表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/25

第11話 現実世界とつながるイタチの指輪2

自作のラノベを生成AIを用いてコミック化するチャレンジをしています。


※コミックと原作で、一部地名や固有名詞が異なっています

「ニューワールド」(原作版)→「ユークライン」(コミック版)など

<コミック>


制作中です。


<文章原作>


 私は、サーバーチャンネルを変え、しばらく様子を見た後、リプールの広場の中でもひと際高い足場にのぼった。

 ここでも、多くの人で溢れている。動き回るもの、仲間と談笑するもの、ずっとその場から動かないもの。

 そして、私はおもむろに群衆に向かって取引ボードを掲げる。


「イタチの指輪売ります!緊急のため大特価!1P=2,500Gで!限定2個!」


 そう。イタチの指輪が欲しいのなら、それを売るように見せかけることで、金

ゴールド

を先に手に入れれば良いという逆転の発想だ。


 しかし、いくら多くの人がいるからといって、この場にたまたまイタチの指輪を欲しがっている人がいるとは限らない。

 ここは、お得さをアピールして、潜在的需要を掘り起こす方が得策だ。

 1P=5000Gの相場の半額、1P=2500Gとなれば、嫌でも興味が湧いてしまうのが人間である。


 しかし、正常な人間ならば、安すぎる、と疑問に思うはずだ。1P=5000Gとまではいかなくとも、4000Gほどであれば十分に買い手は見つかるはずである。

 そこで、「緊急のため大特価!」の一文である。

 人は、不自然なものであっても、それに何かしらの理由が添えられていれば、とりあえずの安心を覚えるのである。何か理由があるのだろう、と。


 極めつけは、「限定2個」である。とにかく人は限定に弱い。この時にしか手に入らないのであれば、財布の紐は緩む。

 そして、だ。2個にしたのには、他にも大きな理由がある。


 しばらくして、予想通りポツポツとメッセージが来た。


A「購入希望です!」

B「本当に1P=2500Gでいいんですか?」

C「先払いできますか?」

D「どうせ詐欺だろ?」


 反応はまちまちであるが、とりあえず、潜在需要の掘り起こしには成功したようである。

 私は、全員に同じメッセージを送った。


「先客が1名決まったので、ちょっとお待ちくださいね」


 その後で、私はずっと動かないで椅子に座っている小太りの男性プレイヤーに笑顔で近づいて行った。

 おそらく、ゲームの電源をつけたまま放置し、現実世界で他のことをしているのだろう。


「こんにちは!」


 もちろん返事はない。だが、私は気にせず一人で続ける。さも、二人で内密にやり取りをしているように。

 3分ほどして、私は小太りの男にもう一度声をかける。


「迅速にありがとうございます。また機会があればよろしくお願いします♪」


 その後、もう一度取引ボードを掲げる。


「イタチの指輪売ります!緊急のため大特価!1P=3,000Gで!残り1個!」


 値段はわざと釣り上げた。一つ商品が売れれば、次は価格を上げてみようと思うのが人間の心理である。

この少しセコい人間の行動により、かえって強欲な人間の心情が滲み出て、なおさらこの取引の真実味を高める。

 とはいえ、1P=3000Gはまだまだ破格の相場である。


 一連の私の行動を見ていたであろう、黒縁眼鏡にキャップをかぶった見込み客が私に声をかけてくれる。


「是非、買いたいです。まだ間に合いますか?」

「まだ間に合いますよ。先払いをお願いしていますが大丈夫ですか?」

「大丈夫です」


 まんまと私の戦略にはまったようである。一度取引が成立すれば(したように見せかければ)、相手に対する信頼度は格段に上がる。

 なぜなら、もし詐欺をするのであれば、最初の一人目で行うはずだからである。わざわざ二人目で裏切る必然性はない。


「それでは、6,000,000Gになります」

「はい」


『6,000,000Gを手に入れた』


 ありがとう、でも残念ながらもう会うことはないでしょう。

 私は、サーバーチャンネルを変えて闇に消えた。



 ……それにしても、今の黒縁眼鏡にキャップの姿の男、どこかで見覚えがあるなと思っていたら、思い出した。

 私が現実世界で少しアルバイトをしていたファミレスの店長だ。

 黒縁眼鏡からのぞく、やけに冷静な目が印象的だった。

 最初に面接で会ったときの店長は優しく印象だったが、少し距離感が近い人だなと思っていた。

 その予感は正しかったようで、店の中ですれ違う度にやたら私の体に触れてくるのだ。

 料理の配膳中で両手がふさがっている時に、「頑張れよ」と言って私のお尻をポンと叩いてきたときは、殺してやろうかと思った。

 いや、嘘である。本当はあまりに突然のことで頭が真っ白になった。そして、家に帰った後、何もできなかった自分に悲しくて泣いた。

 それから、お店の中で店長にすれ違わないように遠回りをして配膳をしていると、店長もそれに気づいたのか、どんどん私への当たりが強くなってきたのだ。

 そして、私は耐えられずにバイトを辞めてしまった。


 ……嫌なことを思い出してしまったものだ


 しかし、このネトゲ、ニューワールドの中では、人々は対等である。プレイヤーの性別は自分で選択することができるし、体力的な個人差はない。

 もちろん不当に暴力を振るうことなんてできないようになっている。

 一方で、頭脳で相手を騙して金品を奪うことは許されている。


 人は、自分が生きやすい環境を自ら選び取るべきだ。

 自分の生きる道は自分で選択し、切り開かねばならない。

 このニューワールドは、私にとって大変に生きやすい世界だ。

 それに、現実世界の円とゲーム内通貨のGの取引経験を得られたのは貴重なことである。

 もし私が、このニューワールドで大金持ちになれば、現実世界の円と交換することで、あの時のような嫌な思いをせずに暮らしていけるかもしれない。


 そんなことを考えながら、私は持ち前の観察力で、信用できそうな人に1P=5000Gでイタチの指輪を売ってくれるように持ち掛け、手に入れた6,000,000Gを前払いで払い、残りの4,000,000Gは支払わずに再びトンズラした。


 『イタチの指輪を手に入れた』


 やった。これでモンスターを倒した時の経験値が3倍になる。

 あとは、レベル15にあがるまで、正攻法でモンスターを倒してみようか。

 そうだ、せっかくだから、気を取り直してフレンドになったキャメルやカナデも誘ってみよう。

旧作品名は、「天才詐欺師の女子高生はVRMMOでニューワールドの神になる。」です。


作者Xアカウント:@pinebookjp

※この作品は画像生成AIを使用して制作しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ