『勝手に仲間入り!?魔物たちの忠誠心が重すぎる件』
※この話は、最弱スキル《引き寄せ》を持つ少年が、
なぜか世界最強へと“勝手に”成り上がっていく物語です。
今回は、そんな彼のもとに現れたモンスターたちが──
なぜかもう、忠誠MAXで仕えてきます。
本人は何もしてないのに、モンスターに囲まれていくリク。
「おい、誰が仲間になれって言ったよ……」
そんなツッコミ満載の異世界冒険、はじまります。
──朝。
俺は、鳥の鳴き声と共に目を覚ました。
「……あれ、なんかあったかい……」
焚き火が焚かれている。
そのそばに置かれているのは、焼かれたキノコと、肉。
いや、待て。
俺、何もしてないよな?
っていうか、寝てたよな?
「……誰が……?」
『主よ。ご朝食をご用意しました。』
──出た。昨日の狼型モンスターたち。
こいつら、夜通し交代で見張りしてたのか?
っていうか、勝手に焚き火して、料理して、俺が目覚めるのを待ってたっぽい。
「……いや、マジで何者だよおまえら……」
『我らは、魔狼族。主の“王の気”に引き寄せられ、ここに参じました。』
「王の……気?」
『神器の力に加え、主の魔力には王の印が宿っておりました。
我らは誓いを立てたのです。“最強の主”に仕えると。』
「いやいやいやいや! 俺、ただ寝ただけなんだけど!?」
狼たちは真面目な顔のまま、微動だにしない。
一匹は俺の足元に伏せ、もう一匹は森の方を睨み、
さらにもう一匹は、俺の背中に毛布をかけてきた。
──忠誠心、重すぎるわ!
「……ってか、なんでそんなに従うんだよ……」
『主の魔力に触れた瞬間、心が震えました。』
『これは従うしかない、と直感しました。』
『お慕いしてます。』
「軽々しく“慕ってる”とか言うな!!」
……はあ。
なんかもう、俺だけ世界のルール違くない?
そのとき──。
ザシュッ……!
背後の森で、木が何本もなぎ倒された。
「……またかよ。今度は何が来た?」
──現れたのは、魔狼たちよりもさらに巨大な、
鎧をまとった竜のような魔物。
けれどそいつは、俺を見るなり──
『主よ。貴殿の導きに応じ、ここに現れました。』
「おまえもかよ!!!!」
もうこれ、完全に“引き寄せ神”じゃねえか……。
──次回、
「勝手に来て、勝手に役職を決める魔物たち」
俺のスローライフは、始まる前から崩壊寸前。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回は「忠誠心MAXな魔物たちが勝手に仲間になる回」でした。
何もしてないのに朝食が出てくる。
護衛される。
崇められる。
そして、勝手に増える。
リク本人がいちばん戸惑ってます。
でもこのギャップこそ、“引き寄せ無双”の醍醐味。
次回は、さらにクセ強な魔物たちが登場予定です。
感想やブクマ、めちゃくちゃ励みになります。
「今日も、なんかいいこと引き寄せられるといいね。」
――リク