表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30の魔法使い  作者: 圧縮
本編
3/83

塩銀亭

書き溜めがあるので連日投稿になります。

いつまで続けられるのやら?

「嫁がほしい~!!」

 と酒場で叫ぶ一人の男性。


「またかい、今度はどうした?」

 食事を持ってきた綺麗な男性が言う。


「幼なじみの娘が結婚して子供できた……」

 カウンターテーブルの上に顎を乗せながら不貞腐れて親父にぼやく。


「おら、頭どけろ。料理がおけねーじゃねーか」

 言葉は乱暴なのに、見た目が美しい。

 何なのこのアンバランスな人。といつも思う。


 俺はフミト。

 魔法使いの冒険者だ。

 この美しいおっさんはハイル。

 マスターと呼んだほうがあっているのに親父さんと言わないと不貞腐れるめんどくさい人。

 ちなみにエルフ。

 元冒険者でレンジャーとして活躍していたそうだ。


「はいよ。エールおかわり」

 こちらの美しいお姉さんはエイル、もちろんエルフ。

 ハイルの奥さんだ。そしてこの店『塩銀亭』の女主人でもある。

 飲み物担当。

 同じく元冒険者で、精霊魔法の使い手。精霊魔法でのせっかんはかなり痛かった。


「なーに?またふてくされてるの?何度目よ~?」

 奥から出てくる女性はティア。『塩銀亭』の看板娘だ。

 塩銀亭の看板娘と一応言ってるが、エイルさんの方が人気があるのは内緒。

 まだ子供っぽいところがあるから、大人のエイルさんには負けるのは仕方がないのかな?

 塩銀亭を立ち上げた後、一度は冒険者になったが合わないと言って戻ってきた。

 精霊魔法とレンジャーの2職を担当していたそうだ。


「うるさい。もう数えてないよ……」

 塩銀亭開店から手伝い、ずっと通い詰めているから何度もこの状況を見られている。


「幼なじみの女の子の長女だっけか?それに子供ができたって言ったが、何歳だ?一応成人してるんだろう?」

 俺の頭グリグリやりながら聞いてくる。


「15歳だよ。成人済み。一通前の手紙には結婚したことだけ書いてあったんだけど、今回の手紙には妊娠したって書いてあったよ」

 はぁ、と溜息混じりに応える。


「フミトちゃん、また先越されたねぇ」

 クスクス笑いながら声をかけられる。


「エイル姉さん、ちゃんはやめてくれ。もう30だよ?」

 母さんとかおばさんとか言うと怖い目にあうから姉さん。

 姉さんよりは姐さんだと思うのだがこれも言わない。


「それもそうね。いい加減いい人探さなきゃ。誰かいないの?ティアなんかどう?」

 ニヤリとしながらティアに向かう。


「そうね。私の行き先がなかったら考えてもいいけどね」

 うっすら頬が赤くっている。


「はいはい。冗談ね。冗談。慰めなくていいよ」

 もう何度もこの状況になっているために慣れっこ……そろそろ泣いてもいい?


「さっさと飯食え。せっかく作った料理が冷めるのは料理人として許せん」

 俺の頭を一発叩きながらこの言葉。

 グリグリされてたから食べれなかったんでしょーが。


「いただきまーす」

 これが普段の日常風景。

 いや、凹んでるのが日常じゃ無いよ?

 ティアがこの後いつも不機嫌になるのだがなんでだろう?




 観音開きのドアが開く音が聞こえると共に、

「親父さん、フミトいるー?」

 冒険者ギルドの受付嬢で、フェリシアだ。

 フェリシアは元剣士の冒険者だ。

 剣の腕は良かったらしいのだが、成長と共に胸が大きくなり、剣が振りづらくなった為冒険者ギルドの職員となった。

 以前冗談で後ろから抱きついてみたのだが、手を回した時に手首まで指が届かなかった。

 こっちが薄い皮の鎧を来ていたとしても、サイズは推して知るべし。

 服装は女性バーテンダーみたいな格好だ。結構かっこいい。


「お、いたいた。フミト仕事だよー。それと親父さんなにか軽く頂戴。おまかせで」

 と隣の席に座り、俺のエールをグビグビいく。


「ぷはー!仕事中の酒は最高だね!」

 エールが飲み干された。


「それ、俺の……。仕事中にまた飲むのかよ。ギルド長に怒られたばかりだろう?」

 睨みながら反省を促す。


「いいじゃないの。どうせエイル姉さんのおごりでしょ?この一杯は。それにフミトに仕事手配して書類書いて、明日先方に伝えればおしまいなの。このくらい良いでしょ」

 いつもながらいい加減だ。


「まぁ、散々呑んだ後でもミスしているところを見たことがないのが不思議なんだがな。特殊技能か?つか、なんでおごりってわかった?」

 特殊技能とは、生まれながらにして備わる特別な技能。何が授かるかは運次第の良い物もあれば、生涯使わないようなものまで。一般的には1つ授かる。ただ、判定魔法などは無いので、自分で探さなければならないが。


「そんな特殊技能じゃ無いよ。私のは内緒。その顔じゃ女性絡みで何かあったんでしょ?あ、エイル姉さんエール2杯お願いねー」

 気心知れた相手は楽だが、ここまで見透かされるのは悔しい。泣いていい?


「それで、仕事は何だ?」

 これ以上言われ続けると本気で泣きそうだから会話を変える。


「エールきたー♪とりあえず、かんぱーい!」

「かんぱーい……。乾杯が先かよ」

 相変わらず適当だな。


「えっとね。仕事はね、フェスティナ商会の輸送車護衛ね。ただ新人いるから。あ、ご飯きたー♪好きなメニューじゃないの♪親父さん大好きー!」

 いっただっきまーすと言いながら食べ始める。


「船入ってきたんだ。また往復か?それと新人は何人だ?」

 こちらもモグモグしながら。


「2人だよ。ほかは前にも組んだことある人。フミト入れて5人。往復だよー。うまーい!」

 いい笑顔で食べること。


「新人2人で合計5人か。まぁ大丈夫だろう。受けるよ」

 何度も受けているので問題なしと。

「しかし、なんで新人ばかり俺に回されるんだ?」

 ここ2年ほど新人ばかりつく。


「ん?そこそこ面倒見良いのと、前衛後衛両方できるからねー。ティアちゃん今日もかわいいねー!」

 真面目に話しろ……。


「いや、俺魔法使い……」

 呆れながらつぶやく。


「どこに魔力無しでスケイルメイル常用のバスタードソードを使う魔法使いがいるの?」

 モグモグしながら呆れた顔でこっちを見る。いや、見ないで。


「古傷思い出すから言わないで欲しい……」


10/9 今後の展開のしやすさで、MP0を魔力無しに変更しました。意味は同じです。

10/25 句読点のおかしい箇所と、幼なじみの娘をもう少しわかりやすく説明箇所を増やしました。幼なじみの『こ』と読めてしまうので、幼なじみの『むすめ』とわかるような文面にさせていただきました。ご指摘ありがとうございます。


2016/01/04 三点リーダ修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ