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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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獣退治

私が冒険者ギルドで見付けてきた仕事は、この畑を荒らす獣を退治するものだった。その殆どがイノシシだ。頑丈な鼻と牙で土を掘り返して根菜を食べてしまったり、好みじゃない作物の畑にも踏み入って土の中のミミズを食べるので、結果として畑が荒らされてしまう。


そのイノシシを退治するのが今回の仕事だ。


「なんか随分と頼りないのが来たねえ」


冒険者ギルドに依頼を出した農家の女性が、私の姿を見るなり困ったような顔をして言った。恰幅がよくてじろりと人を睨む中年女性だった。


だけど「仕方ない…」と溜息を吐きながらも、


「取り敢えず任せたよ。報酬は畑を守れたらだ」


「…分かった」


私のメイクについてあれこれ言ってこなかったのは助かった。私のことを見くびってるのは、まあいつものことだから気にしない。


でも、さっそく畑の方に行こうとする私に向かって女性は言った。


「その子もかい? 怪我したって助けちゃやれないよ」


私の後ろについてくるジルのことを言ってるんだって分かった。


「分かってる…」


私はそれだけを応えて畑へと向かった。


するといきなり、林の中からイノシシが覗いてるのに出くわした。それほど大きくはなかったけどしっかりと牙を生やした成体だった。


イノシシは、私の姿を見てもお構いなしに林から出てきて、畑へと近づいてきた。だから私は、足元に落ちていた石を拾って石礫(いしつぶて)として投げた。もちろん雷撃の魔法を使う為に。


「ギピッ!!」


そんな声を上げてそのイノシシは倒れた。ビクビクと体を震わせてる。でも私が近付くと起き上がって逃げ出した。さすがに人間よりは頑丈だな。


もしイノシシを捕まえられたらそれは好きにしていいと言われてたから干し肉にでもと思ったけど、そう簡単にはいかないか。


だけど一番の目的は畑を守ることだし、それが果たせたら問題ない。


私は畑と林の間にあった切り株に腰を下ろして、見張ることにした。その私の近くの地面にジルが座る。彼女に向かって干し肉を投げると空中でキャッチしてガツガツと齧り始めた。


その後も、二回、イノシシは現れた。それぞれ別のイノシシみたいだった。同じように石礫のふりをした雷撃の魔法で追い払う。


「はあ! あんた見た目に寄らずやるもんだね。そりゃそうか。でなきゃ冒険者なんてやってないもんね」


日が暮れかけた頃、あの女性が現れてそう言った。三頭目のイノシシを追い払ったところを見てたんだ。


「どの程度か見せてもらおうと思ってたけどこれなら任せられるね。ほれ、これ食べて頑張って」


そう言って女性が渡してくれたのは、芋を蒸かしたものだった。



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