無関心
いついつまでそなたはわらわに無関心なのじゃろうかとわらわは夜な夜な枕をぬらしておる。
たびたび潤んだまなざしをそなたに向けるわらわといついつまでも胡乱げなおももちでわらわの言葉を聞きいれぬそなた。
幾ばくものほしぼしすらわらわの常闇に沈んだ胸懐を浮かびあがらせること適わぬままはや幾とせ。
このきょうきんを打ち明けることできぬままに涅槃へ夭折せしめてそなたが掌中の珠であったことをわらわにこうして知らしめた。
そなたはわらわの喋々をゆめゆめ介意せぬともわらわはそなたに唱えつづける。
晴らせぬうっぷんにふんまんをこのうつし世へ曼荼羅としてただひたに霊験を乞い願うわらわの憤怒は三途を越えそなたのもとへと愛憎のかたちをなし届くであろうか。
ゆくゆくはわらわも無常の風に身をまかせてそなたのように泉下へと赴くのならば辞世をここで唱えながらそなたにより添いそなたによりいっそう近しき影として常世をとざそう。
ただ最期にひとつだけ――わらわはそなたをだれよりもわかっておったのだと。
そなたがまだ孺子であったころにそなたはわらわを仕合わせにするというた。
わらわはあのときそなたが居たから今こうしてそなたの傍におる。
されどそなたはわらわに関心を抱いてはおらなんだ。
そのことがわらわはただ悲しくてしかたがなかった。
わらわの嘆きが聞こえるか。
わらわの憂いが聴こえるか。
朽ち果ててなおそなたを想うわらわの慈しみをそなたはあにはからんや。
(了)