世代を跨いだ旅
「さて、心機一転。改めてよろしくな」
アーストン、ジル、カイン、セリス、そして私とで再び旅を続けることになり、アーストンがそう言って手を差し出してきた。
「うん。よろしく……」
この<世代を跨いだ旅>が、ただ私のためだけのそれでないことが分かるから、素直に私も応えられる。もし、これが私のためだけだったら、彼らの人生を費やさせてることに納得できてなかっただろうな。あくまで彼らが彼ら自身の人生を生きる<ついで>で私のことを調べてくれてるだけに過ぎないのが伝わってくるから、受け入れられるんだ。
そう。<ついで>なんだよ。それが主たる目的じゃない。
私は、魔法使いがきちんと手順を踏んで私に施された術式を解除するか、この世界に満ちる<マナ>が尽きるか、そのどちらかでないと終わらないんだ。そんな私が人間達の人生を浪費させるなんて、それこそ、<悪魔的行為>ってものだと思う。別にそんなこと望んでない。
こうして私達は、<北の大国>内で旅を続けた。
冒険者としての仕事は、他の国と同じく、用心棒、遺跡の探査、獣の駆除、そういうのが主だった。
なんだかんだ言っても、人間の暮らしなんて、生き方なんて、そんなに極端には違わないってことだろうな。
当然か。<人間>なんだから。これが、人間と、私のような魔法人形だったら大きく違ってるところだけどね。
ところで、私がナフィと一緒にいてトーマとライアーネに助け出された時にいた国に戦争を仕掛けた<北の大国の王様>は、もうずっと前に亡くなったって。
その跡を継いだ王様は、<魔法>というものについてはあまり関心がないらしい。
それどころか、
「魔法などという、すでに廃れたカビ臭い迷信ごときに頼るなど、愚の骨頂。そのようなものを当てにしていては、国は栄えぬ!」
とか言って、今ある技術を高めていくことを推奨してるらしい。だから私のことももう探してないそうだ。
ちなみに、もし私のことがバレた時には、無理に抵抗せずに言うことを聞いて、協力することにしてる。だって、ナフィの研究で、
「たぶん、もう人間が魔法を使えるようになることはないだろうね。ここまで分かってる範囲でいろいろ試したけど、ぜんぜん、使い物にならないし。百人に一人くらいの割合で、相手をちょっと痺れさせる程度の雷撃の魔法が使えたり、小石を動かせたりっていう程度のが使えるようになるだけなんだ。そんなの、奇術でもできることだしさ。意味ないよ。長く魔法が廃れてた間に、人間自身の素養が失われちゃったんじゃないかな」
ということが分かってきたそうだし。つまり私がいくら人間に協力したって意味がないんだよ。人間は、本当に無駄なことをしてきたってわけ。だから逆に気の済むまで協力して思い知らせてやればいいって話になってるんだ。
そして、そんな無駄なことに時間と手間を費やすのは愚かしいってことに気付く人間もちゃんといるって話だね。




