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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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大事なご用事

王立図書館の蔵書は、さすがの量だった。


私はページをざっと見るだけで内容が頭に入ってくるから一冊を読むのに時間は掛からないけど、それでも数が多いから全部は読みきれないかもしれない。


それに、小さいアーストンにとっては私達のしていることはさすがに退屈で、彼には絵本を読んでもらってたんだけど、それにも飽きてくると、


「な~! な~! 遊ぼうよ~!」


ライアーネにしがみついて言い出して。


「ごめん、ごめんね、ママは今、大事なご用事してるから」


そんな風に言って小さいアーストンを納得させようとするんだけど、小さい子供がそんな大人の理屈を理解してくれるわけがない。


するとトーマが、


「アーストン、俺が剣の稽古をつけてやろうか?」


と訊くんだけど、


「やだ! ママがいい!」


ってライアーネに抱き付いてしまって。そこでトーマは、ライアーネに向き直って、


「仕方ない。ライアーネ、本の方は俺がやっとくから、アーストンの相手をしてやってくれないか?」


と口にした。それに対してライアーネは、


「でも、それじゃ……」


少しでも早く手掛りを掴みたい気持ちが見える様子で口にする。だから私は、


「私は別に急いでないから。時間はたっぷりあるよ。だけどアーストンにとっては、母親との時間は今しかないんだ。私よりアーストンを優先するべきだよ」


って告げさせてもらった。自然とそう口に出た。


ジルは、私の隣にいるとすごくおとなしくしてる。それはたぶん、必要ない時にはじっとして無駄に力を使わないようにして、少しでも食べたものを長持ちさせようっていう、<生き延びるための習慣>なんだろうな。


そうしないと、いつ食べられるか分からなくて、死ぬかもしれないから。


だけど小さいアーストンは、ちゃんと、両親も揃ってて守られてて、ジルみたいな習慣を身に付ける必要がなかった。


だったら、それでいいと思う。せっかく守ってもらえる環境があるんなら、その中で生きられるうちは生きたらいいと思うんだ。


いずれは小さいアーストンも大人になって、今度は自分が誰かを守る立場になるだろう。その時に、自分がちゃんと守ってもらえてたっていうのがあれば、今のトーマやライアーネと同じことができるんじゃないかな。


人間はそうやって、世代を重ねていくんじゃないかな。


私は死ぬことのない滅びることのない魔法の人形だから人間みたいにはする必要もないから、余計に客観的な立場で見られるんだって気がする。


私の言葉に、


「ごめん、じゃあ、そうさせてもらうね」


ライアーネは小さいアーストンを連れて外に出ていったのだった。



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