帰路
「美しいだけでなく、何と勇敢かつ気高い気迫の持ち主か! このルパード・ウォルシュリンゲン、心より感服いたしました!!」
とか言いながら、ルパードは私の前で恭しく膝を着いた。するとルパードの部下らしい人達もそれに倣って膝を着く。そんな様子がまた芝居がかってて、私は正直、うんざりした気分だった。
「顔を上げてください、ウォルシュリンゲン卿。私はあなたに敬われるほどの者じゃありません…」
なるべく角を立てないように言ったつもりだったけど、それがまた心に沁みたらしくて、
「ああ…なんと高貴なお方か……」
だって。ああもうメンドくさい。
するとレリエラがすっと私の隣に立って、
「ウォルシュリンゲン卿。この度は本当に助かりました。ですが私達は依頼者との契約もあり、先を急がねばなりません。お礼は後日改めてさせていただきますので、今日のところはこのくらいでご容赦願えますでしょうか?」
と、とりなしてくれた。
「おお、それは失礼いたしました。では、国境まで同道いたします。それより先はご一緒できないのが本当に心苦しいですが、山賊の撃退にご協力いただけましたことのせめてものお礼です」
ということで、捕まえた山賊を連行する為に引き返した兵士を除いた数人を引き連れて、ルパードは国境まで私達の後についてきた。
国境まで来るとさすがに諦めたルパードに見送られて、私達は先を急ぐことができた。
そこから先はトラブルもなく、本来の道に合流し、そのまま一路、ボーデン商会への道を辿った。
でも途中、アーストンが言った。
「ププリーヌが魔法を使ったの、ウォルシュリンゲン卿は気付いてなかったのかな…?」
そう言われて、私とレリエラは「…あ!」ってなった。あの時は夢中だったから咄嗟だったけど、言われてみたらそうだ。
「ん~、まあ、何も言われなかったし、まさか魔法だとは思わなかったんじゃない? かなりの混戦だったから」
レリエラが苦笑いを浮かべながらそう言うと、
「それならいいんだけどよ……」
と、アーストンは黙ってしまった。
私も気にはなったけど、使ってしまったものは仕方ない。それにあの時はそうするしかなかったと思う。あとはなるようになれだよ。
なんてことも考えながら先を急ぎつつ慌てないようにしていると、見慣れた町並みが見えてきた。
「あ~、やっと戻ってきた」
ボーデン商会がある町の入口まで戻ってきたところで、レリエラがしみじみ~って感じで声を出した。
会社の前に馬車を停めると、玄関からシェリーナが出てきて、レリエラが抱きあげたのだった。
「ただいま! シェリーナ」




