真の勇者と悪いドラゴン
その昔、ひとびとは悪いドラゴンに苦しめられていました。
悪いドラゴンは、ひとびとを襲い、食べ物や宝石をうばっていきます。
大切な人やものをうばわれ、ひとびとはいつも悲しみにくれていました。
悪いドラゴンは美しいものがとても好きでした。
悪いドラゴンはある日、とある国のお城にやってきて、そこでとても美しい少女を見つけます。
少女はその国のお姫さまでした。
「そなたはとても美しい、私の妻になるのだ」
悪いドラゴンはそう言ってお姫さまを連れ去りました。
それを知った王さまは、とても怒りました。
そして、お姫さまを助けるために、世界で1番つよい勇者を探しました。
「我こそ真の勇者だ」と多くのひとびとが名乗りをあげましたが、王さまが納得する勇者はなかなか現れません。
ある日、大きな剣を背負う若者がやってきました。
若者が大きな剣をふると岩が割れ、呪文を唱えるとかみなりをよびよせました。
剣も魔法も使えるその強さに、王さまはうなづきました。
「おお、そなたこそ真の勇者に違いない!どうか、姫と世界を救ってくれ」
真の勇者となった若者は、悪いドラゴンのもとへ旅立ちます。
途中、悪いドラゴンの仲間たちが勇者を邪魔してきたので、旅は大変なものになりました。
道中おそってくる魔物を倒し、海にひそむ怪獣を倒し、山奥に住む悪魔を倒し、そうしてたどり着いたのは悪いドラゴンの住むお城でした。
長い旅のはて、勇者は悪いドラゴンと出会いました。
「お前が真の勇者か!よくぞここまできたな。しかし、残念だ。私の仲間のためにも、お前を倒さなければならない」
そうして、勇者と悪いドラゴンの戦いは始まりました。
空を飛び、火を吹く悪いドラゴン。
勇者は旅の中で覚えた空を飛ぶ魔法と、手に入れた炎を防ぐ鎧をまとい、悪いドラゴンと戦います。
勇者と悪いドラゴンの戦いは3日もつづきました。
しかし、ついに勇者の剣が悪いドラゴンの心臓をつらぬきます。
悪いドラゴンは力なく地面に落ちました。
「そうか、私は負けたのか」
悪いドラゴンは、それだけつぶやいて目をとじました。
ドラゴンを倒した勇者は、泣いているお姫さまを連れて王さまのもとに戻りました。
「おお、勇者よ!よくぞ、姫と世界を救ってくれた!礼を言うぞ!」
その後、勇者はただの若者に戻り、平和になった世界でしあわせに暮らしました。