交差点カニバリズム――弱肉強食の掟
ストレスから拒食症で死んだ俺は、名も知らぬ惑星で、とある“交差点”に転生した。
そこは地上を縦横無尽に走る道路の上で、交差点同士が生き残りをかけて食らい合う、弱肉強食の世界だった。自らの交通量を増やして道路を太らせ、道路上を移動して別の交差点を食らう。そうして交差する道路の数と交通量を増やしていくのだ。とはいえ渋滞が頻発すると、細くても、より交通のスムーズな交差点に飲み込まれることもあり、油断はできない。
これまで俺は、転生ボーナスの矢印式信号を武器に、あまたの敵に打ち勝ってきた。このまま全ての道路を手に入れて、地上最強の座を手に入れられると思っていたのだが……そんな俺の前に、海の向こうから思わぬ強敵が現れた。
奴の名はラウンドアバウト――信号なし、一時停止なしで、あらゆる方向からあらゆる方向へと抜けられる、環状交差点だ。一瞬もよどむことなく流れる交通、そして集めた道路の数は……十万超え!?
俺は、転生して初めて路面に霜が降りるのを感じた。
ええと、なろう小説定番の……いえ、何でもありません。
生物的な道路のイメージは、昔どこかで読んだ石原藤夫の「ハイウェイ惑星」というSFからで、そこにフレドリック・ブラウン『発狂した宇宙』に出てくる路上強盗団(これが物凄く怖い!)から得た獰猛なイメージをひと垂らしして、ガチャガチャっと混ぜ合わせたら、こんなのができました。
ええ、問答無用です。
問答無用です。
ともあれ、お読み頂きありがとうございました。
楽しんで頂けましたら幸いです。
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