辿り着いた場所
「ぴっ…!!」
離れたところにいた私が、瞬きするよりも早く目の前に立って、しかも不気味な顔で睨み付けてきたからか、野良子の三人はそんな声を上げてその場に座り込んでしまった。腰が抜けたんだと思う。
ちょっと脅かしすぎたかなと思いつつ、しつこくジルにつきまとわれても困るからね。私につきまとう分には別によかったんだけど。
でも、ジルの方も一瞬で私が別のところに行ったことに驚いたのか、呆然としてた。それでも、私がまた近付いてくると少し離れて、物陰に隠れる感じになる。また少し警戒させてしまったかな。
まあいいや。
休憩も終わりにして、私は店に戻った。
店の方は相変わらず賑やかで騒々しくて品がなかった。明け方近くになって客の姿も殆どなくなって、店主は店仕舞いの用意を始めた。その日の私の最後の仕事は、最後まで居座って「俺は帰らないぞ~!」とか言ってる客を追い出すことだった。
「なんらおまえやるかあっ!」
とか呂律も回ってないクセに殴りかかってくるから、その拳を払い除けるのと同時に雷撃の魔法を使ってやった。
「ギャピッ!!」
なんて声を上げて酔っぱらいは勝手に転んでた。
「まだ飲むか…?」
って訊いてやると、少し酔いがさめたのか、「帰ります…」とか怯えた声で言いながらよろよろと立ち上がって出て行った。
「お前ホントにすごいな。上手くやってくれたしよ、少し色を付けてやったぜ。あとこれもやるから食っとけ」
店主がそう言いながら報酬とツマミの残り物を渡してくれた。
「今夜も頼むぜ」と言われたから「分かった…」と頷いて裏口から店を出る。前のところとは違って店の手伝いをさせられないのは助かった。
外に出ると、あの野良子三人組はいなくなってて、ジルだけが私を待ってた。
店主からもらったツマミを差し出すと、やっぱりそれをひったくって食べ始めた。少し警戒するようにはなったみたいでも、私から離れるつもりはないんだな。
まあいいや。
そんな調子でこの町でも数日を過ごして、私達はまた東へ向かって歩き出し、隣の町へと向かう。そこでもまた仕事をして、今度は上手くキャラバンの護衛の仕事とかが見付からなかったから、お金を払って客としてキャラバンの馬車に乗り、さらに東を目指した。
町を十と大きな砂漠を二つ越えて辿り着いたのは、東では最も大きな国の外れにある町だった。
そこは、今までの町とはかなり雰囲気が違ってた。文化が違うからなんだろうな。建物も、石を積み上げて壁にしてたのが多かったのが、練った土を壁にしてる建物になってた。
南の端から東を目指し始めてから、半年が経ってたのだった。




