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第7話 グループクエストの異端児③

自作のラノベを生成AIを用いてコミック化するチャレンジをしています。


※コミックと原作で、一部地名や固有名詞が異なっています

「ユークライン」→「ニューワールド」など

<コミック>


作成中です。


<文章原作>


 目の前に現れた巨大タコは、先ほど見た巨大スライムよりもさらに一回り大きく、太くて長い8本の足をうねうねと動かしている。

 その足についている吸盤は、一つが人間の顔ほどの大きさがあり、捕まったらやっかいそうである。


 こんな怪物はたしてどうやって倒せば良いのやら……。

 もし炎魔法が使えるのなら、丸焼きして一生分のタコ焼きの具にでもしてやりたいところだが、当然私たちはまだ初級職、魔法を使えるものなどいないので、肉弾戦で挑むほかないのだろう。

 しかし、このステージは私たちが立っているドーナッツのような円状の足場の真ん中に巨大タコがいる構図になっているのだが、足場からは本体の距離は遠く、とても物理的な攻撃がとどきそうではない。


「よけろっ!」


 ユキオが叫ぶ。

 その瞬間、タコヤロウは私たちに向かって墨を吐き出す。


 ブシューーーー!


「きゃあ!」


 キャメルが叫ぶ。ちょっと墨がかかってしまったようで、服が濡れてなんだか少しエロい。「もー!くるって分かってたのに!」と言ってショートソードを仕舞って墨のついた上着を脱ぎ、腰に掛けている。髪にかかった墨がポタリと胸元に落ちる。

 なるほど、彼らはこの攻撃を避けるために構えていたのか……。

 ユキオの声に助けられて間一髪墨の直撃を避けられたものの、その墨はモクモクと霧状に変化し、あたりを暗闇で包んでいく。


 まずい。目の前が全然見えなくなった。

 もちろん、円の真ん中にいるタコヤロウの姿は全く見えない。

 こんな状態で攻撃をされたら、避けられるものも避けられないじゃないか。

 あたり全体が霧状の墨で包まれたころ、なにやら奥からゴォォと音が聞こえてきた。


 シュパァアン!


 うぉぉっ!タコヤロウの足が伸びて攻撃してきた。

 足はキャメルの体の横をすり抜けて、体をぐるぐる巻きに締め付ける。

 ウネウネと動くタコ足が細く伸びて、キャメルの白い太ももや胸に絡みついている。


「あんっ!なんで私ばっかり!」


 すかさずユキオが足に向かって切りかかる。


「おらぁっ!

 死ね!クラーケン!」


 しかし、クラーケンとかいうタコの足はひょいとユキオの攻撃を避けて素早く円の中心に引っ込んでいく。


「くそっ。

 散るぞっ!オレは12時に行く。」


 ユキオはそう言って、奥に向かってぐるりと円周を回る形で左から走っていく。

 12時とは……?

 このゲームは現実の時間と対応しているから、今は夜7時ごろのはずだが、このバカは頭がおかしくなったのか、と一瞬思ったがすぐに理解した。


「私は3時に行くわ!」


 とショートソードを持ち直し態勢を整えたキャメルが続き、右側から走っていく。

 そしてカナデが左側に走る。


「……9時」


 初めてこの子の声を聞いたな。というか、気づいたことがある。

 この子は男の子かと思ったが、女の子だった。声がアニメ声ですごく可愛い。


 それはさておき、そうすると私の時間(位置)は必然と決まる。


「6時!」


 グループメンバーの場所を散らせるのは、おそらくクラーケンの攻撃を全員一緒に食らわないためのリスク分散だろう。

 時計の針の位置、12時、3時、6時、9時と等間隔に距離をとるのだ。

 そして、本体は届かないからタコ足でこちらに攻撃をしてきたときに、切りかかれば良いはずだ。


 ゴゴゴ。


 円の中心部から、いまかいまかと攻撃の機会を伺っているような物音が聞こえてくる。


 それにしても、こんな暗闇で周囲が見えないんじゃあ、いつ攻撃されるか分かったもんじゃないな。

 それに、的確にタコ足で攻撃してきたことから想像するに、クラーケンにはこちらの居場所が見えているはずだ。


 うーん、このシステムはどこかで見覚えがあるな。


 これは……パノプティコンだ。

 パノプティコンとは、イギリスの哲学者、ジェレミ・ベンサムが作った円形に収容者を配置して中央から監視する刑務所だ。

 収容者は、ブラインドなどでお互いの姿や中央の監視者を見ることができないが、マジックミラーのように監視者のみ全ての収容者を確認することができる。

 だから、収容者はずっと監視されているのではないかと、常にビクビクとする他ないのだ。


 同様に、こちら側からは暗闇でクラーケンがいつ見ているか分からないから、ずっと攻撃に備えて怯えているしかない。……やっかいだな。


 ひたすら攻撃を避けて他のメンバーが倒してくれるのを待っていても良いのだが、私は、今までこうして上手くクエストを切り抜けてきた最後、このタコヤロウにとどめを刺してメンバーの羨望を得たいという思いがふつふつと湧き上がってきていた。

 それに、このまま順当にいけば装備が一番整っているユキオがクラーケンを倒すだろう。そして、別に私はそういう趣味はないのだが、その結果あの可愛いキャメルがユキオに好意を寄せたりするような事態になれば、なんとなくムカついてしまいそうだ。


 あいつの攻撃パターンが掴めれば……。

 そういえば、さっきは明らかに無防備なキャメルを狙っていたよな。

 もしかしてこのクラーケン、ヘンタイなのか?

 ……というのは冗談で、あのときのキャメルが他の3人と違うとすれば、墨のかかった上着を脱ぐためにショートソードを仕舞っていたことだ。その瞬間にすかさず攻撃してきた。

 ということは、こちら側のことをよく見えているクラーケンは、わざと無防備なプレイヤーを狙っている可能性が高い。

 パノプティコンでも、受刑態度の悪い収容者を集中的に監視するはずだ。


 それなら……。

 私は、中心部に向けていた体の向きを、わざと外側に向けなおした。

 相手から見れば、隙だらけのように見えるはずだ。

 そして、ショートソードを奴から死角となるように抱える。


 どうせ、暗闇で見えないのだ。どこを向いていても関係ない。

 音だけに集中して……。


 ゴオオオォォ!


 きたっ!

 私は、素早く身をかがめた。

 頭の上に鋭い風を感じる。


 シュパアアァン!


 やはり。ヤツにはこちら側がよく見えていて、無防備そうなプレイヤーを攻撃してくるのだ。

 私は、すかさず懐に隠していたショートソードを思い切りタコ足に突き上げる。


 ぎゃぉおん!


 よし、当たった。

 ……しかしこれではラチがあかない、何発も当てないとくたばらなさそうだ。

 できれば本体を攻撃できれば良いのだが、暗闇であのタコヤロウがいつこちらを見ているか分からない。もしこちらを見ていれば間違いなく簡単に避けられてしまうだろう。

 それなら……。


「キャメル!聞こえる!?

 外側の壁を見て!いいから!」


「えっ!?わ、分かったわ!」


 タコヤロウの注意を意図的に他に向ければ良いだけだ。

 その瞬間、ゴゴゴ!という音が聞こえてくる。

 だがその攻撃はこちらではない、今、間違いなくタコヤロウの攻撃はキャメルに向けている。


 私は、ピカピカに磨かれたショートソードを思い切り助走をつけて中心部に投げつける。


 ビュンッ!


 どうせタダで手に入れたショートソードだ、くれてやる!


 ぐわぉぉん!


 投げつけたショートソードはクラーケンに直撃する。

 ふふ、クラーケンてのは、本体の目が弱点だと相場が決まっているのだ。


 そういえば、現実の世界でもパノプティコンの状況に遭遇することがある。

 例えば、期末テストのときである。

 先生は、後ろの方から生徒がカンニングをしていないかチェックをしている。

 こちらからは先生の姿は見えないが、そんな時、大抵は私の方を見ていない。

 なぜなら、私はカンニングなどしなくとも、いつも点数は満点だからだ。

 そして、先生は必ず成績が悪くて素行の良くない生徒のことを、目を皿にしてずっと見ているのだ。


 ……クラーケンがキャメルを攻撃するときのように目を大きく見開いてね。


 ぷしゅーん、という音ともに、クラーケンは消滅し、暗闇が消えて奥のスクリーンに『クエストクリア!』と大きく表示される。


「おおお!

 こんなに早くクラーケンを倒せたの、初めてだぜ!」


 ユキオが目を丸くして驚いている。


「レナちゃん、すごい!」


 キャメルがこちらに向かって嬉しそうに駆け寄ってくる。

 繰り返し言うが、私にそんな趣味はないのだが、キャメルが喜んでいる姿はすごく可愛い。

 私がキャメルに向かって手を広げると、キャメルが抱き着いてくる。

 ちょっと墨がついてしまったが、まあいいか。


 カナデも、とたとたとこっちに歩いてきた。


「やるじゃん」


 意外と素直でかわいい奴だ。


「ありがと」


 しばらくキャメルの白くて柔らかい体を抱きしめていると、ビュン!とリプールの町に戻っていた。


 クリストクリアの経験値で、私はレベル10になっていた。

 これで、グループクエストは終了、グループは解散である。

 とりえあず、リプールを散策するかとその場を離れようとしたところ、キャメルが話しかけてきてくれる。


「離れるの、名残惜しいなー。

 レナちゃん、フレンド登録しようよ!」


「オレも頼む」


 ユキオからもお願いされる。

 別に断る理由もないので、承諾する。


「……ボクも」


 以外にも、カナデも声をかけてきてくれる。第一印象は不愛想な少年だと思ったが、どうやらただの人見知りの可愛い女の子らしい。

 図らずも、悪党であるはずの私に3人のフレンドができてしまった。


「えっ!レナちゃん、まだレベル10だったの!

 それなのに、あんなに強いなんて……すごいわ」


 キャメルが驚いている。

 そっか、フレンドになるとプレイヤーのレベルが分かるようだ。

 結果的にちょうどレベル10に到達して良かった……。


「はは、そんなことないよ」

「本当にすごいよ!

 また、一緒に遊ぼうね!」


 レベル詐称してグループクエストに臨んだものの、結果的に可愛い友達ができて良かった。

 ……こういうのも、悪くないかもな。


 それじゃ、もう少しリプールの町を散策してみるか。

旧作品名は、「天才詐欺師の女子高生はVRMMOでニューワールドの神になる。」です。


作者Xアカウント:@pinebookjp

※この作品は画像生成AIを使用して制作しています。

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