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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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受け継がれる想い

『どうやら俺の旅はここまでのようだ』


それは、もう実際には何年も前から考えていたことだった。古傷の所為でそれまでこなせていた探窟や警護の仕事が十分にこなせなくなってきていたんだ。


かと言って荷役などの仕事も同じ。精々、日がな一日棒立ちで周囲に睨みを利かせる警備の仕事くらいしかまともにこなせなくなっていた。それすら、一日立ちっぱなしだと辛いそうだ。


そんなだから、若いアーストンやジルについて歩くのさえおぼつかない。


反対に、アーストンとジルは成長し体も大きく強くなり、今では単純な力でもトーマやライアーネに勝っている。冒険者としての仕事もこなしている。


そして何より、アーストンとジルの脇に、子供が二人、立っていた。


アーストンとジルの間に生まれた子、カインとセリスだ。カインとセリスは、それぞれ、幼かった頃の両親そっくりの男の子と女の子だった。双子だ。


年齢は十歳だけど、生まれついての冒険者だったカインとセリスは、それぞれ投げナイフとボウガンの使い手で、二人で力を合わせれば猪さえ倒してしまうほどなんだ。


トーマは、カインとセリスが、これからの旅についていけるようになるまでなんとか持ちこたえようというのもあったみたいだ。そして、十分にそれができると判断したから、後は自分の息子とその嫁と孫達に託そうと決心した。


トーマは言う。


「本音としちゃあ、俺自身が成し遂げたかったっていう気持ちはある。けど、俺やライアーネだけでそれをするには、世界は広すぎるし、人の世の歴史は長すぎる。


でも、海賊として縛り首になるはずだった俺がこんな歳まで生きられて、ライアーネと添い遂げられて、シェリーナとアーストンを迎えられて、さらにはカインとセリス、そしてシェリーナのところにも、リアンナ、シャイニー、クランツ、ボイド、ヨーセンと、合わせて七人もの孫にも恵まれた。


こんな痛快なことがあるか? 『生まれてきたのが間違いだった』とまで思った俺が、こんな幸せを掴めたんだ。この上、全部を望んだら、それこそ罰が当たらあ。


俺は、自分の人生に悔いはない。お前達はお前達の人生を生きろ。ただ、その『ついで』でいい。ププリーヌのことを頼みたいんだ」


そのトーマの言葉に、アーストンは、


「ああ、分かってる。プリムラは、ププリーヌは、俺達にとっても恩人だ。彼女がいてくれたから俺や姉さんは生まれてくることができて、ジルは生き延びることができた。俺は、その恩に報いたい」


と胸を張り、


「なあ、ジル」


と声を掛けられたジルは、


「うん……プリムラは私のお母さんだから……」


まだ少したどたどしい喋り方だったけど、はっきりとそう言ってくれたのだった。



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