1/4
01
「兄ちゃん、もう起きろよ12時すぎてるぞ」
「んん、別に休みだしいいじゃん」
「兄ちゃん忘れてんのか?昨日、友達と会う約束したって言ってなかったか?」
「…確かに言った」
「早く支度して行けよ」
「うん…」
起き上がってみると時計は12時7分を指していた。近くに服が畳まれており、テーブルにはパンやバターが並べられていて、弟が用意したらしい。服を着替え、パンを食べていると弟はテレビでニュースを見ていた。
「この殺人事件、近所じゃねえか。物騒な世の中だな。」
有明光、眩い名前の彼は兄である僕よりもしっかりしている。彼とは4歳離れているが、僕とは違って友人が多く運動もできる。部活にこそ入っていないものの、自主的にランニングをしているらしい。僕を起こした時も走ってきた後だったようだ。
「そんなにゆっくり食べてていいのか?もう10分しかねぇぞ?」
僕は急いで口に残っていたパンを牛乳で流し込み、携帯や財布を持って玄関に向かった。
「行ってらー」
「んー」