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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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魔法を失伝させたのは

今はまだこうやって力を振るうことで守ることが必要な世の中なのは事実だと思う。だからかつては強い魔法が戦争にも利用されてたのは、私にも分かる。


だけどその一方で、今は私が使うような児戯にも等しいささやかな<雷撃の魔法>や<縮地の魔法>でも使い方次第で相手を圧倒できる世の中になった。戦争はまだまだなくならないけど、<雷霆の魔法>という、本当の(いかずち)自在に操って敵国の都そのものを根こそぎ焼き払ってしまうような魔法を失伝させたのは、きっと人間自身がそれを望んだからなんだ。


だから私は、ナフィと一緒にいた頃に、本の中にそういう記述を見付けても伝えてはこなかったんだ。


もし、誰かがそれを解読してしまったとしても、失われて何世代も経ってしまった今では、たぶん、魔法に必要な感覚そのものが失われてるのも確かだろうな。何しろ、本当に効果のあるお札なら、かつては触っただけで、素養のある人間なら誰でも分かったのに、今では、ちゃんとしたお札かデタラメなお札かさえ分からなくなってる。


そもそも魔法に対する感受性自体が失われてるんだと思う。そうなると、まず、そちらを磨く必要が出てくるけど、魔法に対する感受性そのものが失われてるんじゃ、どうやってそれを磨けばいいのかがもう分からない。私がこれまで読んできた魔法に関する本にも、それについては書いてなかった。


書く必要もないくらいに、かつてはそれが当たり前だったんだ。太陽の光が当るとそれが当たってることが分かるみたいに、<太陽の光が当たってるという感覚>があるから『太陽の光が当たってるからそう感じるんだ』って言われたら『なるほど』って思えるかもしれなくても、その感覚自体がなかったら、そんな風に言われても分からないよね。


だとしたら、もう、この世界に魔法が蘇る可能性はほとんどないってことだろうな。


もし蘇るとしても、それこそ空を飛ぶことをやめてしまった鳥に再び空を飛ばせようとするみたいに、本当に簡単なことじゃないだろうな。大昔に魔法使い達が少しずつ少しずつ世代を重ねて磨いていったのと同じことを繰り返す羽目になる気がする。


そんなことが何度もできるんだろうか。


最初の頃の魔法使いは、ちょっとずつちょっとずつできることが増えていくのが嬉しくて頑張れたのかもしれない。でも、今の人間は、おぼろげながらとは言ってもかつての魔法使い達にどれだけのことをできたかを知ってる。それが頭にあるから、そこまでいかないと魔法が使えたことにならないんじゃないかな。


だとしたら、すぐに使えるようにならないと、やる気を維持できないかもしれない。



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