そろそろ雨が降るよ
好きなタイプを聞かれたら、わたしはこう言おうというのを決めています。
「雨の気配がわかる人」。雷が鳴らずとも、雲が暗くならずとも、空気でそれがわかる方が好きなんです、と。
あなたは雨の気配がわかる人でした。わたしが、あ、と思った時には、雨が降るな、とポツリ、いつも先回りして言うんです。わたしもだいぶ敏感だと思うのですが、あなたはそれを上回っているようでした。
あなたが敏感なのは雨の気配だけではありませんでした。人に対しても、そうでした。最初の方、あなたはだいぶピリピリとしていました。合わない人たちと交流していたからです。そうして、次第にあなたはそれに疲れ、わたしのホスピタルにやってきたのです。
ここで、静かに本を読み、小鳥のさえずりを聞き、ときどきわたしとお話しをしたりします。するといつのまにかあなたのピリピリはどこかへと消えていきました。
「もうすぐ雨が降る」
お庭で本を読んでいたあなたはふいにそう言いました。わたしはタオルやらシーツやらを急いで中へ入れました。
すると、数分後、ザァザァと激しい雨が降ってきました。あなたは、チェアに座ってゆったりとまた本を読んでいます。そのようなことが、何回もありました。
しばらくして回復したあなたは、ホスピタルを出ていきました。上手いことやっていけることをわたしは願いました。
ここは今日も穏やかです。小鳥たちもなかよく鳴いて、誰に攻撃されることもない。あたたかな風が白いシーツを揺らしています。
わたしはお庭に出したチェアに座って本を読んでいました。すると、シーツの合間からなつかしいお顔が現れました。あなたはわたしを立たせ、チェアをガレージへと移動させました。わたしはどうしたのかと様子を伺っていると、あなたは手早くシーツやタオルを中へ入れ、わたしの手をとり部屋の中へと引き込みます。
「雨宿りにきた」
あなたがひとことそう零すと、ぽつぽつと雨が降り出しました。お天気雨でした。
わたしの好きなタイプは雨の気配がわかる人です。そうして、人の気持ちに敏感な、心優しいあなたです。




