
「失礼します」
ビャクヤからの許しを得るとそう言い、入ってきたのは毛先が黒い、白髪の美しい少年であった。
ただ、その背中に右に黒、左に白の羽がそれぞれ2枚ずつ生えているために、普通の少年でないことが窺える。
この少年もまた、ヴィルフリートと同じでシュンによってカスタマイズされたルシフェルという名のサポートキャラであった(少年の姿なのは完全にシュンの趣味)。
サポートキャラはプレーヤーが会話をしに行くことで受け答えなどをするはずであったが、このように自分からプレーヤーに接触しに来たことで、この世界がゲームの世界ではなくなったことを5人に認識させるきっかけとなった。
「ご報告いたします。魔境の丘に建っていたこの拠点ですが、現在は周囲に木々が生い茂っており、森の中に移動した模様です」
「フム…それじゃあルシたん、周囲100 mを散策して魔物や植物に見覚えはないか確認してきてくれるかな?」
ルシフェルは司書であるに加えて鑑定のスキルを持ち、ゲームの世界の情報を全てその小さな体に入れ込んでいるため博識であった。加えてメインのジョブが暗黒騎士であるため戦闘面でも問題はなかった。
「かしこまりました。早速調査を行ってきます」
ルシフェルが退出した後で5人は再び会話を始める。
◇◆◇
「うん、これはひょっとしなくてもさっきの巻物の効果だね…」
「ええ、ルシフェルが話しかけてくることなんてありえないものね…」
「どこか別の世界に飛ばされたんだと思うです。みんなも確認するといいけどメニューのログアウト欄が消えてるのですよ」
「うええ、マジかよ…。というかこの格好で飛ばされたんだな、飛ばされるにしても現実世界の姿だと思ってたぜ。まあ俺は龍族だし格好いいから問題ないけどな!」
「それは私生活中に召喚されたからじゃないかな?ゲームをしている最中だったからこの姿のままになってるんだと推測できるけどねェ……どうして呼ばれたのかは想像がつかないよ」
「あたしもこの姿で何も問題ないわ。ステータスも同じだし、魔物が私たちより強くなければ生活はできるでしょうしね」
「うん、そうだね。これから生活費を稼ぐために冒険者になるっていうのも1つの案だけど、まずはルシフェルの報告を待とう。その先の話はそれから決めようか」
話が一旦まとまったところで、タイミングを見計らったかのように扉をノックする音がした。
「失礼いたします、お茶をお持ちいたしました」
スッと扉から入ってきたのは台を押したヴィルフリートで、その上には紅茶やコーヒー、ケーキなどが載っていた。
「いつも通りお茶だけを頼んだつもりだったけど…随分と気が利くね、ヴィル?」
普段は頼まれた通り飲み物だけを運んできていたのだが、今日は違っていたため、皮肉を込めて言う。
「恐れ多くも私にも自我が生まれたようでして。ちょうどいい時間ですし、飲み物だけでなく小腹を満たす物も用意すべきかと考えた次第でございます」
シュンは自分の皮肉がサラリと躱されたことに衝撃を受け、少しの間呆けた顔を晒していた。
「ありがとう、いただくですよ」
「んん?!このケーキ、すごく美味しい…!」
「これ、ヴィルフリートが作ったのか?」
「はい、時間がございませんでしたので簡単なものではありますが」
「うん、確かに美味しいね。炊事は料理人のジョブも持っているしヴィルフリートに任せてもいいかな…」
「承りました。炊事以外のこともお任せください」
そうしてお茶を楽しみ、数十分が過ぎたころにルシフェルは戻ってきた。
読んでくださりありがとうございます。
無い頭を捻って続きを書いておりますのでまた次話もよろしくお願いします。