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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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スリガン

スリガンが評価してくれるのはありがたいんだけど、彼は、自分の屋敷には戻らず、私達と一緒にこの小さな家に泊まり込むことにしたみたいだった。正直、これじゃ寛げない。


しかも、私のことを根掘り葉掘り聞いてこようとする。


だから私は言ったんだ。


「私と違ってみんなは人間なので体を休めないといけません。なので、外の物置小屋で話しませんか?」


いくら雇い主だからって、こちらの体調管理にまで支障が出るようなのはさすがに困る。するとスリガンも、


「ああ、これは失敬。では、そうしましょう。皆さんはごゆっくりお休みください」


素直に従ってくれた。


その様子からも分かるけど、悪い人じゃないんだよ。ただとにかく自分が関心あること以外には気が回らないだけで。根っからの研究者なんだろうな。


そうして、私とスリガンは、家の脇に建っていた、農具入れの物置に移動した。家の方は宿泊所として使うためにある程度は綺麗にされてたけど、さすがに物置の方はそのままで、壊れた家具や農具、いつから置かれてるのか分からない藁束とかが散らかったままになっていた。


なのに、スリガンはまったく気にした様子もなく、自分用のアルコールランプを吊るし、それどころか、足が一本折れた椅子は自分に、背もたれは壊れてるけど足はまあちゃんと揃ってる椅子は私に差し出して、むしろウキウキした様子で腰かけた。その上で、


「では、お話をお聞かせください」


身を乗り出して尋ねてくる。


『やれやれ……研究者っていうのは本当に変わり者が多いな……』


私はそんな風に思いながらも、ナフィの手引きで<ライオンみたいな王様の国>を脱出してからのことを改めてかいつまんで話してみせた。


「ふんふん…なるほどなるほど……!」


彼は、魔法人形としての私の能力や成り立ちももうだけど、加えて、魔法人形がどんな風に人間の社会に溶け込んでいるかということにも強い関心を持ってるみたいだった。


東方の島国のメイクを施すことで異文化の地からやってきた人間のふりをして他人の干渉を回避していた私にいたく感心したらしく、いや、正確には、異文化のメイクを施すだけで他の細かい違和感には思いが至らなくなる人間の心理というものに興味を引かれたらしくて、


「魔法人形が人間そっくりに作られる理由がそこからも分かりますね!」


とか声を上げていた。


確かに彼の言うとおり、よく見れば人形と分かる私達魔法人形だけど、だからといってあんまり違和感があっては上手く人間の社会に溶け込めない。それを、メイクや服装によって緩和できる程度には人間に似せて作られているというのが窺えるね。



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