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第10話 現実世界とつながるイタチの指輪

自作のラノベを生成AIを用いてコミック化するチャレンジをしています。


※コミックと原作で、一部地名や固有名詞が異なっています

「ニューワールド」(原作版)→「ユークライン」(コミック版)など

<コミック>


制作中です。


<文章原作>


 ナルシスト男から強奪したウッドシールドを見ながら私はうっとりしていた。

 なぜ、他人の金で食べる飯はこんなにも美味しいのか。


 改めて思うが、ネトゲの面白さは、どのプレイヤーもみな平等な環境に生きているところにある。

 生まれつき、ルックスは自分好みに設定することができるし、能力値

ステータス

も自由に割り振れる。

 平等とは、決して皆が同じ顔、性格をしていることではない。

 全ての人が同じく選択肢を持っているということだ。


 それでは、人間本来の特徴はネトゲでどこに現れるか……。

 実は、意識的に選択した、キャラの外見、職業ではない。

 本人でも気づいていない無意識の部分である。

 つまり、プレイヤー本人の本質的な性格の特徴が、現実世界よりもより顕著にキャラに現れるのだ。

 強欲なもの、見栄っ張りなもの、ナルシスト、人見知り、陰湿さ、お人好し・・・。

 現実世界では他の特徴で隠れて見えない部分が、ネトゲの世界では確実に顔を表してくる。


 相手を騙すには、相手のことをよく知ることが必要だ。

 どうしたら相手は喜ぶのか、信頼するのか。


 そして、その増幅した感情が理性を超えたとき、人は不幸の落とし穴にはまる。

 あのナルシスト男も、もう少し理性が働けば、ウッドシールドを地面に置くことなどしなかったはずである。



 そんなことを考えながら、同時に私は次の目標であるレベル15になるための方法を模索していた。

 ここは仕方なく、ちまちまとモンスターを狩っていく……はずはない。


 このネトゲでは、現実世界のお金(ゲームの通貨に対して、リアルマネーという)でゲーム内のアイテムを購入することができる。

 いわゆる、課金である。


 そしてそのアイテムの中に、レベル10から装備可能になるイタチの指輪というアイテムがあるのだが、これを装備すると、1か月の間モンスターを倒した時の獲得経験値が3倍になるのだ。

 運営側は無料で遊べるVRMMORPGと謳っているものの、このネトゲで高レベルプレイヤーとして表彰されるランカーになるためには、このイタチの指輪ほぼ必須アイテムである。

 イタチの指輪の価格は2000P

ポイント

、1P=1円だから、現実世界の価格で2,000円である。


 だがアルバイト禁止の高校生である私にとって、2,000円はそれなりに大金であるし、そもそも私が正規のルートで購入するはずはない。

 もう言わずとも分かるであろう、他のプレイヤーから騙し取るのである。


 何度も繰り返すが、このネトゲは現実の世界とは異なる倫理観で……(略)。それは、例えリアルマネーを介した取引であっても例外ではない。

 むしろ、私としてはリアルマネーが介在した方がスリルは増すので、騙しがいがあるというものである。



 さっそく、イタチの指輪を売ってくれるプレイヤーを探そう。

 このネトゲでは、リアルマネーと同価値のPとゲーム内通貨Gの間におおよその相場が存在する。

 おおむね1P=5000Gである。

 つまり、2000Pのイタチの指輪をゲーム内通貨と交換して購入するには、1,000,000Gが必要だ。

 対して、現在私の所持金は60G、……あと999,940G不足している。

 やはりゲーム内通貨のお金G

ゴールド

は、リアルマネーよりも著しく価値が低い。

 もし私がこのゲームで大金持ちになったら、リアルマネーと換金して、現実の世界でも働かずにゲームばかりして悠々自適な生活をしてみたいが、それはまだまだ遥か未来になりそうである。



 とりあえず、港町リプールでも多くの人で賑わう中央広場に行ってみよう。


 広場に着くと、池にひしめく鯉のように、わさわさと沢山の人であふれていた。

さあどうするか。とにもかくにも、現場に出てみないと話は分からない。

 魚を見ていても泳げるようにならない。おぼれても良いから、まずは池に飛び込んでみるのだ。


 私はその中で取引ボードを出して叫ぶ。


「イタチの指輪買います!1P=7000Gの1,400,000Gで!」


 人目を引くために、わざと相場よりも少し高めの価格で提案してみる。


 ちなみに、この取引のキモでもあるのだが、P

ポイント

とG

ゴールド

は直接的に取引できないようになっている。おそらく、Pをゲーム内通貨で正式に購入できるようにしてしまうと、運営側の課金収入が減ってしまうことを憂いたためだろう。

 しかしながら、その結果PとGの取引順において先手後手が発生し、詐欺を行う隙間ができてしまったのは皮肉なものである。


 しばらく取引ボードを掲げていると、使い古されたような弓を抱えたアーチャーの男性が声をかけてくる。レベルは高そうだ。


「本当に1P=7000Gでいいの?」

「大丈夫ですよ!」

「そちら先払いでも良い?」

「できれば、後払いが良いのですが……」

「いやいや、それはできないね。Pの方が価値が高いんだから、Gを先払いするのが常識だよ」


 確かにこのアーチャー男の言う通り、この世界でPとGの取引をする時は、Gを先払いするのが通例のようである。


「そうなんですね。すみません、初めてで怖くって」

「大丈夫だよ。ボクは何回も取引経験があるからね」


 何が大丈夫なのかよく分からないが、この調子ではミイラ取りがミイラになってしまう可能性だってある。


「頭金として1,400,000Gのうち、先に100,000G支払うのはどうですか?」

「それはちょっと少なすぎるよ。1,000,000Gなら考えるけどね」


 ……ふざけるな、1,000,000Gというのは正常な取引相場と同価格ではないか。相手には何のリスクもない。

 リアルマネーが介在した取引だけあって、相手のリスク許容度はかなり低いとみえる。

 それに、相手が本当に何回も取引しているということであれば、かなりの手慣れであり、おそらく即金が欲しいわけではなく、1P=7000Gという高い換金価格に惹かれているのだろう。

 そのような相手はなおさら少しのリスクですら起こさない。


 ここは、一旦引こう。


「分かりました。すみません、他を当たってみます」

「いいけど、その条件を飲んでくれる人はいないと思うよ」


 少しレベルが高いからって、上から目線の一言多いヤロウだな。

 まあとにかく、コイツのお陰で界隈での取引感覚は掴めた。


 考えられる方法は2つ。


 一つ目は、何らかの理由ですぐに大金が欲しい人間に上手く近づき、取引を持ち掛けることだ。

 先ほどのアーチャー男はすこぶる冷静で少しのリスクも許容しない態度であったが、いますぐ金が欲しい人間はある程度リスクがあっても受け入れる。

 それに、先日暇な授業中にハーバード大学の論文を読んでいたのだが、その中に、「貧困状態そのものが、人間のIQを下げる」との研究結果が出ていたことも、この方法を補強してくれるだろう。



 もう一つは、何らかの方法で1,000,000Gを先にゲットしてしまうことだ。

 Gを先払いするのが通例なのであれば、それに従ってGの方をまず稼いでしまえば良い。この方法であれば、交渉次第で1,000,000Gを貯めなくとも、例えば半額500,000Gを前払いでの取引でイタチの指輪を頂戴し、残額を支払わずにトンズラすることも可能かもしれない。

 ただ、とはいえ500,000Gですら所持金60Gの私にとってはかなりの大金であり、どのように獲得するかという問題は残る。


 といいつつも、私の腹の中では既に方法は決まっていた。

 私は、おもむろに取引ボードを掲げる。

旧作品名は、「天才詐欺師の女子高生はVRMMOでニューワールドの神になる。」です。


作者Xアカウント:@pinebookjp

※この作品は画像生成AIを使用して制作しています。

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