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カカオの訓練

 


 つい最近のこと。



 いつものように届いた新聞を見る。


 お使いワンチャンが載っていた。

 ()()でもそういう類のペットは知っている。よほど知能が高く飼い主に懐いていたのだろう。


 カカオもお使いとかできるのだろうか。


 僕には頭を撫でさせてくれ、頼んだものを「もってこい」はできるのだから、「おつかい」もできるのではないか。


 そんな朝……昼? から始まるお使いチャレンジ。




 カカオはやる気満々である。

 ご主人様は仕事に出かけているが、まぁ問題ないだろう。


 カカオに、ふもとの街で薬草やらハーブやらを買ってくることを頼む。店の場所を絵に書いて、言葉で説明する。


 動物風情に絵だの言葉だのが通じるのかと不安を覚えたが、妙にキリッとした顔で、やります、と一鳴きしたカカオを見て、やらせることにした。




 帰ってきたカカオは薬草でもハーブでも野菜でももはや葉っぱでもなく、何か草のようで草ではない動くモノを持って帰ってきた。

 お金はそのまま手付かずだ。


 お使いは失敗したらしい。


 お金を無くしてこなかっただけマシだろうか。そもそもこの動く草のようなモノは何だろうか。


 自慢げに差し出されたソレを覚悟を決めて受け取る。




 ピクピクと軽く痙攣するソレ。

 おそらく、生き物。


 マンドラゴラか何かのような、人型の根っこ…。



 叫び声聞いたら死ぬんじゃなかったっけ?


 急いで口、であろう場所を指で塞ぐ。


 むっっごおおーーっと何かを主張する声が聞こえる。

 さては殺す気だな、コイツ。



 よく見ているとあの主題歌か何かで引っこ抜かれてたり食べられたりするあの生き物に似ている。


 コレ…どうしようか。





「すりつぶしてみようかな」



 薬の材料にしよう。


 ぽつりと呟いたら、抵抗が激しくなった。なんだお前、さては身の危険を感じて凶暴になったのか。


「カカオ、すり鉢セット持ってきて」



「くぎゃあ」


 ばさりと飛んで行ったカカオを片目に、ご主人様がいないのをいいことに、リビングで準備する。


 謎の生き物は、両手が離せないと不便なので空き瓶に詰めておいた。



 カカオが持ってきた道具を構えて、さあ今からすり潰そう、としたところでご主人様が帰還してきた。


 あ、すみません、自室でやります。


 そそくさと自室に行こうとすると、止められ、怒られるのかと身構える。


「ソレ、小さなモノ、の草の形態か? ……待った、その手のものは何だ」



 怒られはしなかったが、いささか焦ったような感じで質問をされた。


 確かにコレは小さいが…。僕は正しい名称を知らないからなんとも言えない。



「カカオくんが持ってきたのです。薬にできそうな見た目なので、今からすり潰そうかと」


 すりこ木を見せつつ、瓶の中で暴れる謎の生き物を見せる。



「…どうかしましたか? コレもコレクション用に取っておきますか?」



 暴れる上に、飼い方もよくわからないので、保存が難しそうですけど。いや、ご主人様は知っている風だったな。なら大丈夫なのだろうか。



「……そうだな。貰っておこう。……次から似たようなの見つけたら持ってこい。殺さないようにな」



「はい、ご主人」


 先ほどすり鉢を見た時、ありえないモノを見る目で見られたので、もしかしたら僕は何かおかしなことを、やらかしそうだったのかもしれない。



 冷静に判断できるって素晴らしいなと思った。







「ご主人、カカオがアノ小さい薬草小人、食べちゃいました! どうしましょう」


「カカオ!」



 何事もなかったかの如く平然とするカカオだったが、僕が心配しているのはこいつじゃない。ご主人様に殺すなって言われたのに、喰われちゃったのだ。どうしよう。



 ご主人様は慌ててやってきて、カカオに飲み込んだのかお前、と口をガッと開けさせているが、カカオはぎゃあぎゃあいいながらテヘッて顔した。




 カカオ、マジで、食った。



 僕は焦った。アレはご主人様が食べたらいけないと命令したモノである。滅多に僕に指図しないご主人様が、だ。こともあろうに食わせてしまった。



「ご主人、あれ食べたらいけないモノなんです……よね?」


 真横でカカオを捕獲しているご主人様に聞く。


 怒ってはいないのだろうか。呆然とした様子だ。


 言いづらそうに口を開いて、僕に教えてくれる。


「精霊の、子供みたいな……簡単に言うと魔物よりも上位の生き物なんだ……水の国には水の精霊がいると話しただろう……そういうモノの余った魔力から生まれた生き物だ」


 水の精霊、あぁ、なんか、この前聞いた気がする。突撃ご主人様の職場訪問、をした時、王女様だかなんだかがそんなようなことを言っていた。



「推定魔物のカカオが飲み込んでしまいましたけど……」


 魔物よりすごいのではなかったか。まさか食われてしまうなんて考えもしていなかったのだろうか。



「見なかったことにしよう」



 カカオは怖いもの知らずだった。



 翌日も元気に味付けもされた肉を食していたので、やっぱり胃酸がどうかしているのだと思う。



 ちなみにコレは草の国にいる精霊の魔力でできているからこんなマンドラゴラみたいな見た目だったらしい。


 他の種類の見た目も少し気になった。



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