この調子で
まさかの数十年ぶりの再会と思いがけずもたらされた情報に、アーストンとカインとセリスはちょっと興奮してるみたいだった。
「よ~し! この調子で突き止めるぞ!」
「お~っ!」
なんて声を上げてるけど、私とジルは冷静だった。
ジルは、今もあんまり分かってないっていうのもあるし、私は、『ここからまた何十年も掛かるかもしれない』と思ってたからね。
そうだ。ここまで来るのだって何十年も掛かった。しかも、何十年も掛かってこの程度しか分かってない。それが現実だ。
だから私は期待せずに遺跡の探索へと向かった。元々私は、有限の命を持つからこそ夢や希望といったものに依存する傾向のある人間とは違い、ほとんど永久不滅に等しい存在なんだ。私に施された術式を解いて無に還してくれる術を持った人間はもういない。夢や希望に頼る必要がないがゆえに、何かに期待することもない。
そうして辿り着いた遺跡は、どうやら屋敷の跡みたいだった。それも、人里から離れた、そんなに大きくない屋敷跡。貴族が休日に一人で過ごすために作ったものか、それとも、あまり人目に触れさせたくない物を秘蔵しておくためのものか。
「この種の遺跡には思わぬ遺物が残されていることが多いのですが、ここには凶暴な獣が棲み付いていまして、我々だけでは調査ができないのです。軍にも協力をお願いしましたが、軍はこの種の調査については軽視していて、鼻であしらわれてしまいました」
助手を伴って遺跡近くまでついてきたスリガンが、そう説明する。
「だろうな。軍にとっちゃこんなカビ臭い遺跡なんか何の価値もないだろうし。魔法が使えるようにならないとなったらそれこそ」
アーストンが、腕を組み苦笑いを浮かべながら呟いた。
「そうなんです。だから冒険者の方にお願いするしかなくて……」
スリガンのその言葉には、
『だからお金が掛かるんです……』
というニュアンスが含まれてるのも感じる。なにしろ今では、冒険者でさえ、遺跡の探察には乗り気じゃないし。その分、報酬を弾むことで何とか請けてもらおうとするものの、来るのはほとんどが不慣れな初心者ばかり。それでも、ただ遺跡の探索を手伝うだけならまだしも、今回のように獣などが棲み付いていると、失敗することも少なくないそうだ。そうなるとまた依頼しないといけなくなって費用もかさむ。
研究者達には頭の痛い話だろうな。
でも、
「おっしゃ! 任せとけ! 俺達はこの手の仕事にゃ慣れてるからよ」
アーストンが、引き締まった顔で応えた。
「任せとけ!」
カインとセリスが続いて胸を張る。まだ十歳だけど、その表情には自身が溢れてる。
そんな三人を、私とジルが冷静に見守ってたのだった。




