第3話 港町リプールで起こった詐欺事件
自作のラノベを生成AIを用いてコミック化するチャレンジをしています。
<コミック>
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<文章原作>
あっという間に労せずレベル1からレベル6まで上がったのに気をよくした私は、上機嫌で最初の町、リプールへと歩いていく。
リプールに行くまでに、多くの人とすれ違った。
私のようにこのゲームを始めたばかりであろう人が多かったが、めちゃくちゃに強そうなぶっとい剣を携えて、口から火を吹くドラゴンを連れている上級職のプレイヤーもいる。
わざわざこの初心者ステージまで何をしにきたのか分からないが、このゲームの奥深さを感じさせる。
私も早くああなりたいものだ。特段強くなって手ごわいモンスターと一戦交えたいという訳ではないが、見た目が良いほうが人を騙しやすいからだ。現実世界でも、中身はどうであれ、人はスーツをピシっと着ている人になんとなしの信頼を感じてしまうのだ。
ぴょんぴょんと跳ねるスライムを避けながらしばらく東に進むと、湊町リプールに到着した。
町は、全体的に白色の建物で統一されていて、潮風が通りを吹き抜けている。まるで、地中海の街並みのようだ。
草原よりもプレイヤーが沢山いて、なにやら世間話をしているようなグループや、頭がおかしくなったかのようにピョンピョン飛び跳ねてクルクルとまわっているもの、他のプレイヤーに剣を振り回しているもの、死んだようにずっとベンチに座って動かないものなど様々である。
流石ネトゲだけあって、1人でプレイするゲームに出てくるNPCの整然とした振る舞いとは異なり、どのプレイヤーも自由極まりない。
とりあえず、武器屋のような看板を出した店に入ってみる。
せっかくだから武器防具を装備して、一端のRPGプレイヤー面をしてみたいと思ったのである。
店に入ると、壁に剣や盾、鎧がかけられており、奥の方にはスキンヘッドのおっさんが座っている。
店内の武器防具に一通り目を通してみたところ、Lv3から装備できるものがある。その次は、Lv5。
こちらも装備できるな、頑張ってレベルを上げた甲斐があったというものだ。(私はスライム一匹しか倒していないが)
しかしながら、値札の方に目をやると、Lv5から装備可能なショートソードは400G
ゴールド
が必要だ。
対して私の所持金は、3Gである。なぜならスライムを1体しか倒してないから。
モンスターを倒すと、経験値の他にGを貰えるのだが、倒したモンスターが落とした(ドロップ)ものを拾わないと手に入らないのだ。
つまり、私はグループ狩りで経験値は得られたものの、ゴールドは全く獲得できていなかった。
となれば、やることは一つである。
そう、金を持っているプレイヤーから奪う。
良さそうな装備を持っているプレイヤーに、真正面から「金をくれ」と言ってもいいのだが、この世界では、そのような行動をする人物を「クレクレくん」と言って、侮蔑の対象となっている。
どこの世界にも悪い人間はいるものだが、クレクレくんはその中でも最弱、下っ端中の下っ端のような存在である。
私も悪側の立場としてのプライドというものがあるから、こんな情けのないやり方ではなく、もう少しは頭の捻った手段を取りたいと考えていた。
となれば、情報戦だが、ある程度金を持っているプレイヤーは明らかに私よりもはプレイ時間が長いことは間違いなく、前回のような嘘のゲームルールを前提とした騙し方は分が悪いであろう。
となると、やり方を変えねばなるまい。
400Gさえこちらに渡してくれれば、一度人の手に渡った金は取り返されないので、あとはトンズラするのみなのだが、見ず知らずの人間に貸してくれるお人好しもいないだろう。
さて、どうするか。
人が素直に他人にお金を差し出す方法……。
私よりもレベルの高そうな女性のプレイヤーが横を通っていく。
とりあえず声をかけてみる。
「あの、すみません!」
「?」
足を止めてくれた。
すかさず交渉に入る。
「お礼をするのでちょっと手伝って欲しいんです!」
「なんですか?」
「いま、新しく2体目のキャラを育ていて、こっちの方にお金が400G足りないんです」
「はあ」
「あとから本キャラでログインしてここにきて、お礼に100Gプラスして500Gを渡すので、仲介役をしてくれませんか?
ここにお金を置いておくとキャラを入れ替える間に誰かに取られそうなので……」
「なるほど、そういうことですか」
リアルタイムでゲーム内にログインしているプレイヤー同士であれば、手渡しでゴールドやアイテムをやり取りできるが、ログインしていないプレイヤーとのやり取りは出来ないことを利用した方法である。
女性は5秒ほど考えた様子をしていたが、にっこりとして首を縦に振った。
「いいですよ」
「ありがとうございます!
じゃあ、取引画面を開きますね」
「はい」
『取引画面』
相手に差し出すアイテムを選んでください
→なし
よし、このまま相手が400Gを私に渡した瞬間、おさらばだ。
本キャラなんて持っていないのだからな。
はやく、こちらに、その金を……。
取引成立を待つものの、相手はなかなか決定ボタンを選択しないようだ。
相手の女性はおもむろに口を開いた。
「あの……。疑っているわけではなく、念のためなのですが。
一度今のキャラはログアウトしてもらって、本キャラの方で500Gをもらってから、その後400Gを渡す流れにしても良いですか?」
っ!まあ、そりゃそうだよな。
相手からしたらわざわざリスクのある選択をする意味はないわけだ。
「あっ!なるほど。そうですね」
まるで、そんな安全な方法は思いつかなかったと言わんばかりの白々しさで、反応をしておく。
「それじゃあ、町ボーケという名前のキャラで来ますね」
そういって私は、ゲームのサーバーチャンネルを変えた。もちろん「町ボーケ」というキャラなど所有していないが、なんとなくムカついたのでせめてもの攻撃であった。(相手には何の落ち度もなく全くもってただの善人であるのだが、このしょうもない言動に、現実のプレイヤーがいまだ未熟な精神性のままの高校生じみたところが現れているのであった)
ふん、永遠に来ない人をずっと待っていろ。
このゲームは数十サーバーもあるので、基本的にサーバーを変えてしまえば後を追えないのだ。
このゲームは最新VR機器を使ったネトゲなので、パソコンを2台使って同じ人間が同時ログインをすることはできないようになっている。
それでも、キャラクターを複数作ることはできる。
今後のために、いくつかキャラを準備しておいた方がよいかもしれない。何かと使えそうだ。
それにしても、結果は失敗したが、ちょっと通りがかったプレイヤーに試しに声をかけてみたにしては上出来の運びだ。
何度か同じように声をかけていけば、何度目かにお人好しか、頭の回らないプレイヤーに当たって400Gをゲットできるだろう。
ただ、もう少し頭を使えば良い方法があるはず。
やはりまだここは初心者が多いステージだ。それを生かした方法の方が良いかもしれない。
私は再びスキンヘッドのおっさんがいる武器屋に戻ってみた。
私の他に何人か客のプレイヤーがいる。
そいつらを観察していると、最初にこの店にきた私と同じように、値札と財布を交互に見ては、ため息をついて店を出て行く。
ははーん。こいつらも金がなくて困っているわけだ。
こやつらが何も装備をしていないところを見ると、私が欲しいレベル5の装備よりも一段低い、レベル3の装備が欲しいのだろう。
レベル3から装備できるミニソードは300G、レベル5のショートソードは400Gである。
私は店内で呟いてみた。
「うーん。ミニソードからショートソードに変えたいんだけど、あと100G足りないなあ……」
さっきまで財布を見ていた隣のプレイヤーがピクッと反応する。
装備は何もしていない。
ソイツが私に話しかけてきた。
「すみません、良かったらそのミニソード100Gで売ってくれませんか?」
予想通りだ。
「えっ、そっか。ショートソードを買ったらミニソードはいらなくなるもんね」
「はい!」
男は、またとないチャンスとばかりに目を輝かせている。
しかし、私はミニソードの店での買取額が150Gであることを確認していた。
「でも、そうしたらこの店で売っちゃえば良いんだ。
おっ、150Gで売れるな」
男は、まずいといった顔をして焦っている。
「僕は200Gで買いますよ!」
……ふふ。焦ってるな。悪い話ではない。
あくまでも、こちらに選択権があるような雰囲気で、上から目線で答える。
「それならいいよ。
あっでも一応、先にショートソードを買ってからでもいいかな?」
男は、さも自分が優秀な交渉人になったとでもいうような顔で、嬉しそうに答える。
「ありがとうございます!分かりました」
そうして、私は男から200Gを先に頂いた。
別にショートソードを先に買ってからミニソードを売ることに合理性は何もないのだが、男はまたとないチャンスの興奮と、一度駆け引きをされた事で焦ったためか、まるで気にしていないようだ。
そして何よりこの方法が、前回の、名付けて「本キャラから2体目のキャラへの資金移動作戦」と決定的に異なる点は、男から私に声をかけている、ということである。
人間は、知らない人から声をかけられるとなかなか信用しないのだが、自分の意思で声をかけた人間は信用してしまうものなのである。
私は、男からお金をせしめた後、「あれサーバー回線の調子がおかしいな」と独り言をいって、ほかのサーバーチャンネルに移動した。
その後、他のチャンネルでも同様の手法にてなんなく200Gを手に入れた私は、無事、400Gのショートソードを購入した。
他人の金で手に入れたそのショートソードは、一際輝いて見えるような気がする。
せっかく手に入れた武器なので、試しにスライムでも狩ってみるかと町の外へ出ようとしたところ、人の集団と看板が目に入った。
『グループクエスト 経験値大量ゲットのチャンス!』
どうやら、グループを組んでクエストをクリアするものらしい。看板の周りで、一緒にクエストにチャレンジするグループメンバーの募集が行われている。
面白そうだな。ちょっと参加してみようか。
旧作品名は、「天才詐欺師の女子高生はVRMMOでニューワールドの神になる。」です。
作者Xアカウント:@pinebookjp
※この作品は画像生成AIを使用して制作しています。