表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

今年の猟について

料理に舌つづみを打つ。


「へぇ、美味しいね。これは?」

「ぼたん……猪だよ。今年は早いうちに仕留めたから、孟宗竹もうそうちくたけのこは、余りやられなかったよ。今年は表年おもてどしだったんだ。母さんも皆も食べてみてほしいな」


祐也ゆうやに勧められ、口にする。


「あ、美味しい」

「もっと癖があるかと思ったのに……」


実母とその家族に微笑む。


「若手だからね、ちょっとまだまだなんだけど、銃は持つ資格を得たし。これは、山菜。春は三つ葉にふき、ワラビにゼンマイ、ウド、タラの芽に……山の恵みは素晴らしいよ。でも、猪の害に、山に勝手にはいる人もいてね……」


困ったように苦笑する。


「今年は、猪が例年になく獲れたから、安心したよ。毎年この道を歩いたりね……」


上の国道を示す。


「猪は大きくなると、牙で襲ってくるから……」

「祐也は吹っ飛ばすけど」


コロコロ笑うほたるに、祐也は真顔で、


ほうきで眉間を突いたんですよ。で、首筋を突いて、水汲み場においてある包丁で」

「怪我は⁉」

「そんなに。擦り傷ですよ」


微笑む。


「家の近くにって言うのが怖いので、しっかり子供や蛍たちを守らないとと思います」

「本当に大丈夫なの?」


めぐみの不安げな声に、祐也は、


風蘭ふうらん……富貴蘭ふうきらんと呼ばれるけれど、それを盗掘する人もいるんだ。そういう人に注意すると居直ったり、逆ギレしたりね」

「逆ギレ……」

「『山にあるんだからとって悪いのか‼』って言うもんだから、『家の山や‼』って、警察呼ぶようにしているよ。個人的に増やしたものは良いけれど、山のものを採っていく……家の山から採られるのは困るね」


苦笑する。

と、


「うっまぁぁ~‼何?これは‼」

「ウェイン。食い気だけ~?酷いよ」

「大丈夫。アンジュが可愛いのは祐也に聞いていたし。これは?」

「ここ出身の料理人の人が、帰ってきて、ここのすぐ近くにお店を出すんだって。この施設にもお店はあるけれど軽食だし、地元の食材中心のイタリアンだよ。蛍は覚える‼っていってるけど、無理みたいだね」


祐也の言葉に、


「ヒドーイ‼祐也の意地悪‼」

「努力だ、努力。一緒に作ろうな?」

「兄ちゃん‼俺も‼俺も手伝う‼」


祐次ゆうじは兄を、見上げる。


「良いでしょ?兄ちゃん‼休みになったら、来ても良いでしょ?ね?ね?」


小学校2年生の少年は、嬉しそうである。

その横で、4才の葵衣あおいは、


「お、お姉ちゃん、お花ある?」

「あるわよ。ひまわりに朝顔に……たくさん。それに、わんわんの子供もいるのよ」

「わんわん‼」

「うん。ミニチュアシュナウザーの子犬で可愛いの」


祐也はスマホを操作して、シュナウザーの親子を見せる。


「ふわぁぁぁ……パパ、ママ‼わんわん可愛い~‼」

「ほんとだ‼スッゲー可愛い~‼パパ、ママ‼見に行きたい‼」

「凄いね~?でも、こちらで泊まらないし……」

「あれ?家に泊まれば良いんですよ。鶴姫も、大丈夫ですから」


祐也は微笑む。


「ウェインもくれないひめも、泊まりますから」

「新婚なのに構わないの?」

「家族が遠慮しないでください。色々と話しましょう、ね?」


結婚式はアットホームに進み、夜に蛍を見て終わったのだった。

今年はたけのこが表年で、次々ボコボコ出ているそうです。

従姉妹に聞くと、猪は今年は大漁……捕獲数が数年ぶりに多く獲れて、決まった数獲れたそうです。

で、猟をされる方が分けてくださって、ぼたん鍋を何回か食べたとか。

たけのこもものすごい数とられたのかと思ったら、早い時期(三月初旬)に一回大量に獲られたのですが、その直後に大きな猪が獲れたそうです。

その後は、わずかに獲られた程度だったので、『食べきれないほどの』たけのことぼたん鍋を食べられたそうです。


他の山菜もふんだんに食べられたそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ