表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
41/83

ハッタリ

野良子のらこは決して人に懐かない。


世間ではそう言われてた。確かに懐いたとまでは言えないのかもしれないけど、今、ジルは小さいアーストンと普通に遊んでた。


追いかけっこで。


東で一番大きな国に入る前日、すぐ近くの湖のほとりで野宿をしていたトーマ達と私だけど、少し離れたところで野宿してたはずなのに、ジルと小さいアーストンが勝手にそうやって遊び始めたんだ。


「まあ、子供同士ってことなのかもね」


ライアーネがその様子を見ながら呟いた。私もそういうことなのかなと思った。それにしても楽しそうだな。


だけど、逃げるジルを小さいアーストンが本気で追いかける様は、まるで動物が狩りをしてるみたいでなかなかハードな遊びだとも思った。


木を使って躱そうとするジルの動きを読んで先回りしたりとか、何気に実戦的かもしれない。


でもその時、私は林の中に何かがいることに気付いて、ジルと小さいアーストンの近くへと駆け寄った。


すると、


「なんだ、人間かよ。獣かと思って弓を引いちまうところだったぜ」


という声が奥から聞こえてきた。それと同時に、がさがさと下草を踏みながら出てきたのは、猟師らしい男の人だった。獣の毛皮を被ってたからパッと見はそっちの方が獲物にも見えた。


ジルが警戒してすごい勢いで距離をとる。無理もないなと思った。


「俺の名はヤン。まあ見ての通りの猟師だ。それにしても子供だけで遊ばせておくのは危ないぜ。ホントに獣がいるみたいに見えるからな」


「ああ、そうだな、気を付けるよ」


トーマが近付いてきてそう応えた。


「お前さん達は、ナリを見る限りだと西の方の冒険者か? シュクに入るのか?」


シュクというのは、東で一番大きな国の名前だった。


「その予定だ。俺達はあっちこっちの国を巡って見聞を広めてるんだ」


「なるほど。東方見聞録ってことか」


「?」


「ああいや、昔、お前らと同じようにして東の国々を回ってそれを本に書いたのがいたらしくてよ。お前らもかなって思ったんだ」


「まあ、似たようなものかな」


とその時、ヤンが私の方を見て言った。


「お前さん、その顔は、海の向こうの国の<隈取り>とかいうメイクだな。でもお前さん自身は西の人間だろ? なんでそんなメイクを?」


「…別に…私はそのままの姿だと舐められるからハッタリの為にこうしてるだけだ…」


このメイクのことを知ってるのなら下手に誤魔化すよりはそう言った方が良いかと思って応えた。少なくとも嘘じゃないから。


「ははは、そりゃいい」


と、ヤンは豪快に笑ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ