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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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東の方へ

ジルと私の距離感は、それからも変わらなかった。彼女は決して必要以上、私に近付こうとしなかった。私の手から食べ物を奪うにしたって、体はなるべく私から遠ざけようとしてた。


だけど野良子のらこというのはこういうものらしい。決して人間になれない、体は人間でも心は獣。


でもまあ、考えてみれば慣れ合うことはしなくたって、人間もこの世界で獣とある意味では一緒に暮らしてるみたいなものじゃないかな。その中で時々、割と近くまでくるのもいるったいうだけかもしれない。だからジルもそういうことなんだろうな。


彼女が私の何を気にしてるのかは分からなくても、別に危害を加えるつもりはないみたいだからそれでいいと思う。


もし危害を加える気があったとしても、私は平気だけどさ。


トーマ達とは、姿はちゃんと見えるけど声も届くけど明らかに別のパーティという感じで旅を続けた。話がある時だけ、私のメイクを直してもらう時だけ接触する。


今は東に向かって旅をしてる。特に目的があった訳じゃないけど、私のメイクを気にしてるらしいジルのことが何か分かるかもという淡い期待もない訳じゃなかった。


前にも言ったけど私のこのメイクは東の果ての国から伝わったものだ。


だとしたら、ジルは、このメイクをすることのある国と何か関係あるのかもしれない。


もしそれがジルの故郷とかで、何かの理由であの町に流れ着いたんだとしても、本来の国に帰ったとしても、それで野良子としての性分が変わる訳じゃないと思う。故郷の国に帰っても結局は野良子のままだと思う。


だからジルを助けたいとか故郷に返してあげたいとか思った訳でもない。ただ私達自身に明確な目的地がある訳じゃないから何となくでそう決めただけだ。


ジルも、私達にしっかりとついてくる。でもそれは、トーマ達の方に小さいアーストンがいて、彼に合わせて歩いてるからっていうのもあると思うけど。


冒険者ギルドから紹介された、砂漠を超えるキャラバンの護衛の仕事を引き受ける代わりにキャラバンに同行して砂漠を超える。途中、盗賊が襲ってきたリしたけど、私は石を投げながら雷撃の魔法を使って、石礫いしつぶてで倒してるみたいに見えるようにした。こうすればただの<石礫の達人>に見えるからね。


「あんた、すげーな…! あんたのおかげで俺達、楽できてるよ…!」


一緒に護衛として雇われた他の冒険者達にそう言われても、私は「それほどでも…」とだけ答えるようにしてた。


そんな私が乗ってる馬車の後ろの方に、ジルも乗ってる。病気で獣みたいになった私の妹だということにして、大人しくさせておくからってことで一緒に乗せてもらったのだった。



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