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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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伝聞情報

用心棒の仕事を引き受けた酒場の店主は、<セレイネス王国>を、<卑怯者の国>と称した。


だけどそれは、まったくの伝聞情報でしかないから、店主自身、どこまで正しいのか知らないらしい。


でもそれは、これまで得た情報の多くも同じだった。本に書かれている情報すら、まったく食い違っていたりする。解釈が違っているだけならまだしも、<起こったこと>自体がまったく別だったりするんだ。


特に、『どっちの所為だ』『どっちに責任かある』的な話になると顕著だった。


人間は、『自分に責任がある』という話にすることを嫌う傾向があるというのがこれで分かる。『起こってる事実が違う』というのはつまりどちらかが、もしくは両方が嘘を吐いているということに他ならないからだ。


そうだ。『どちらか一方が嘘を吐いている』だけじゃなくて、『相手により責任があるように見せかけるために嘘を吐く』という場合もあるからね。


だけど他方では、本当にどうでもいいことについては事実そのままに伝えていたりもする。


私達が知ろうとしているのは、『どこにどういう国があって、そこにどんな人が暮らしていたか』っていうだけの話だから、たぶん、そんなに捻じ曲げられていないんじゃないかな。


でも私達は、『誰の責任』だとか『誰が悪い』とか、そんな話には関心がない。ライアーネも、<貴族の娘>として暮らしていた時には、<自分達に都合よく捏造された改変された事実>というのを散々教え込まれたそうだ。彼女の国がどうして貧乏だったのかも、『どこそこの国の所為』っていう話になっているらしい。なのに、ここまで調べてきた本の中に、彼女の国にまつわる記述があって、それによれば、いつぞやの国王が、すごく日和見的な対応をして周りの国々から不評を買い、それで自分達に非常に不利な条件で条約を結ばされたことがそもそものきっかけだった的な記述があったり。


「確かに、あまり気分のいい話じゃないけど、こっちの方が辻褄が合ってて納得できるかな……」


ライアーネは、呆れたようにそう呟いたりもしてたな。


とにかく泣き虫で自分に都合の悪いことは認めたがらないところのあった彼女も、トーマと結婚して冒険者になって旅から旅の暮らしを続けて二人も子供を生んでってして、随分と逞しくなったと思う。


人相だってすっかり変わって、綺麗な顔立ちはそのままだけど、パッと見の印象はいかにも冒険者らしい、抜け目のないふてぶてしいそれになったんじゃないかな。


正直言って私は、今の彼女の方が好きだ。



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