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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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ジル

私は、トーマ達の姿を確認できる位置を維持しつつ離れて移動した。三人が冒険者ギルドの事務所に入ったのを見届けて立ち止まる。するとジルも物陰から私の様子を窺うようにしつつ立ち止まった。


ずっと立ち止まったままというのも不自然だから近くにあった花壇の縁に腰かけて、ジルの方を見ないようにしつつ観察してみた。


ジルは本当に人間の姿をした野生の獣みたいだった。視線の送り方とか物音や気配への反応の仕方が獣のそれなんだ。森の中で何百年も木にもたれてた時に散々、獣達の様子を見てきたから分かる。人間のそれより獣のそれに近いってことも。


だから人間のことは信用しないし人間の生き方にも馴染めないんだろうなっていうのも分かる。


野良子のらこは長生きできない。だいたい病気か、盗みを働いたりした時にリンチされたりして命を落とすのが定番の最後だ。だけどそれを可哀想だとは私は思わない。それが野良子達の生き方だからだ。人間の姿をしながらも獣であり、獣として生きた彼らはそれでいいんだと思う。


私自身も人間じゃないから野良子の生き方にあれこれ言える立場じゃないし。


…そっか。同じ、『人間の姿をしてるのに人間じゃない者』として興味を抱いてるのかもしれない。野良子が大人になることは滅多にないらしいから、もしかしたら余計に珍しいと感じてるのかも。


これまで出会ってきた野良子にはそういうのはいなかったけど、このジルはまたある意味では特別なのかな。


まあ、どうせこの町にいる間だけだろうから、別にいいか。私は盗まれて困るものは何一つ身に付けてない。私に引き付けておければトーマ達が困ることもない。


しばらくして冒険者ギルドの事務所から出てきた三人が、さっそく、仕事に向かうことになった。内容自体はトーマとライアーネだけで十分にできるものだったから、私はジルの相手をしていればいいということで。


仕事に向かう前に宿も決めて、後で落ち合うことにする。ここからしばらくは完全に別行動だ。


ライアーネに干し肉を分けてもらって、三人を見送ってからジルの前に一つ放ってみた。そしたらジルはそれを躊躇うことなく拾って齧り始めた。


さて、これからどうしたものかな。


ただこうしてるのもなんだし、私も何か仕事を探してこよう。一人でできる仕事もたくさんあるはずだ。


そしたら酒場の用心棒の仕事が見付かった。それでさっそくその酒場に行ってみると、実は用心棒なんてのは建前で、実際には荷物運びの仕事だった。


いつもそうだから他の冒険者達に嫌われてるところだったんだって。



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