貴重な文献
こうして、私が<大トカゲ>の動きを鈍らせて、そこにカインの投げナイフとセリナのボウガンで、目と脚を潰していく。こうして弱らせて、そこにアーストンの全体重を掛けた槍の刺突で首の骨を砕き、とどめを刺した。
糸で縛り付けられて私を放すことができない<大トカゲ>の命が消えていくのを、感じる。
仕事とはいえ少し憐れにも思えるけど、遺跡の探索のために駆除した形にはなるんだけど、実はこうして倒した獲物自体が、冒険者の取り分にもなるんだ。<大トカゲ>は、肉も骨も血も皮も鱗も、すべてが高値で取引される動物でもあって、牧場もあったりするくらいでさ。
しかも、今回のような天然ものは特に高値で取引される。さらに今回のは稀に見る大物だから、もしかすると、スリガンから払われる依頼料よりも高くなるかもしれない。
美味しい臨時収入だ。
もっとも、名を売ってそれで仕官の道に進めばもっと収入が増え、しかも安定的にもらえるから、やっぱりそっちの方がいいっていう冒険者がほとんどだけどね。
けれど私達の場合は、そもそもの目的が違うから。
こうして、一週間の期限を設けて始めた探索の仕事は、<大トカゲ>を運び出すのに、この後、夕方まで掛かって、遺跡内での探索は翌日の一日で終わり、結果、四日で終えることができた。
四日で終えても一週間掛かってももらえる依頼料は同じなので、早く終わればそれだけ得になる。もっとも、
『早く終わったんだから、まけてくれ』
と依頼料を値切ってくる依頼主もいるけどね。
だけど、スリガンの場合は、
「ありがとうございます。おかげで貴重な文献を手に入れることができました……!」
と喜ぶ一方で、
「でも、ププリーヌ様はこれでもう行ってしまわれるのですね……」
って、子供みたいに寂しそうな顔でそう言った。
すると、アーストンは、
「まあ、予定が空いちまったし、もし、今回見付かった本とかを俺達にも見せてもらえるってんなら、残り三日、留まってもいいかもな。もちろん、プリムラがそれでいいって言うならだけど」
とか言い出して。
「本当ですか!?」
この時の、スリガンの嬉しそうな貌。
こうなると私も、断る気にもなれなくて、それに今回見付かった書物には私も興味があったから、しばらく留まることにしたんだ。
しかも、三日のはずが、そのまま一ヶ月、留まることになってしまった。
なにしろ、今回見付かった書物の中に、すごく興味深い記述が見付かったんだ。だから全部の書物を読むことになったんだよね。




