冒険者ギルド
冒険者ギルド
冒険者ギルドは世界各国に拠点を持ち、多くの街に支店を構えている。
冒険者ギルドは多くの国に魔獣討伐という事を成し遂げているため、信頼は厚い。
その為、ある程度名の売れた冒険者であれば、他国に出向くときもギルドが保証してくれ、出入国が楽になることもある。
故郷リモの両親や友人に魔法使いとして卒業できたことを報告し、魔力無しを散々突っ込まれた後、近隣ではかなり大きい都市『アイガー』に向かい、冒険者登録をした。
マルビティンの冒険者ギルドではなく、なぜアイガーで冒険者登録をしようと思ったのかは、初心者の冒険者が夢を見て大都市に集まるという点と、魔力無しを知るものが少ないはずだという儚い希望を持っていたためだ。
しかしその希望は即打ち砕かれた。
「マルビティン魔法学院のメダル受け取りますね」
綺麗な受付のお姉さん、対面するだけでドキドキしてしまう。
「えーと、マルビティンのフミトさんですね~、あ!魔力無しのの魔法使い?!」
何故知っているんだろう……。
「あの、ご存知でしたか?」
恐る恐る伺ってみる。
「ギルド内では有名ですよ。魔力無しという前代未聞の生徒が現れたって3年位前から。私も新人の時に話を聞いてびっくりした記憶があるんです。そんな有名人が私のところに来てくれるなんて正直うれしいです。」
2年次から既に周知の事実であったのですか……。
「はは……。知っていただいて嬉しいです……」
悪名……いや珍獣扱いか?泣いていい?
「ところで、登録は何になさいますか?」
何の質問だ?
「どういう意味でしょうか?」
ここは素直に聞いてみないとわからないな。
「はい、魔法が使えないのに、魔法使い登録も難しいのではないかと思いまして」
魔力無ししか伝わってないのか……。人の噂ってやはりいい加減だな。
「あの、一応魔法使えますので……」
やっぱり魔法使いに憧れたので魔法使いで登録しなきゃね。
「え????魔法……使えるんですか……?????魔力無しなのに???」
絶句と言うか、とんでもないものを見たというような顔をしないでください。ホントに泣くよ?
「はい、普通のやり方とは違いますが、使うことはできます」
言葉だけで説得できれば良いけどな……。
「魔法使えない人でも卒業できるのかと思ってました。それで、得意な系統はどの系統ですか?」
疑いながら業務的に聞いて見るような言い方だな。
「一応どの系統も問題なく使用できます」
素直に答えておく、ここで隠してもどうせバレるし、募集にも引っかからないだろうし。
「普通……、逆属性って苦手ってなりませんか?」
ほんとですかー?って声が聞こえそうな目をしないでください。泣きますよ?
「費用がかさむ場合もありますが、基本的に全属性使えます」
理解できないかもしれないが、全部話すのも時間が掛かるしとりあえずこのくらいで。
「……そうですか。わかりました、魔法使いで登録させていただきますね。それではしばらくお待ちください」
なんとか通ったようだ。
お姉さんの事務手続きを待ってる間に周りを見回すが、いかにも新人という顔から、傷だらけの顔をした怖い人等多種多様な人が揃っている。人間、エルフ、ドワーフ、ホビット、ダークエルフ、獣人。職種なんて多種族な為、オリジナル職業を含めたら見た目では全くわからないようなのも多い。自分は一応魔法使いのローブと長尺の杖を持っているため、魔法使いと見られるとは思うが。
ここまでいろんな人が集まるのには理由がある。大きな依頼は大きな都市に集まりやすいのだ。小さな街などでは必要人員が揃わず、達成できない可能性があるためである。
「登録は終わりました。最終確認ですが、この登録内容で問題ありませんね?」
と魔法で自動書記した用紙を見せてくれる。
名 : フミト
出身 : マルビティン
性別 : 男
種族 : 人間
職種 : 魔法使い
ランク : 白級
ランクは、下から順に7つ『白級・村級・街級・都市級・地方級・大陸級・世界級』とある。
更にその上に3つ『衛星級・惑星級・恒星級』とある。この3つはほとんど名誉職である。
名誉職である理由は、例えば、村級なら村を救う位の事が最低条件。街級は、街を救うか、村を救うくらいを5回。と、どんどんハードルが上がるために、大陸級が世界で3人いる程度らしい。
冒険者に一番多い層は、街級。理由は都市級の災害や魔獣なんてそうそう拝めるものじゃないということだ。ごもっとも。
出身は、基本卒業場所になるようだ。信用出来ない人を冒険者にし、都市級以上になり、町や都市の行政との関わりを持つようになった後に、国外に情報を持ちだされることを不安視してのことだそうだ。
何年も養成所等で学んだ後、都市級まで昇る。そんな潜入任務やる人いるのだろうか?と思うが、稀に告発されるらしい。入るところで少しでも篩をかけることにより、多い危険を多少減らせる程度にはなるとのこと。
卒業場所以外では、貴族や王族、領主などの紹介により、登録されるもの。これにはお互いにリスクが有り、冒険者が不正等を働いた場合は、連名で紹介者にも罰則が行く。逆に、紹介者が不正をし、身分を剥奪されたりすると、冒険者も剥奪される。他国からの間者を防ぐためだそうだ。
「では、ギルド長に確認していただきますので、少しお待ち下さい」
金属製のギルドカードを持ちお姉さんは席を外す。
奥の席にバーテンダー風の服がとても似合うナイスミドルがいる。
あんな風に年を取ってお姉さんとイチャイチャしたいなと思いながら待っていると、
「この人って魔力無しだよね?魔法使いにして良いのかな?」
って声が聞こえる。
やっぱりそうなったか……。
「魔法見せてもらわないとダメみたいです。前例のない事なのでギルド長でもそのまま通すことはできないと」
お姉さんが戻ってきて、すまなそうな顔をする。
「わかりました。どうやって証明すればよろしいでしょうか?」
魔法使いで登録するには証明するしか無いよね。
「では、裏庭の練習場で魔法の発動をお願い致します。ギルド長も立ち会いますので。」
偉い人に見てもらえるのなら発動さえすれば心配ないよね?変なフラグじゃないよね?
「はい、では案内をお願い致します」
お姉さんについて裏庭に出る。
二人が動いたことに気づき、ギルド長も裏庭に移動する。
「すまないね、前例が無いので見せてもらうことにしたよ。魔法が使えないのに魔法使いという特例は過去にないものでね」
ギルド長はしっかりと疑っていらっしゃる。
まぁ、気持ちはわからなくはないが……もう少し信用して欲しい気も……。
「承知しております。師よりこのような事は多々あるだろうと聞いておりますので、問題ありません」
はい。嘘です。すごく傷ついています。泣いていいですか?
「ごめんなさいね、私も初めてなものでギルド長を説得できなかったのよ。」
少し嬉しい嘘をありがとう。
「構いません。それではどこに向かって魔法を放てばいいですか?属性なども合わせてお教えください」
ちょっと強がってみる。
「では、向かい側にある木人形に向けて下級火属性の魔法をお願い致します」
良かった。中級以上とかだと羊皮紙の値段がって泣くところだった。
「分かりました、では下級火属性で魔法を発動します」
在学中に作った羊皮紙バックの中から火属性の下級魔法の書かれた羊皮紙を取り出す。
ちなみにサイズがA4サイズくらいの羊皮紙だ。
それが100枚以上は入るバッグに仕上げてある。
火・水・土・風・精・光・闇・治の8属性に整理された魔法バック。
使う頻度なんて偏らないから今のところは均等に入っている。
二人はなんで羊皮紙なんか出すの?って顔をしている。
「ファイア」
羊皮紙の背面を目標に向け、魔法陣を手で触りながら魔法名を発する。
すると、火球が木人形に飛んでいき、燃やし始めた。
二人はポケーっとしながら見ていたが、
「おお、魔法は発動できるようですね。魔力無しなのにどうやって発動しているのでしょうか?」
ごもっともな質問がギルド長より飛ぶ。
「どうやら特別技能のようです。魔力が無くても羊皮紙さえあればなんとか発動できます」
魔法書に乗っているものは全部発動できると言うとこの子大丈夫?って目で見られるからやめておこう。
中級以上発動できるって知ってるのは学長と師匠と両親のみ。
と言うか、学内で仲の良かった奴に言っても「はいはい」で終わったからそれ以降言うのをやめた。
師匠からは最上級は論文に書かないほうが良いと言われ、魔道士クラスの魔法の実験は載せていない。不特定多数の人が見るかもしれない論文にそれを載せるのは将来に不安があるということらしい。魔術局の実験材料になりたいなら載せてもいいよとも言われた。
厳密には最上級が使えるのを知っているのは師匠のみとなるが。
「特別技能か。それなら納得できるな。しかし、戦士にした方が良いのでは?」
とギルド長の提案。
「魔法使いの冒険者にあこがれていたもので、魔法使いで行きたいと思います」
初志貫徹。と言うより、前衛なんてワーウルフの経験で怖かったから嫌だ。あんなのはもう二度とゴメンだ。
「そうか。これは助言というよりただの私の独り言なんだが、君の魔法使いのスタイルはそのうち限界が来るように思える。早めに前衛職への転職をおすすめするよ」
仕方がないな、というような顔をしながら独り言をつぶやく。
「はぁ。なんとか頑張ってみます」
わかったような、わからないような?
「そうか。それではこのギルドカードを渡しておくよ。おめでとう、君はこれから冒険者だ、国のため、地域のため、民のため、仲間のため、そして己のために頑張っておくれよ」
金属製のギルドカードには、魔法で印字された自分の名と出身等があった。
裏には、ドワーフの手製なのだろうか、国の紋章、後立の『ユニコーン』と、アイガーの紋章『剣と盾』が彫られてあった。
決まり文句なのかもしれないが、見事な紋章と高揚感の為に感動し、
「はい!誠心誠意頑張っていきたいと思います!」
と、初々しく応える。
ようやく魔法使いの冒険者になれた、不安な一言頂いたけど、頑張っていこう。
10/9 今後の展開のしやすさの為に、MP0を魔力無しに変更しました。意味合いは変わりません。
10/25 句読点の修正
10/30 誤字修正
2016/01/04 三点リーダ修正




