休暇中に起こったこと
でも、結論から言ったら、ルパードにはしっかり見られてたみたいだった。
私が魔法を使うところが。
だけどその時の私達は回収してきた本の整理で忙しく、それどころじゃなかった。
ナハーマフト=モールネマシュマウト、ナフィの指示を受けながら次々と整理していく。でも殆どはこれまでにも見たようなハウツー本みたいのとか歴史書ばかりで、それほど目新しいものはなかった。
けれどその中に、私が気付いた魔導書と同じようなものが三冊あった。最初に見つけたのと合わせて四冊。
内容自体はどれもこれも初心者向けって感じ。載ってる魔法もほぼ同じ。ただ、書かれてる文字が違ってた。たぶん、基になった本をそれぞれの国の言葉に翻訳したものってかんじじゃないかな。
「これは、興味深い。確かに拙い魔法かもしれないが、魔法という技術そのものが実際に使われていたものだというのを示す重要な手掛かりだ。これだけでも今回の出費には十分にお釣りがくるよ」
出逢った頃よりはちょっとだけ大きくなったナフィだけど、相変わらず男の子みたいな恰好をして喋り方もますます男の子みたいだった。女の子らしい恰好とか喋り方にはまったく興味ないんだって。そんなことを考えてる暇があったら研究がしたいって。
値打ちのあるもの別に振り分けて、既にナフィのところの書庫にあるものについては町の古本屋に卸し、蔵書にするものだけを改めて荷馬車に積んで、今度は他の人に任せて私達は休みをもらうことになった。
もっとも、私はまた、人形のふりをして事務所に飾られるだけだけど。
アーストンとレリエラは、シェリーナを連れて移動遊園地に遊びに行ってしまった。
そうして事務所には、私とボーデンだけが残された。
ボーデン自身も書類のチェックとかをしながら、私に話しかけてくる。
「どうですか? 人間の中での生活にも慣れましたか?」
穏やかな口調で話しかけられると、私も悪い気はしない。
「そうだね。嫌な気持ちはしないかな…」
私は人形のふりをしたままポツリと応えた。
「それは良かった。僕はあなたに穏やかな暮らしを送ってほしいと思っています。あなたは身勝手な人間に振り回されてきた。そういうのは終わりにしてあげたいんです」
彼はそう言ってくれたけど、どうやらそうは問屋が卸してはくれないみたいだった。
コンコンと事務所のドアがノックされて、ボーデンが「どうぞ」と応えると、入ってきたのは何人もの兵士を連れた偉そうなオジサンだった。
オジサンは私の姿を確認するなり、ボーデンに向けて紙を掲げてみせた。
「バーナード=ボーデン。お前を<魔女の落とし子>強奪の容疑で逮捕する!」




