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ラブレター ~追憶のププリーヌ~  作者: せんのあすむ
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シェリーナ

シェリーナは、最初にその産婆を見た時から怪しいと思ってたらしい。悪いことを考えてる顔だ!って。


そういうことは何度もあった。彼女は、他人の悪意に敏感なんだろうな。みんなに大切にしてもらってきたから、それとは違う表情をしてる人間を見抜けるのかもしれない。だからボーデンにもすぐに懐いた。両親が仕事で出掛けててボーデンの家で世話になってても泣いたりしなかった。信用できる人だって分かってたから不安もなかったってことかもしれない。


そんなシェリーナが認めた相手だから、ライアーネは許したんだと思う。


トーマも、本当は分かってた。シェリーナが認めた相手だから大丈夫だってことは。だけど、父親って娘に好きな人ができたりするとついついヤキモチ妬いちゃったりってことがあるらしいね。トーマのも結局はそれだったんだろうな。


「…くそっ、分かったよ…! 確かにルビンはいい奴だと俺も思ったよ。認めりゃいいんだろ認めりゃ…!」


だって。


こうしてシェリーナとルビンは晴れてお付き合いすることになった。結婚式の日までは私達もここに滞在して、冒険者としての仕事をこなすことにした。


トーマとしてはその間に心変わりしてくれることとかも期待してたみたいだけど、それは無駄だった。


冒険者ギルドの職員や居合わせた冒険者達にも祝福されて、シェリーナとルビンの、ささやかだけどあたたかい結婚式が執り行われた。


「お父さん…お母さん…これまで育ててくれてありがとう…!」


ライアーネはそれを満面の笑顔で見てたけど、トーマは拗ねたみたいに顔を背けてた。だけど、シェリーナも分かってくれてたみたい。なんだかんだ言っても祝福してくれてるんだって。


晴れて夫婦になった二人に見送られながら、私達は再び旅に出た。


「おねえちゃん、きれいだったね」


小さいアーストンも、泣いたりせずに手を振ってた。この町へは、きっとこれから何度も来ることになると思う。そうすれば会えるということが分かってるんだろうな。


これからはまた、三人との旅になる。小さいアーストンもきっと立派に育っていくと思う。


これが、人間の営みってものなんだって、私は改めて感じてた。


私にとってはあっという間のことだけど、人間はこうして生まれて、育って、巣立って、また次の命を産むんだな。


私にはできないことを人間はできるんだ。それが何だか羨ましい。


ああ、そうか、私が人間と関わらないようにしてた理由の一つは、これだったんだ。私にできないことをする人間が羨ましくてヤキモチ妬いてたっていうのもあるんだ……




ちなみに、シェリーナはその後、旅で聞いたたくさんの話を基にお伽話を書き、それをルビンが印刷して売って、割と有名になったんだって。


だって、離れた国でシェリーナの書いた本に出会ったりしたからね。



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