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30の魔法使い  作者: 圧縮
本編
83/83

赤い鎧の英雄(シークレットサブタイトル)

赤い鎧の英雄<シークレットサブタイトル>


 デーモンが絶命し、魔力が放出されていくのがわかる。だが、巨体の為か、魔力量のためか、すぐには元の姿に戻ることが出来ないようだ。そこで壁面の方に異変があったことに気づく。魔力で造られた角なのだから、王子様や王様を捉えていた枷も魔力で造られていたのだろう。その枷が全て取り払われ、二人は落下する形で開放された。

 厳しい戦いであった直後だが、桜にはまだするべきことがあった。二人の保護だ。戦争犯罪人として処罰を受けるのは仕方がないかもしれない。だが、暴動や戦火の中で殺されてしまうことを一番恐れていたのだ。ただ、ベールが王城に人を入れなくしたこと、二人をわざと俺達の見える所に連れてきたこと、これに関しては感謝せざるを得なかった。

「ミカ王子!!」

「桜!!」

 上手く着地することが出来た王子、そしてそれに気づいた桜。二人は駆けながら近寄っていく。そして、二人は軽くぶつかり合うように抱きしめあい、軽く見つめ合った後、ひと目にはばからずに長い、長いキスをした。


「は?」

 思わず変な声が出てしまう俺。

 オルティガーラでのあの件は何だったのか?今までの道中でのあの仕草は何だったのか?その様子を見ながら頭が混乱していく。だが、一つ気づいたことがあった。

「ダリアン……、あんたこれを知ってたな……」

 直感でしか無いが、あの遠まわしな言い方、これを上手く隠したかったのだろう。それで、桜を負かせる程の存在であり、元の世界の同じ住人。さらには同じ国で育った者どうし、意見があっていたというのもあったのだろう。それを利用して桜のやる行動を補助させたという事か。

「なんてこった……」

 死ぬ間際まで彼女の事を心配し、彼女の未来を心配し、彼女の心を心配していたダリアン。ここまで来ればあっぱれと言うしか無かった。

「ほら、言ったでしょ。大丈夫だって」

「ほんとね」

「びっくりしました」

 ショックを受けて棒立ちになっている後ろで、メルトヒルデとティア、そしてナイアが何やら話している。だが、正直ちょっと思考が鈍っていて何を言っているのか理解できなかった。




 周りが戦いを労い、唯一の魔獣であるドラゴンを背にし、王様、ミカ王子様二人に感謝の言葉を頂いている時にそれは起こった。

「桜よ、こんな所で何しているのですか」

 一斉に周りを警戒し始める。声の主は何処なのか、それ以外の敵勢力は何処に居るのか、それらを真剣に探している最中に呼ばれている桜から声が出た。

「あれ、この声って女神様?」

 その言葉ですぐに気づくことが出来た。俺も一度話したことのある存在。30年前のことなので忘れかけていたが、一番恨みを持っている存在のことを。

「桜、もう一度聞きます。なぜこんな所に居るのですか?」

「だって、気がついたらこの国に居たんだもの。しょうがないじゃない。ここじゃないの?」

「私は隣の国に下ろしたはずですが。それなら仕方がありませんね。そちらに移動させましょう」

「え?何?何するの?!」

 突然桜の体が浮かび上がり始める。桜を助けるために手を伸ばしたミカ王子の手が桜に近づいた瞬間桜を中心とした周りに天井まで届く円筒形の光が現れ弾かれる。

「隣の国に連れて行くだけです」

「いやよ!!私はこの国にいたいの!!」

「こんなゴミだらけの国、救う必要無いです」

「は!?何言ってんのよ!!」

「この国は男ばかり居るじゃないですか。それに貴方は私の言葉に納得して来たはずですよ」

「そんな事聞いてない!! こっちいけ、あっちいけって自分勝手すぎじゃないのよ!! こっちの都合も考えなさいよ!!」

 会話の内容と状況を不審に思った俺達は既に行動を起こしていた。レンティは桜の周りの円筒形の光に対して魔法を放ち、メルトヒルデやノンナは剣で切りつける。ティアとナイアは精霊を呼び出し、桜を取り戻そうとしていた。

 だが、全ての行動が円筒形の光によって全て阻まれ、俺達の行動は何も効果が出ていなかった。

「畜生! どうすれば!?」

 俺もいくつか魔法を発動させたがめぼしい成果は一つもなかった。何枚もの羊皮紙を手に持っている最中にふと頭の中によぎるものがあった。それが何か、はっきりと形にならなかったので、羊皮紙を一枚ずつ急いでめくっていく。するとその答えに辿り着いた。

 その羊皮紙を桜の方に向け、魔法を唱える。

「リベリアウス!!」

 今まで発動したことのなかった魔法、どんなことをしても発動しなかった魔法。レンティがこの前聞いて来なかったら完全に忘れていた魔法。

 そんな魔法を唱えた瞬間、体から一気に何かが抜けていく感じがあった。だが、その抜けていく感覚が無くなった時、桜の周りにあった光の柱に無数のひびが入り、甲高い音と共に砕け散り消えていった。

 3mほど高い所に浮いていた桜はそのまま落下してきてしまう。だが、その桜に即座に気づいたミカ王子は、落下してくる桜を見事に抱きとめる。ただ、一気に体重が両腕に乗ってしまうので、抱きしめたまま転がるようにして落下の勢いを逃していた。

「何てことをするのですか」

「うるせークソババア!! 何を勝手に色々とやってやがる!!」

 体に今までに経験したことがない脱力感があるが、この女神には言ってやりたいことが多かったため、忘れていた怒りが思い出され、テンションがかなり上がり、脱力感を吹き飛ばしてしまっていた。

「なんですか、このゴミは?」

「お前によってこの世界に落とされた男だよ!!」

「そう言えば昔いましたね、私の高貴で特別な部屋に紛れ込んだ汚らしいゴミが」

「このクッソババアが!!」

「そろそろこの世界に干渉できる限界ですね。桜、隣の国をよろしくおねがいしますよ」

「あ!待て!クソババア!!」

 この後何を言っても女神からの返事は無かった。ここぞとばかりに色々と暴言を発したのだが、さすがに怒ってこちらに来ることもなかった。やはり干渉できないと言うのは本当なのだろう。

 だが、結局何のために桜を連れてきたのか、何のために俺がこの世界に来たのか、そういった大まかなことさえ全くわからなかった。


「桜、これからどうするんだ?」

 一通り騒ぎが収まり、落ち着いて話せるようになってきた。そこで、桜に先ほどの女神から言われたことについて質問する。

「うーん、そうね。一応行ってみようと思う」

「あんな女神のことを信用していくのか?」

「まあ、そうなんだけど。でも考えてみて。本当に困っている人がいて、本来私がその人達を助ける役割だったとしたら。フミトならどうする?」

「そういう言い方されると何も言えなくなるじゃないか」

「それもそうね」

「でも、もう決めたんだな」

「うん」

「わかった」

 桜との会話をそこで終え、ドラゴンの周りでたむろ、いや、値踏みをしているパーティーメンバーの元へと向かった。

「フミトさん!! このドラゴン、私達がもらえるそうですよ!!」

 キラキラ光らせた目をしながらリーアが軽く駆け寄りつつ話してくる。

「そうだな。もうリーアも立派なドラゴンスレイヤーだな」

 その言葉を伝えた直後、リーアは真っ赤になって照れはじめた。

「いやあ、そんな、まだまだですよー」

 その光景を見て、俺は今まで彼女のことをあまり褒めたことがなかったような気がする。だが、色々な土地の経験は足りないが、立派な冒険者だと言えよう。

 そのまま二人で皆の所に戻り、俺は話し始める。

「みんな、聞いてくれ。今回は戦争を始め、隣の国の王様や王子様を救出するという仕事を押し付けてしまって申し訳ない。それと、みんなが居たからこの仕事は完遂できたと思う。ありがとう」

 ドラゴンの事で皮算用でもしていたような面々が、それぞれ違った具合だが照れ始める。ノンナだけはいつもと同じ様に全力で喜んでいるのだが。

「このドラゴンに関しては俺達が全部処理して構わないという事を王様から許可頂いた。何処に卸すかはリーア、君に任せようと思う」

 一斉にリーアの顔を見るが、リーアの驚いた顔を見た後、また俺の方に視線が戻ってくる。

「ど……どうしてですか?」

「すまないが、俺はこのパーティーを抜けさせてもらおうと思う」

「え?!!!」

 全員が一様に驚いた顔をしていた。能面と言うより、戦闘以外は呆けた顔でしか無いメルトヒルデでさえ驚いていた。そして全員が納得できないと言う表情、嘘を言ってるはずだ等を思っているであろう表情になっていた。

「どうしてですか!?」

「なんでよ!」

「理由を教えてください!!」

 全員が同じように理由を知りたがっていた。その質問の声も、悲鳴に近い声なのも多く、リーアやティア、ナイアはまさにその悲鳴に近かった。

「俺は桜に着いて行こうと思う。元々は同じ世界の住人だ。さらにはダリアンと言う信頼できる人ももう居ない。それにこのままさようならでは寂しいじゃないか」

「寂しいのはこちらも一緒です!! それに彼女には王様と王子様が居るじゃないですか!!」

 この言葉をリーアから聞くとは思わなかった。そして、少し前のミカ王子と桜のキスを思い出す。だが、それを振り払って皆に答える。

「ああ、だがあのクソババア、女神が呼んだと言うのは彼女だ。だが、俺もそれに関係しているんだ。だから、放っておくことが出来ないんだよ」

 その言葉を聞くと、納得したくない。だけど、もう決めてしまったのだと言うのがわかったのか、皆黙ってしまった。

「ごめんな。それで次のパーティーのリーダーは、リーアにやってもらおうと思う」

「え?!私ですか?!」

「リーアはもう立派な冒険者だ。まだまだ知らないことは多いかもしれない。だが、もう独り立ち出来るはずだよ。装備などの厄介事も多分もう付きまとわなくなるだろうしね。それと、まだこの国でやり残した事はあるだろう。本当ならそれを見届けたかったんだけど、残念ながら俺はここまでだ。頑張ってくれ」

 その言葉を聞くとリーアとレンティは目を見開いて驚いていた。前から薄々感じ取っていたが、彼女たちはやはり金銭等には興味がなく、地位、もしくは有名な存在になりたいのだろう。そして、その名を持った後にやりたいことがあるのだと思っていた。この戦いの結末を作り、ドラゴンまで倒した彼女だ。名声は国内だけでなく遠くまで届くことになるだろう。

「レンティ、君はリーアに付いて補佐をしてくれ。街の中やギルド、商会との交渉ごとは君であれば有利に進めることが出来るだろう。将来、商会を継ぐ時にも役に立つと思うよ。魔法に関してはすまない。もっと色々と教えたかったんだが、中途半端になってしまったな」

 レンティも、まだ納得してないという表情をしていた。だが、彼女の中の大人の部分が理解してくれるだろう。顔に嫌だと現れているのはまだ大人になりきってない証拠なのだが。

「メルトヒルデ、途中から無理やり着いて来てもらったようで悪かったな。凄く助かったよ。俺から報酬と言うのは特に渡すこと出来ないけど、アルドに言えば結構貰えると思うよ。2度めのさよならだけど、元気でな」

 明るく努めてメルトヒルデに伝える。彼女とは2回も別れをすることになるのだ。過去の寂しい気持ちがよみがえってくるが、無理やり押し殺して次に進む。彼女も何かを押し殺した様な表情をしていた。これ以上見つめ合うと何かが決壊しそうで次に進む。

「アスドバル、アネトン。まだまだ教えたいことがたくさんあったんだが、中途半端になることを許して欲しい。ダグラスに頼めば養成所に簡単に入ること出来るだろう。そこで一から学ぶのもいいと思うぞ。だけど、少しだけリーアのこと助けてやってくれ」

 二人も約1ヶ月弱と短い期間でしか無かったが、大切な仲間だと思っている。デーモンで傷つかなくて良かった。この戦いで生き残って良かった。本心からそう思っている。このパーティーの中では少ない男の冒険者だ。もっと色々と話をしたかった。二人も悲しいまでは行ってないが、残念と言う表情にはなっていた。それも少し嬉しかった。

「ノンナ。いつも明るい所が凄くありがたかったよ。たまにいい加減にしろって思うときもあったけど、その前向きな姿勢はとても好意的に思ってたよ。シザーリオによろしくな。それと、アルドとダグラスには話してあるけど、騎士団に推薦状書いてもらえるよう手筈してある。利用してくれ」

 好意的と聞こえた次点で凄く照れていたが、騎士団の話になった瞬間、さすがに驚いたようだ。それに昔育成した時と比べて本当に成長した。リーアに隠れてしまっていたが、彼女が居なければ幾人か亡くなってしまっていたかもしれない事もあっただろう。

「ナイア。ノンナのお守りとスカウトの役目、今までありがとう。ナイアのおかげで旅が凄く楽になっていたよ。普段から頼りっぱなしになってすまなかったね。リーアの事をよろしく頼むな。ナイアがリーダーになることも考えたが、柄じゃないだろ?」

 ナイアも唇を噛み締め、何か言いたげな顔をしていたが、結局何も言えなかった。

「ティア。悪いな。親父さんとエイル姉さんには謝っておいてくれないか。それに、塩銀亭の大事な看板娘だからな。戻ったらフェスティナ紹介のエステファンとシルヴィアさんにもしばらく帰れないって伝えておいてくれないかな」

 ティアはお別れの表情と言うより、怒り心頭といった感じだった。だけど、伝えなければならない事だし、他の人には頼むのも申し訳ない事になる。だからティアにお願いしたのだ。

「いつ行くんですか?」

 リーアが小さな声で質問してくる。

「どうだろうな。桜次第かな。そうそう、悪いんだけど、ミソもっていっていいかな。長期保存の実験でもあるから、経過観察もしたいし」

「あれはフミトさんのですし」

 そう言いかけた所で桜から大きな声が聞こえた。

「フミト!! デーモンよ!! 生き返った!!」

 ミカ王子と話をしていた桜の方に慌てて振り向き、カタナを抜く。他のメンバーもこの様な状況なのにすぐに剣を抜き臨戦態勢を整え構える。

 ベールの変身していたデーモンの巨体は既に人の亡骸に戻っており、何処にデーモンが居るのかと探してしまった。

 だが、そこには異形とも言えるようなものが居た。

「くそ! 見つかった!!」

「ベール?!」

 小さな異形のデーモン。人に近い大きさの頭を持ち、同じくらいの体、細長い痩せた手足を持っている異形のデーモンだった。前世での記憶で言えば、ゴブリン、いや、もっと小さいのでインプとでも言ったほうが近いのかもしれない。

 どの様な特技を持ち、何をしてくるのかわからなかったため、相手の出方を見るためにどの様な状態でも対応できるように構えつつジリジリと近寄る。

 ベールと思わず声が出てしまったのは、その異形のデーモンから出てきた声が先ほどまで俺達と話していた男、巨大な赤いデーモンの一つの頭の声と同じだったのだ。

「お前はベールなのか?!」

 こちらを睨んでいるデーモンに対して質問を投げかける。だが、俺がその質問をし始めた所で気づく。

「魔法だ! 全員気をつけろ! 桜!!王子様と王様を頼む!!」

 デーモンから魔法が発動される。その小さなデーモンが放った魔法は炎の小さな塊を大量に、無数に放出するファイアショットの上位魔法、ファイアディスパースだ。

 発動させるとともに、炎の小さな塊が大量に押し寄せてくる。まるで炎の渦に巻き込まれたかと錯覚するくらいに。俺は一番魔法抵抗力が強い事を利用して出来るだけ前に進み体で防ぐために走って近寄る。だが、炎の圧力が勝り、ある程度から近づけなかった。

 魔法の発動が終わり、カタナを構え直し、デーモンの存在を探す。体が熱いが、今あのデーモンに奇襲を喰らった場合、無傷で居られるか自信がない。自分の治癒より先に倒すことを専念した。

 だが、目の前から忽然といなくなっている。首を振り、何処かに隠れているのかと探す。辺りに残った熱気が音や直感を狂わすが、それでも対処せざるを得ない。一回転し、見逃しが無いか再度もう一周するべきかと考えた瞬間、奥のほうから崩れる音が聞こえた。

「なんだ!?」

 走ってその音のあった場所、玉座の間に来る為の裏通路に近づくと、壁が崩壊し、先に進めない場所が見つかった。

「フミト!! そこら辺に緊急の脱出場所があるって!!」

 玉座の間の方から桜の声が聞こえた。つまりは、逃げられたと言う事か。

 念の為にカタナは鞘に戻さないまま玉座の間に戻り、全体を見渡す。全員無事なようだが、多少火傷しているようにも見えた。

 王様とミカ王子の事を優先して治癒魔法で治す。パーティーメンバーはメルトヒルデが治せるからそこは任せておく。

「すまない、逃げられた」

「うん。すぐに追いかけるよ」

「もう出発するのか?」

「うん。別れの挨拶は済ませたからね」

「そうか。あいつが向かった先にあてはあるのか?」

「この先まっすぐいけば翠玉の国だよ。大きな山があるから山越えになるけど」

「そうか。俺はこの装備でも大丈夫だが桜は平気か?」

「コートくれるって。何着でもあるからもってけって」

「なら、俺も貰って行くかな」

「平気なんじゃないの?」

「本来なら寒いのは嫌いだよ」

「ふーん」

「行くか」

「だね」

 俺と桜は二人で玉座の間から駆け出していった。








 エピローグ








「まったくもう。人の話し聞かないんだから!!」

「そうです!!」

「今回はちょっと許せない」

「ほえ?」

「あー、やっぱり」

「行くんですね?」

「「お?」」

「リーア、私と、ナイア、メルトヒルデさんはフミトに着いて行くよ」

「ティアさん……」

「私とリーアは残ります。フミトさんにも気づかれていたみたいですが、この国でやらなければならないことがあるので」

「そう。うまく行くといいね」

「これから考えます」

「うん。レンティならきっといい案浮かぶよ」

「そうだといいんですが」

「ノンナ。今までありがとうね。それと、もう面倒見てくれる人居ないんだから、ちゃんとしなさいよ?」

「ナイア、別れ際にそれはないよー……」

「アネトン、アスドバル。二人は開放します。それと、私からのお願いです。少しの間で構いません。リーアさんの事を手伝ってあげてください」

「わかりました。姉さん」

「お別れは寂しいですが、頑張ってください」

「ええ、ありがとう」

「それじゃ、私達も追いかけなきゃね」

「どこにいけばいいんでしょうか?」

「そうね、まずは一旦西区の屋敷に戻りましょう。多分ミソ取ってると思うし」

「情報も貰えるかも」

「だね。それじゃ、急ぐわよ」

 慌ただしい別れ。妖精族の3人も駆け足で玉座の間を去っていってしまった。

「レンティ、寂しくなるね」

「最初に戻ったと思えば」

「私はもう少しリーアちゃんに着いて行くよ」

「あっしらも居ますよ」

「まだ頼りにならない」

「精進します……」

 私を含めた5人は笑い合い、そして涙を流していた。




 気分が落ち着いた後、私は王様とミカ王子様の元に行き、改めて体の様子を見る。さすがにフミトさんが治していったので、火傷の後は何処にもなかった。服に焦げた後は残っていたけど、それだけ強い魔法だったのだろうと思えた。そんなのを体で防いでいたフミトさんの事を改めて凄いと思った。

「ありがとう。君はリーア君と言ったかな?」

 ミカ王子から私に対して声がかけられる。傷の具合を見ながらなので、多少失礼な耐性なまま返答する。

「はい。田舎者ゆえ、作法をわきまえないことをお許しください」

「いや、大丈夫だよ。作法を知らないのは桜も一緒だったから」

「面白い方でしたね」

「ああ、この世界に連れてこられて大変だっただろうが、いつも明るい性格でこちらが救われていたよ」

「私も短い間一緒に旅をしましたのでわかります」

「そうか。桜を助けてくれたんだな」

「フミトさんが居なければ知り合いにもなれなかったと思いますけどね」

「そこら辺はおいおい聞かせてもらいたいな。それよりも、まずは礼を言わせてもらおう。たくさん言葉が溢れでてきてしまってどう言えば良いかわからないからまずは一言で言わせてもらおう。ありがとう」

 そう言うと傷の確認が終わり、姿勢を正した私は、ミカ王子様と王様は私と交互に握手をする。

 話していたのがミカ王子様だったので、先にミカ王子様、次に王様という形だったのがこれからの出来事に大きく影響を与えてしまった。

「フミト!! 桜!! 王様と王子様は確保したのか!?」

「王様はご無事か!?」

 廊下から幾人もの足音が聞こえたと思ったらいきなりその様な声が耳に入ってきた。王様と握手している最中だが、その声の主の方向に顔を向けてみる。

「アルドさん?!」

 そして崩れた壁がある裏通路側にも顔を向ける。

「オーシムさん?!」




「そっか、いっちまったか」

「はい。二人を追いかけてメルトヒルデさんとティアさん、ナイアさんの3人が追いかけて行きました」

「まったく、アイツは好かれているのを気づいてないのか、人間族に何かこだわりがあるのかわからん」

「え?」

「ああ、それはこっちのことだ。忘れてくれ」

「はい……?」

「しかし、これから大変だぞ」

「わかっています」

「人の口に戸は立てられないと言うが、多くの兵士にリーアと王様の握手している場面を見られてしまったんだからな。それに、そこに倒れてるドラゴン。これがその噂に拍車をかけるだろうよ」

「無我夢中だったんですよ……」

「しっかし、押し付けられた感じだよな」

「ええ……」

「実はダグラスや俺達も押し付けられたんだよ」

「え?」

「グランドドラゴンの話は聞いたか?」

「さわりだけなら」

「それなら、レンティ、君も来て聞いてくれ」

 アルドさんがレンティを手招きして呼ぶ。オーシムさん達に色々と説明していたところだったみたいだけど、多分レンティもこちらの話は気になっていたみたいだから良いかな?

「俺達のパーティーがグランドドラゴンを倒せたのはな、全てフミトのおかげなんだ」

「え?!」

「たまにやたらと凄い魔法を使う時があるだろう。石の槍を大量に降らせたりする奴とか」

「はい!! グリフォンの時それを使ってました!」

「その魔法をちゃんと調べてみたら、魔法学院でも一人か二人使えるかもしれない程度だったんだよ。使ったとしても数日は意識不明になるとか言ってたぞ」

「え?!」

「その魔法でドラゴンの体に無数の傷を付け、予備の剣を何とか突き刺し、そこに天から落ちるような雷の魔法で傷を広げたんだ。まあ、予備の剣を突き刺す時は全員で何度も何度も斬り付けてようやく傷が広がったと言うのはあったんだが、そのきっかけの傷は本当はあいつが使った魔法からなんだよな」

「そうだったんですね」

「そのすごい功績を恥ずかしいから嫌って言い始めて逃げるってどういうことだよって思ったよ」

「あははは……」

「リーアはその策略に見事にはまったからね……」

「あー、ケイトウでの話か」

「恥ずかしいのでやめてください……」

「これからもっと恥ずかしくなるぞ」

 後ろから違う男性の声、冒険者となる前まではよく聞いていた声がかかった。

「よう、フミト被害者の会一号」

「何を言ってるのかわからんが、それに関しては間違いないな」

「ダグラス様……。これからもっとってどういうことですか?」

「多分だが、王都に戻る時パレードすることになるだろうよ。その目玉はお前だ、リーア」

「ええぇぇぇぇー!!」

「それもそうだろう。戦争を終わらせ、王様を助け、この国を救い、さらにはドラゴンまで倒した。これだけで民衆は5年は話題が尽きないぞ」

「はぁぁぁぁ……、フミトさん恨みますよ……」

「被害者の会2番手は譲ってあげよう」

「アルドさん、そんなのいらないですよー……」

「仕方がないな、諦めろ」

「フミトさんのバカ……」

 私以外の3人は大きな声で笑い始めた。レンティまで大きな声で笑うなんて珍しいとも思ったけど、それ以上にどうしようって気持ちでいっぱいだった。




 2ヶ月後、私は王都の空の下に居た。大きな高く造られた天井なしの馬車の上で多くの民衆に笑顔で手をふりつつ進んでいた。

 リスィも途中で寄ることがあったが、噂が先行してしまい、一日も外に出ることが出来なかったので、実家にもレンティの商会にも顔を出すことが出来なかった。なんとか手紙だけは出すことが出来たのが救いだったけど、やっぱりお母さんの顔とユリスの顔は見たかったなと思う。

 このまま王城に入り、戦勝式典に出席して、アルドさんと一緒に勲章の様な物をもらう予定だって言ってた。片田舎の町娘だった私がいきなり王城に呼ばれて王様の前に立つなんてどうすれば良いのか今でも不安になっちゃう。だけど、今のこの恥ずかしい状況に比べたら良いのかもしれないとも思う。

「おー! 英雄様だ!」

「赤い鎧の英雄様だよ!!」

「ドラゴン倒したんだってよ!」

「この国も、隣の国も救ったんでしょ?」

 やっぱり噂に尾ひれが付いている。私は着いて行っただけで、なんにもしてないのに!

 でも、レンティと話し合ってこの英雄の座は譲り受けることにした。お母さんとユリスを助けるには多分必要になるだろうから。

 少しでも二人の安全を、安心できる生活を作りたい。英雄にまでなれば、あの男も無理やり手を出すことは出来ないだろう。そう考えて有名になる為に冒険者と言う手段が一番現実にできそうだったのだ。

 あの男の血が入っているこの呪われた体。何度も全ての血を抜き出してしまいたいと考えたこともある。でも、レンティに全部出しちゃうとお母さんの血も流れ出ちゃうと説明され、それだけは嫌だったので思いとどまったこともあった。

 そんな私だけど、もう少しで二人を安心させてあげられるかもしれない。今はその一心でこの恥ずかしい状況を耐えていた。

 でも、やっぱり恥ずかしいなと顔を手で隠したくなった瞬間、ギラギラと尖った何かが私に向かってきているのを感じた。慌てて左手に持っている盾を使い、その何かを防ごうとする。

 鋭い衝撃と金属が当たる音。だが、盾に刺さったわけではなかった。このフミトさんから頂いた鎧と揃いの鱗の盾。この強度があったから受けられたのか、それとも何かの侵入角度にうまくあっていたのか。ともかく攻撃を逸らすことが出来たようだ。

 周りから悲鳴が上がる。通りは騒然となり、飛んできた方向の人影も一瞬で掻き消えてしまった。

「リーア!大丈夫?!」

「リーア!!無事?!」

「リーアさん! すいませんっす!!」

「申し訳ないっす!!」

「アスドバルさん、アネトンさん。ありがとう。レンティ、問題ないよ。ノンナさんも心配してくれてありがとう!」

 一緒の馬車に乗ってもらっている3人から声がかかる。アスドバルさんと、アネトンさんは護衛と言う役目で。レンティも魔法使いの護衛という事で乗ってもらっていた。ノンナさんはシザーリオちゃんと馬車の周りで護衛騎士と言う役で来てくれていた。

「左前から打たれたけど、もう誰が打ったのかわかんないね」

「リーアが目立つことを嫌がりそうなのって、やっぱりあの人かな」

「そうだと思うけど、確信はないよね。でも、直接来るとは思ってなかった。ひょっとしたら何かに追い詰められてるのかな?」

「希望的観測はやめよう。別の人というのもあり得るんだから」

「そうだね。もうちょっと気を引き締めるよ」




 〜〜〜〜〜




「何やってるんだ!!」

「俺はちゃんとやりましたよ!! あの喧騒の中普通は気づかないですよ!!」

「現にあいつは防いだじゃないか!!」

「この案は貴方が言い出したんでしょう!?」

「お前も行けるって言ったじゃないか!!」

「行けるとは言ってないですよ!! 周りの目につくから止めたほうがいいって言ったんですよ!!」

 二人の男性が言い争いをしている。一人は冒険者崩れか盗賊の様な姿。もう一人は身なりの整った貴族のような男性だ。今、表通りは戦勝パレードで人がごった返している。そのおかげで二つ裏の通りにはほとんど人が居なかった。そんなところで口論していると否が応にも目立ってしまう。

「ようやく見つけることが出来ましたわ」

「誰だ!!」

 男たちが振り返ると身なりの綺麗な女性が一人、それと兵士が4人程立っていた。

「くそっ!逃げるぞ!!」

 言い争いをしていた男性二人はいきなりの来訪者の姿を確認するとすぐに逃げ出した。

 だが、4人の兵士の方が行動が早く、剣を抜くとすぐに二人に追いつき、両脇から左右の足を剣で貫く。足を切られた男二人は痛みのために転げ、そして盗賊のような男は逃げることを諦め降参した。もう一人の身なりの整った男の方は腕だけでも逃げようと這いずりまわっている。

「畜生!!なんて日だ!!」

「しつこいですわね。汚らしいドブネズミが。ペイン」

「ぎゃぁぁぁぁ!!」

 身なりの綺麗な女性が魔法を唱えると、男は悲鳴を上げのたうちまわった。

「そんなに痛くしたつもりはないんですけれど。貴族は痛みに弱いと言うのは本当のようですわね」

「俺にこんな事していいのか!? 俺様は貴族様だぞ! お前らを支配する階級のものだぞ!!」

「あら、私を支配すると? 私が誰だと思って?」

「知るか!! そこら辺の商会の女だろうよ!」

「そうですか。では、名乗らせて頂きます。私はセリア=ハッカウゼン。本日の戦勝式典にて伯爵号を継ぐ予定のアルベルトの妻で、リスィの花屋店主、リリィの友人です。おわかりかしら、オルド=ハイネマン」

「なっ!!伯爵だとっ!! それに何故リリィが出てくる!?」

「英雄リーア、彼女の父親は貴方ですね」

「そうだよ! リーアの父親だ! その英雄様の父親が何故こんな事をされているんだ!」

「それはですね、貴方が碧玉の国の兵士を招き入れ、国を転覆させようと企んだからですよ」

「な!! 何故……それを……」

「貴方の屋敷は既に買収済みです。その中をゆっくりと調べました所、反逆者ベール=アンティカイネンとの密通がいくつも見つかりましたからね。随分と簡単な所に入っておりましたよ。それと、私は誰かと違い、相手に苦痛だけ与える魔法や毒、呪いに近い魔法も躊躇なく使いますよ。それと、この兵士は我が夫が手塩にかけて育てた隠密行動の出来る者達です。先程も体験したと思いますけど、意外と素早いのですよ」

「ぐ……ぅ……畜生、あいつが居なければ戦争には勝てたのに……!!」

「彼女の花道にゴミは不要。そっちの男も一緒に連れていきなさい。しかし、何処をどう歪んで情報が届いたのやら。でも、フミトの被害者がまた一人と。可哀想なこと」




 〜〜〜〜〜




 王宮の謁見の間近くの控え室に通される。貴族のアルドさんやダグラス様とは別部屋になると思っていたんだけど、一緒の部屋だった。今回表彰されるのは私達だけみたいだ。緊張して落ち着かない。二人が色々と話をしてきてくれるんだけど、上手く返事が出来ない。

 服装も鎧から着替え、女の子だからドレスだろうと言われたけど、着慣れてないし、そんなの来てたら恥ずかしいから男装で行く事にしてもらった。だけど、胸が上手く収まらず、事前に伝えて作ってもらっていた服もすぐに手直しする事になり、凄く申し訳ない気持ちに。そんな服装も、白いシャツに赤いベルベット生地のパンツ。同じベルベット生地で金の糸で縁取りされたベストに綺麗な鳥の羽で何箇所か飾り付けられた物。男装と言っても、なんでこんなに目立つものになっているのか、恥ずかしくて着替えの時に泣き出しそうだったけど、時間がないという事で無理やり着ることに。

 座っていると、色々な感情がグルグルと回る。そんな所に扉が叩かれ、呼び出しを受ける。一人ひとり行くかと思ったけど、全員一緒だというのが少し安心できた。二人の後ろから付いて行けばいいんだもんね。と、思ったら私が先頭で歩くことになった。

「え?!アルドさん貴族だよね?!私が前なの?!」

「今回は君が主役だよ。この国の新たな英雄の誕生と言う名目だからね」

「つまづいて転んでも助けてやるよ」

「ダグラス様まで……!」

 謁見の間の扉が開かれ、呆れ、諦め、そして操り人形な感覚で歩き始める。綺麗に整列した多くの貴族や商人、選ばれた一般人達の中を、赤い絨毯が引かれた上でゆっくり歩いて行く。柔らかい素材なので、後ろから二人が来てくれているのか足音が聞こえないので不安で振り向きたくなる。でも、こんな所で振り向くわけにも行かずにまっすぐ視線を向けながら歩いて行く。

 玉座の近くで片膝で座るように指示され、頭を垂れて座ると、王様からの挨拶があった。

「皆も知っていよう。この度碧玉の国に攻め込まれ、そしてアルベルト=ハッカウゼン、彼の指揮によって追い返し、さらには攻め込み、彼らの陰謀の元を断ち切ってくれたことを。本日はそれらを賞することにする」

「アルベルト=ハッカウゼン閣下、前へ!」

「アルベルト=ハッカウゼン、貴君は今日より伯爵を名乗るが良い。家を継ぎ、大きくして欲しい。そして褒美として碧玉の国、王都ドラケンスバーグの管轄権を与える」

 事前に聞かされていたけど、碧玉の国は蒼玉の国に併合される事になった。オルティガーラ伯は隣のラス・ダシャンをもらうことになり、オアシスの街アイルは王族の直轄地、そしてのこった王都ドラケンスバーグはアルドさんの物になった。ミカ王子達は一応戦争犯罪者として罰せられることになったけど、アルドさんに処罰は一任される事になり、どうやら王都の管理人の様な事をしてもらうつもりらしい。

「英雄ダグラス、前へ!」

「英雄ダグラス、冒険者出身の貴君だが、この度は大変尽力してもらえたそうだな。グランサッソの領地の一部を譲り渡し、名誉男爵の称号を受け取るが良い」

 ダグラス様は最初いらないとずっと言い続けていたそうなんだけど、王子様、第一王子と言っていたかな。その人に説得されて受け取ることに。

「赤い鎧の英雄リーア、前へ!!」

 もう出番来ちゃった!! 恥ずかしくて歩けるのかなと考えてしまう。なんとか震える膝を抑えつつ予定の立ち位置まで歩く。

「今回は多くのことに尽力し、そして国を救ってくれて礼を言う。元ではあるが碧玉の国の王、そして王子から礼を賜っている。そして碧玉の国の英雄の称号も。そして、我らの国にとっても貴君は英雄だ。ドラゴンを倒し、国を救う。この素晴らしい働き、国家の英雄として赤い鎧の英雄の称号を受け取るが良い」

 王様自らの手で私のベスト、胸の所に金で造られた勲章が付けられる。そして振り返って謁見の間に来てる人達に見せると大きな歓声が上がった。

 恥ずかしくて仕方がない……。フミトさん達は今どこに居るんだろう……。本当に恨みますよ!!




 〜〜〜〜




「桜!!ミソ持っていくな!!」

「いーじゃない!!まだあるんだから!!」

「いいからティアに渡せ!!料理してる途中なんだぞ!!」

「桜さん、ミソ持っていきますよ」

「ありがとナイア。あー、また減ってる。あと何日持つんだろうこのミソ」

「ほら!!桜が食べ過ぎだ!!」

「良いじゃないの!!日本人なんだもん!!」

「そんなの関係あるか!」

「騒ぐと喉が渇きますよ。メルトヒルデさんを見習ってください」

「ん?もう少しで飲水が貯まるよ」

「いつも悪いな。こんな砂漠の中じゃなければそんな事しなくてもいいのに」

「大丈夫」

「桜、あと何日歩くんだよ。山を越えてから食料が乏しくなるわ、水はないわ。肉だけなら魔獣のを食べればいいけど、野菜系がもう底をつくぞ」

「どうだろう? ごめん、わかんないや」

「おまえなー!!」




 end




1年と2ヶ月弱という長い期間お付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。

つたない文章、誤字脱字、退屈な展開、弱いオチ。多々感想はございますでしょうが、それでも読んでいただいたことにより、書く励みになりました。厚く御礼を申し上げます。


元々の始まりは、勇者や英雄とされる人の仲間で強い人いるけど、そっちにスポット当てたら面白いかな?こんな程度から出発しました。

最終話のカッコのタイトル、これは本来の主人公はこちらですと言う事です。30の魔法使いとしてはフミト視点で書かれていますが、舞台の主人公はリーアで書いています。

上手くかけたとは思えませんので、文章のスキルが上がったらもっとこうしたほうが良かった等色々思うのでしょうが、今の私にはこれが限界です。


異世界転生にしたのは、勇者を絡めるのに便利なのと、流行っていたからと言う理由です。

初物設定は、正直いらなかったかもしれませんね。ですが、きゃっきゃうふふを書くのであれば、18サイトの方でやればいいと思っていますので、こちらは出来るだけその方面には健全にと。

それに、その様な話を多く入れると、桜との絡みが難しくなりそうだというのもありました。


無双設定は矛盾しやすくなりそうだったので、最初から入れることを放棄しました。本当なら強敵に蹂躙されている所に覚醒した主人公が無双する。熱い展開ですし、自分も好きです。

ですが、今の世の中に出ているものが剣で切ったのに穴が開くみたいなよくわからないもの(お茶お濁すためにこの様なわかりづらい表現にしています)が多いので、切ったら切れるんだというような物を書きたかったというのもあります。

そのおかげで泥臭いだけな物になってしまったのは、自分の文章能力の無さと言うところでしょうか。


本当はもう少し主人公側に被害を出す予定でした。ですが、書いていくうちに自然と反れてしまいました。

やはり、自分で悩み生み出した子だと言うのでしょうか。

そのおかげで、悪の美学というか、そちらが弱く(貧弱ともいえますね)なってしまったのもありますが…。


さて、次のお話ですが、いくつか考えてあるものがあります。

1.30の魔法使いつづき。一応全3部作と言うような形で最後までは考えて有ります。ですが、1部みたいに大きく話をふくらませることが出来るかと言う不安があるので、色々と練る必要はあります。

2.感情を失くした少女のお話。一応最後までの大筋は作って有ります。こちらも派手なことはなく、地味になるでしょうね。

3.奴隷商人のお話。設定上18物になるかと思います。その為、ひょっとしたらこちらではない所で公開するかもしれません。一応最後までの大筋があり、一風変わった純愛物になるつもりです。

4.別サイトで書いている毒の物。こちらはメインで書いている物が疲れた時に書いていたものです。続きを進めるというのもありかと思っています。

5.油臭いロボット戦争物。戦争メインではなく、その中の繋がりみたいなものをメインにしたいなと思っています。設定を少しだけ。


4に関しては何も言われずとも進めるつもりです。他のはどれを書こうか考えておりません。

もし、ご意見が多いようでしたらその方向で進むかもしれませんし、まったく別のものを書きたくなるかもしれません。ただ、設定を練るのには来週投下なんてできそうもありませんので、少々お待ち頂くことになると思います。(名前を決めるだけでも大変なんですよね……。街の名前だけで3時間かけたことも……)


それでは、最後までお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。

次のお話でもお会い出来ることを楽しみにしております。

それでは、またどこかで。

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