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アラフォーのおっさんが始める異世界スローライフ  作者: おとら@9シリーズ商業化


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特殊な食材

戦いが終わった後は、ハクの魔法の鍛錬する。


氷の玉を吐き出し、それを俺が避ける形だ。


「ハク! 真っ直ぐに撃てば良いってもんじゃない! 俺の行動を予測しろ!」


「ワ、ワフッ!」


俺がわざとらしく右に動こうとすると、ハクが先読みして右のほうに魔法を放つ。

今はまだ、動きを読めなくても良い。

これを繰り返すことで、相手の動きが見えてくるはずだ。


「そうだ! ゴブリンのように遅い敵ならいい! しかし本来は敵は止まってはくれない!」


「ワフッ!」


「良いぞっ! ……おっと、魔力切れか」


「ハフハフ……」


今のハクが撃てるのは、大体10発ってところか。

ハクも魔物を倒していけば、威力や種類も増えていくだろう。


「ハク、俺には魔法が使えん。お前を頼りにしてるからな?」


「ッー!? アオーン!!」


目を見開き、しきりに頷いて吠える。

どうやら、頼りにされたのが嬉しかったようだ。

その気持ちはよくわかる。

俺も親父さんに、初めて狩りの手伝いを頼まれた時に思ったから。


「さて、まだ日が落ちるまで少し時間があるな。ちょっと森を探索してから戻るとするか」


「ワフッ!」


「よし、決まりだな」


俺とハクはフレイムベアーと出会った森の中を探索する。

ゴブリンやオークを倒しつつ、以前は行けなかった奥の方まで突き進むと……。

何やら葡萄らしきものが目に入る。



【三色赤ぶどう】


そのまま飲むと、普通のジュース。

熱するとワインに、凍らすとバルサミコ酢になる不思議な果物。



……なんだ、この便利な果物は。


「これは絶対に持って帰らないと」


俺はナイフで茎を切り、身の部分をツボに入れる。

その後歩いていると、次は白い葡萄見つけた。



【三色白ぶどう】


そのまま飲むと普通のジュース。

熱するとワインに、凍らすとビネガーソースになる。



おおっ! これまた便利な果物だっ!


「よし! この二つがあれば、色々なソース類を作れるぞ」


「ワフッ!」


「うん? なるほど、飲みたいのか……確かに、まずは味見も大事か」


「ワフワフ」


ハクが『その通りだよっ』と得意げな表情をしている。

俺は壺からコップと皿を取り出し、その中に赤ぶどうジュースを絞り出す。

小さい皿を床に置き、ハクに飲ませる。


「ピチャピチャ……キャン!」


「そうか、美味いか。では、俺も……濃厚で美味い」


濃厚さを出しつつも、仄かな酸味が鼻を抜けてスッキリした味わいを感じる。

これなら、そのままでも十分に楽しめる。


「キャンキャン!」


「おっ、もう飲んだのか。それじゃあ、白い方もいれてっと……ほら」


「ワフッ! ピチャピチャ……」


ハクが夢中で飲むのを見て、俺も白ぶどうジュースを口に含む。


「……あぁ、美味いな」


こっちは繊細な味がして、しみじみとしてしまう。


「ハクはどっちが気に入った? 俺はこっちの白い方だが」


「ワフッ!」


そう言い、赤い方を指す。

確かに赤い方がわかりやすい味はしてるか。


「なるほど……あえて分けるなら、赤が子供用で白が大人用って感じかも」


「キャン!」


ハクが『早く早く!』と俺を急かす。

次の美味しいものを探したいのだろう。


「はいはい、それは俺も一緒だよ。ただ、その前に残ってるジュースを凍らせてくれるか? というか、できるか?」


「キャウン!」


『お安い御用だよっ!』とハクがジュースを凍らせてくれた。

これで、ビネガーソースを作らずにすむ。


「おおっ! よくやった! これで、色々と応用が利く」


「ワフッ!」


しっかりと頭を撫でて褒めてあげる。

その後、探索を続けていると……何やら黄色いものを見つける。



【繊細マンゴー】


繊細なマンゴーで、近づいて取ると苦くなる。

美味しく食べるためには、離れた場所から木から落とす。

離れるほどに甘みが増す。



ほう! これまた面白い果物だ。


「そうなると近づいてはいけないと……ハク、ここからあそこを狙えるか?」


「ワフッ」


「良いか? 身の上部分を狙って落とすんだ。さあ、やってくれ」


「スゥ……グルァ!」


ハクの頭上に氷の玉が浮かび、それがマンゴーを支えている枝を貫く!

その時既に俺は動き出していたので、上手く身をキャッチする。


「よし! 取れたっ! ハク! よくやった!」


「キャウン!」


上手くでたら、しっかり褒めてやる。

これが上達する秘訣だと教わった。


「どれどれ、これも食べてみるか」


「ワフッ!」


すでに完熟しているので、手で向いていく。

ナイフで半分に切り、ハクに差し出す。


「ほれ、食べなさい」


「キャン! はぐはぐ……キャウン!」


足をジタバタさせて顔を輝かせている。

どうやら、相当美味かったらしい。


「どれ……っ〜!?」


口に含むとドンと甘みがくる!

その後に酸味がきて、喉をすうっと通っていく……うめぇ。


「これは良いな……! もう少し欲しいな。さあ、探索を続けるぞ」


「ワフッ!」


その後も、様々なものを採取して……日が暮れる頃に森を出る。


「おっと、日が完全に暮れる前に帰りたいな。ハク、抱っこで行くぞ」


「キャウン!」


尻尾を振って、大喜びである。


どうやら、抱っこが好きらしい。


俺は興奮するハクを抱いて、都市へと急ぐのだった。



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