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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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旅の終わり

<北の大国>の王宮図書館への道のりは、本当に呆気ないほどに順調だった。特にスリガンの出してくれた手形はすごく有効で、どの関所でも簡単に通ることができた。


スリガン自身、研究であちこち出向くことが多く、しかも優秀な学者だということで、<北の大国>内では知られた人物だったらしい。


そんな彼に出逢えたのも、私達がずっと旅を続けてきた結果なんだろうな。


でも、逆に、このことがなんだか<旅の終わり>も暗示している気がする。


そうだ。淡々と、ただ淡々と続けてきた旅の。


もちろん、王宮図書館への道のりの途中でもいくつか仕事はこなしつつではあるものの、私達は三週間ほどで、王都へと辿り着いた。


「ここが、<北の大国>の王都か。別に他の国と大して変わんねえな」


アーストンの呟きが、まさに私達全員の印象だった。北にある分、冬は寒さが厳しいと聞いてたけど、今は夏だ。気温はそんなに高くなくて、むしろ人間には過ごしやすいに違いない。


街の作りも、そこを行き交う人々の姿も、なるほど様式や容姿には多少の違いは見られても、そんなに突拍子もなく異なる印象はなかった。人間は、どこに行っても人間だ。


それだけの話なんだと感じる。


そして……


「王宮図書館へはこちらの道で合ってますか?」


私がたまたま通りがかった果実店の店員にそう問い掛けると、さすがに一瞬、ギョッとしたような様子にはなるけど、いかにも<冒険者>っていう身なりを見ると、『ああ…』と納得した様子で、


「ええ、この道を真っ直ぐですよ」


と親切に答えてくれた。


「ありがとう」


私はお礼を言いながら、他の国でもよく見掛ける赤い果実を四個、買った。いかにも仲間で一緒に食べるためにって感じで。


もちろん私は食べないものの、四人組だから不自然にならないようにね。一個については、カインとセリスで分けて食べてもらう。


でも、それは別にどうでもよくて、


「しっかりと通じたな」


アーストンが果実を食べながら感心したように言った。


そう。これまでの国々は、何だかんだと交流があって、主な言語を二つばかり話せれば、簡単な日常会話くらいはできるところばかりだった。だけど、ここ、<大いなる神精ルーゼナンドの加護を受けし誉れ高き世界の宝>では、他の国とはかなり異なる言語が使われていて、かつ、他の言語は(表向き)一切使われてないそうなので、ここの言葉でないと通じないんだ。


つまり、私が話したのは、<大いなる神精ルーゼナンドの加護を受けし誉れ高き世界の宝>の言葉ということ。


ちなみにここで言う<大いなる神精ルーゼナンドの加護を受けし誉れ高き世界の宝>というのは、<北の大国>の大基になってる、王宮があるこの地域のことだ。


<大いなる神精ルーゼナンドの加護を受けし誉れ高き世界の宝>という名は、<北の大国>そのものの正式名称だけど、ことさらこの名前で呼ぶ時は、この地域を指すそうだ。


そこの言葉を、私は、流暢に話してみせたんだ。



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