第14話 不思議の森でのグループ狩りは無限ループ!? 2
自作のラノベを生成AIを用いてコミック化するチャレンジをしています。
※コミックと原作で、一部地名や固有名詞が異なっています
「ニューワールド」(原作版)→「ユークライン」(コミック版)など
5体の玉ねぎヤロウを倒しながら、私は考えていた。
想定が正しければ、この4つの別れ道の正解は、ランダムではない。
やはり何かしらの法則に基づいている。そしてそれは、このフロアのどこかにヒントがあるはず。
変化するものは、玉ねぎヤロウが現れる数だけ。
最初に3体を3人で割った時の正解は1番だったが、次の8体は3で割り切れない。
この時は、やっぱり3で割るのは関係ないかと思ったが……。
そもそも、3という数字は私たちがたまたま3人グループで来ただけであり、今回の法則と関連性がないことは十分考えられる。
8体を割るには、2。
そして、さらにその4はもう一度2で割れる……。
3の素数は3が1個で、正解の番号は1だった。
8の素数は2が3個で、2番に行ってみたが不正解。
今回の15は?
5と3で1回ずつ割れる。言い換えると、15は素因数分解すると、5×3だ。
ルートに5番はないから、因数の数字自体は関係なさそうだ。
残る変数は、素数の数。
つまり2個だ。
2番の看板の道を抜けると、そこには玉ねぎヤロウが16匹待ち構えている。
よしっ正解だ!
「正解だわ!
レナ、すごい!」
「ふふっ、ありがとう。
まず1人5体、倒そ!」
「……うん」
……。
「よし、最後の1体!とどめだ!」
3人で同時に切りかかる。
バシュ!
「やったわ!
レナ、どうして分かったの!?」
「たぶんね、この玉ねぎヤロウが出てくる数の素数の数が正解なんだと思う」
「素数?」
「……これ以上割り切れない数」
「うん。今回は、16体だったから、2×2×2×2で、素数は4個。
だから、4番が正解」
「う~ん!よく分からない!」
「……バカ」
「私が教えるから、進みましょ」
私たちは、4番のルートを進む。
すると、またまた開けた空間に出た。正解だ。
今度は、玉ねぎのモンスターが20体。
20=5×2×2で素数は3個だから、次の正解は3番のルートだ。
こうして私たちは、確実に正解ルートを進みながら、玉ねぎヤロウを数えきれないくらい倒した。
正解さえわかれば、とても美味しい狩場だ。
そんなに時間がたたず、私は中級職に転職できるレベル15まで上昇していた。
「レナ、レベル15おめでとう!」
「ありがとう。これでみんなレベル15に到達したね!」
「……レナさんありがとう」
「レナは何の職業に就くの?
私は魔法使いとヒーラーで迷ってるの」
「私は、うーん。まだ決まってないかな~。」
「悩むよね!
私どっちがいいかな?」
活発なキャメルは、魔法使いとして攻撃に参加しても良いし、ヒーラーになって仲間の回復役として活躍するのも向いていそうだ。
女性が「どっちの方がいい?」と聞くときは、パターンがある。よく、服屋さんで明るい色のスカートと、暗い色のスカートを手に取って、「どっちが似合うと思う?」と聞くやつだ。
「どっちも似合うよ」というのが無難なのだが、これは正解ではない。
そして、キャメルは心のうちでどっちにしようか実は決まっていて、背中を押してほしい……という訳でもない。
それじゃあ、正解はないのか、というとそれも違う。
キャメル本人も無意識に隠れているから、知らないのだ。
正解は、キャメルも気づいていない、その選択肢が良いと思う新たな理由を提示することだ。
「キャメルは、攻撃に参加できる魔法使いも良いけど、それよりもグループメンバーを勇気づけたり、支えたりする特別な才能があるから、ヒーラーの方がいいんじゃないかな?」
「……そっか!
そんなこと初めて言われたよ~!嬉しい!」
あと、好意を持っている人に従いたいという気持ちもある。
「レナがそういうなら、ヒーラーにしよっかな~!
カナデは?」
「……戦士」
「おー、かっこいい!
頼もしいね!」
「……じゃ、そろそろ転職しに行く?」
「行こう~」
入ってきた道にUターンして戻ると、私たちは最初に入った不思議の森の入り口までワープしていた。
念のため確認したが、獲得した経験値とレベルは戻っていなかったようで安心した。
レベル15で転職できる中級職には、次の町、クロールタウンで選ぶことができるようだ。
中級職は全部で5種類。
戦士、魔法使い、アーチャー、盗賊、ヒーラーである。
キャメルは、仲間のHPを回復することができるグループ狩りにはなくてはならない存在のヒーラー、カナデは攻撃に特化した戦士になりたいようである。
だが私の場合は、事情はちょっと異なる。
転職の目的はモンスターを倒すためではない。
このゲームで有利に詐欺行為を働き、より楽しくプレイするためである。
その趣旨から考えると、遠くからモンスターを攻撃できるアーチャーは、頑張ってモンスターを倒している他のプレイヤーを邪魔する楽しみ方ができる。
あるいは、魔法使いのショートワープスキル、盗賊の速足、忍び足スキルは相手から逃げたりアイテムを騙し取ったりするのに有利となるかもしれない。
反対に、攻撃力を高めたり、仲間を助けることに意味を感じないのだ。
不思議の森から更に北に進むと、クロールタウンに着いた。
クロールタウンは、木々をくり抜いて建物にしている町で、木と木の間はロープで作られた橋で移動する。木々の間を太陽の光が抜けている。港町リプールと雰囲気はかなり変わって幻想的な雰囲気だ。
町ですれ違うプレイヤーも、リプールの人々よりも一層洗練された印象だ。
キャメルが興奮して話す。
「すっご~い!素敵なところね!
妖精さんが住んでそう~」
「どこで転職できるのかな?」
「中心部に行ってみよ!」
3人で、木と木の間のつり橋を渡りながら、町の中心部へと近づいていく。
すると、ひと際太くて大きな木の建物が見えてきた。
『森の神殿』
「森の神殿だわ!
ここで転職できるって聞いたよ」
神殿の扉をくぐると、そこには杖を持った老人が立っている。
「おぬしら、転職をしにきたのかな?」
「はい、そうです!」
「ふむ。3人ともレベル15に達しているようじゃな。
よかろう」
「へへっ」
「どの職業に転職したいんじゃ?」
「ヒーラーです!」
「……戦士」
とうとう中級職だ。
よし、私の職業は……。