第8話伝説の始まり
さて、ここでバトルアリーナのルールを整理しよう。
ステージは、この半径30000メートルの闘技場。(空間を歪めて作ったらしい)実際は舞台が半径400メートル、観客席や通路を入れても600メートルだ。500倍の広さがある。
対戦形式は、サドンデス。参加人数は8000人だ。長い時は3日間続くので自給自足もしなければいけない。闘技場内には森が有り果物等は全て食べて良いそうだ。
だが、今回は違った。
まず開始直後に、二酸化炭素を発生させる。同時に自分を空気のバリアで守る。そして、5分経つと、1/4が呼吸困難で気絶していた。残りは魔法かスキルを使ったのだろう。
「何だコレは?」
「誰の魔法だ?」
「スキルじゃないか?」
戸惑いの声を上げながら闘う者もいる。うおっと!
「コレはお前の仕業だな?」
控え室の時の女の子が、俺に火球を飛ばしてきた。だが酸素が少ないためすぐに消失する。
「そうだけど?」
「厄介そうだからな、潰させて貰うぞ」
そう言いながら剣を抜いて斬りかかってきた。
対して俺は、その剣を斬った。
彼女が使っていたのは、西洋で使われていたような、諸刃の剣だ。
対して俺が使ったのは、自分で試合前に創った刀だ。『剣は相手に傷を負わせるためにあるが、刀は切断するためにある』師匠に言われたことがある。前の世界では武術を習っていた。抜刀術等もだいたい出来る。
それに俺の流派には筋トレが無い。技術重視だ。長時間の潜水などで肺活量を鍛えるため、体力もある。筋トレしなくて良いのかと聞いたら、無駄な筋肉を付けないためだと言われた事がある。師匠曰く『ちゃんと練習していれば必要な筋肉はちゃんとつく』という事らしい。
力に差はあれど技術と武器と能力で補えば勝てるのだ。…実は昨日の受付後、宿で能力付与を自分にかけたのは言うまでもない…取り敢えず《思考速度上昇》系と《身体強化》系を付与しまくった。
何も無かったら、俺が斬りかかっても、即座に斬り捨てられただろう…。それ程迄にステータスに開きがある。
「悪いな。俺は優勝しないといけないから」
「クッ。降参だ」
彼女の首元に刀を突きつけて勝負は終わった。
その後も俺に挑んできた奴がいたが、呼吸の維持に魔力を使い倒れる者がほとんどだった。が、スキルと魔法を使えなくする奴が登場。
周りの魔法使いはバタバタと倒れ、俺の能力も消え…無かった。
さて、思い出してみよう。
俺は何と願ったか?
俺は、創造する《能力》と願った。
能力はスキルにも魔法にも属さない。
よって俺は平常運転。そいつの周りだけ二酸化炭素濃度を上げて処理した。後は、特筆する事なく、開始2時間で俺以外の人は立っていなかった。
『決着がつきました。優勝者はサイトさんです』
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』