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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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旅を続ける理由

あ、そうそう。ナフィの話が出たからついでに言っておくと、彼女も結婚して今は三人の子持ちだって。


だけど根っからの研究家な彼女は、子供のことは乳母にまかせっきりで、子供達からも<母親>だとは思われてないって話だったな。ちなみにナフィの子供達を育てた<乳母>は、ライアーネの、レリエラの母親だった。


最初は、まだ子供だったナフィの身の回りの世話をするために遣わされたそうだ。ライアーネが、レリエラが家を捨てて出て行ったことで少し心を病んでしまって、それを癒すという目的もあったとか。


私のことで両親との関係が壊れてしまったレリエラと違って、ナフィは、落ち着いて研究に打ち込める環境があればそれ以外はどうでもよくて、割りと素直に<娘役>をしてくれたから、レリエラの母親も彼女を本当の娘みたいに大事にするようになっていって。


しかも、彼女が助手の男性と結婚して子供ができると、それこそ熱心にその世話に集中したって。


正直、レリエラとの関係は今も完全には修復されてない。あの時の両親の判断は仕方のないものだったと頭では理解できてるけど、それですべてを水に流せるほど人間は単純な生き物じゃないからね。


だから、レリエラの名は捨ててしまったし、冒険を終えても故郷には帰る気がないし。


ただ、同時に、ナフィとの手紙のやり取りの中で、自分と両親の簡単な近況とかについては触れて、お互いの無事だけは確認してた。わだかまりはあっても、名前は捨ててしまっても、だからといって完全に切り捨ててしまえないのも人間の情というものか。


人間には、本当にいろんなのがいる。私はここまでの旅の中でそれこそいろんな人間に触れてきた。


たぶん、普通に<魔法人形>として人間達の日常に紛れていた頃よりもいろんな人間に。


あの頃はたぶん、それこそ王族とか貴族との中だけで人間に触れてたんだろうと思う。


『セレイネス王国の王子様は人でなし』


みたいなことを考えたのも、その所為かもしれない。ごく一部の限られた種類の人間ばかりを見ていたから、ラブレターを捨ててしまう王子のことが許せなかったんじゃないかな。


だって、今なら、『何か事情があったのかもしれない』って思えるし。


私自身でたくさんの人間を見てきて、たくさんの人生に触れて、もう本音では、私がちゃんと本来の宛先の王子様の下に赴いて王女様の気持ちを伝えられたのかどうかが分かること自体、どうでもよくなってきてるから。


こうしてトーマ達と旅を続ける理由になればそれでよかったんだ。



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