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「ちょっと、コンビニ寄って行っていい?」

「へ? あ、はい。いいですよ」

「なんで敬語?」


 シュウト君フェチのあけみがいきなり彼のいるコンビニに入るものだから急に語調が狂ってしまった。

 そしてやっぱり、彼はいる。ひゅー。卒倒しそう。


「そろそろマジでチョコつくんなきゃね。みっちょんはどうすんの? 作るの? 買うの?」

「ん? そだねー。どうしよっかなー」


 やっぱり作った方がいいのかなとは思う。なんせ心の入り方が違う。なるだけ私の熱い想いは込めたい所。込めたい所なんですが。


「あ、駄目だ。緊張してきた」

「みっちょんさっきから何かおかしいよ」

「おかしくないであります」

「完全にショートしてるじゃん」


 込めたチョコを渡す事が出来るんだろうか。

 こんなショート寸前の故障ガールがこの恋を成就させる事なんて出来るんだろうか。

 いや、もちろん諦めない。諦めないよ。


「いらっしゃいませー。 ――合計660円になります。1000円お預かりします。おつり340円になります。ありがとうございました。またお越しくださいませ」


 あー見とれる。見とれちゃう。


「みっちょん、ほら行くよ」

「あ、はあ」


 駄目だ。もう完全に駄目だ私。何度見ても慣れない。何度見ても見過ぎる。

 とどままる所か、加速と発熱を続けてどうにもこうにもとまらない。


「みっちょん、そういう事か」


 あけみがにやりと笑う。まあそりゃ笑うわな。


「はい、そういう事です」


 とりあえずそう言っておくしかない。


「でも、なんか意外。みっちょんああいう人がタイプなんだ」


 あーもう分かってないな。全然分かってない。でもどうせ分かり合えないだろうし、私の恋を否定させる気もないから、私は「そうなの、意外でしょ」って笑っておく。


「ちみーには内緒にしとくよ」

「助かります」


 ちみーは駄目だ。ちみーは悪い奴ではないが、きっといろいろこの事に関しては雑音まがいの発言しかしないだろう。

私はあけみに感謝する。あんたはなかなかいい奴だ。


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