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012話 赤い竜

「何だよ、お前は勝手なことばかり言ってると気づかないのか。」

「いや、気づいてるよ。だけど、俺の真の名前を知った。名前を知った人には死ぬまで尽くすのがこの大陸の竜なんだよ。」

「なら、初めに言う。ミミを元に戻せ。」

「分かったよ。」


ブレスは、口から軽く息を吐きミミに吹きかけた。


「………、あれ?何で私ここに居るの?」

「ミミ、ホントにミミなのか?」

「はい、そうですよ。」


この時、俺様は知らなかった。ブレスに、ミミの記憶が奪われていることが。


「ミミ早くこっちに来い。」

「あの、誰なんですか?私の知り合いなんですか?」

「おい、何冗談言ってるんだよ。」

「ブレス知ってますか?」

「はい、知ってますよ。あの人は、ミミと結婚した人ですよ。」

「おい、ブレスお前記憶を。」

「ストップ。それ以上は、話してはいけないとこを忘れたのか。」

「分かってるよ。」

「そこで、静かに見てな。」


イリアは、俺の隣で地面に座り込んだ。


「イリア、安心しろ。俺様はどんな状態でも勝つ。」


イリアの頭に手をのせて言った。


「お前は、ホントにどうにかできると思ってるのか。」

「ああ、思ってるぜ。俺様は神をも越える人間なんだよ。」

「ふん、ならどうするのか見せてもらうかな。」


シュン


俺様は一瞬でブレスの背後に行き首元に、爪をあてた。


「早く解け。解かないならブレスの首は飛ぶだけだ。」

「おい…、わかった。」


ブレスは、数分間黙って立ったまんまだった。


「おい、ブレス早く元に戻せ。」

「…………。」

「聞こえているだろブレス。」

「ちょっと、何やってるのよ。」


その声はミミだった。


「記憶戻ったのか?」

「記憶?、何言ってるのよ。頭大丈夫なの?」

「ブレスどうやったか話せ。」

「それは、イリアが話します。ブレスが使ったのは幻覚の火を解いたんです。火は燃えるために酸素を欲しがります。だけど、ブレス本人が呼吸をやめてしまったら周りの火にも影響が出るんです。」

「つまり、ブレスが酸素を吸えば周りの火も強くなる。逆に呼吸をしなかったら、周りの火はなくなる。で、いいのかイリア?」

「はい、そうです。」


俺様はミミを取り戻した。


「は~、これでいいだろ。その物騒な爪を下げてくれ。」

「ああ、約束だから離してやるよ。」


グサ


「え!」

「あまいね。だから、弱いんだよ。」

「フフフフフフ、お前の方があまいよ。」

「なに?」

「まあ、これで契約成立だな。」

「は?、何を言ってる。


俺様は、爪を見せた。


「お前その血は…俺のか?」

「正解。」


爪の血を舐めて飲み込んだ。


「これで、ブレスも俺の竜だ。」

「そうだな。」


これで、俺様は世界の竜2体従えた。

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