決戦の地!
世界は果たしてどうなるのかね。
魔術発動、拡声、ロア・スクリーム。
「ヒャーーハハハハハハハハ!!!!ハロハローゥ!アンナちゃんだよぉーっ!!!」
アンナちゃんだー!
城前、入口から叫ぶ!
「第三王子と愉快な仲間達ー!あっそびーましょーー!!!」
城門は、ぶっ壊れてるけどね!
…………ぶち破られた奥に、王都の外壁門が突き刺さってるのは見なかった事にしよう、うん。お前そこまで飛んでったのかよ……。
んー。返事なし。
魔術発動、探査。
反応は……中央にある、すげえ広い大広間。何らかの魔術の反応あり。周辺に大量の兵士有り。
待ち構えられてるね。
「遊びにこないならー。こっちからいこうじゃあないか!」
乗ってやろうじゃあないか。
大広間に突き進む!途中で見かけた人は死んだ!
「行かせはせん!」
「そこのけそこのけ、アンナちゃんのお通りだー!」
通り過ぎ様に斬り……受けられた!?
「貴様の事は聞いている……このジャスティン・ルドが相手しよう!」
若い、マッチョな、美形の男。
「へぇ、いいじゃないか!受けて立とう!」
「我等がフィブラーシュの正義が元にッ!」
チッ、また正義かよ。とはいえ秤神ではないから良しとしよう。
「なら私は……シャムシャラの悦楽を元にしようか!」
楽しんでるんだろぅ?クソ神よォ。
「いざ参る!」
「相手してやんよ!」
なかなかに速い剣。
「ぉおっとぉ!」
技もなかなか。
「そうら!」
「効かん!」
対処もいい。
けどさ。
「私の相手じゃあ無いんだよねッ!」
速さで私に勝てる奴なんざいねえー!
「なんとかかんとか、速さが足りないねっ!!!」
後ろに回り込んで。
腹に剣を突き刺す!
「ぐぉおっ……!」
うお!?後ろ手に持ち替えて、刺そうとしてきた!
「まだだ……まだ終わらんっ!」
やべ、剣抜けねえ。どんな筋肉してんだよ。
「くらえっ!」
「あぶねぇなぁ!」
剣を手放して、離れる。んー、剣、後で回収しないと。
それまで一本で……なんて思ったかい?
「そぉら!くらっとけぇ!」
「ぐふぁ!」
もう一本を、投げる!刺さる!
「んじゃあ、これで行こう。」
大鎌!
「ほぅら、避けなよぉ?」
「く、っ!」
前後に剣が刺さって、動きが鈍いぜー?
「まあ、遅いよね。」
突撃。下から刈り取る!
「く……ぐぉあっ!?」
避けた、けど剣に当たって、ひっくり返る!
「アハ、終わりだねぇ?」
転がったのを、剣踏んで、もう逃げられない。
「無念……しかし、時は……!」
「サヨウナラ。」
首狩り。んー。面白い奴だった。最後、何を言ってたんだろ。
まあいいや。
剣を回収して、さあ進もう!
大広間に、到着ー!
扉を切り刻んで、爆破!
「お・ま・た・せ♡アンナちゃんとあっそびーましょーー!」
「来たか……!」
やあ、久しぶり。
「第三王子、眼鏡、チャラ男、ガキ、脳筋、光神の巫女、武人、四女、サボり魔、秤神の巫女、戦姫神の巫女、影の双子、闇神の御子。……と、第一王女、ティスカの娘、クルヌアの娘、あと情報通。かなり大所帯だねぇ。」
「全員、お前を止めるために生き残った者達だ。」
「止める、ねぇ。震えてるのも居るのに?」
「……こ、これは武者震いです、絶望……!」
ふぅーん。
「ふーーーーーん。まあいいや。で、どうやって止めるのよ。」
「教える義理もない、シャムシャラの亡霊。」
「アッハ、恨んでるかな?魔王サマ?」
「我が民の仇、討たせて貰う……!」
おー、おこってるー。
「アンナさん……お願いです、ここで止まってください!」
「ここまで来たのに?止まれって?やーだーよー。」
止まるわけないじゃん。
「なにせ、神が見ているからねぇ。いろーんな神が、さ。」
きっと、そうだろ?
「ここで止まったらそれこそ世界が終わっちまうよ!ひゃはははははっ!」
「…………そうか。」
お?
「危険、だな。」
「危険ですわね。」
「異端でしょう。」
「異端ですね。」
懐かしいなぁ、それ。
「姉上達、お気を付けて。」
「結構大変な相手だよー。」
「アンデッドも作り出す可能性がありますよ!」
おお、お前ら姉妹だったかー!あと情報通、結構調べたな。
「……学友、しかし今は敵!」
「止めてみせる!」
「今はマジでやらせてもらうぜ!」
「ウォオオ!やるぞ!」
取り巻きェ、元気だねぇ。
「……あれから俺達は強くなった。今こそ、お前を……!」
武人君。本気モードか。
「……アンナ。」
「なに。」
「本当に、止まるつもりは無いんだな?」
「聞くのはヤボってやつよ、ねえ?」
双剣をかき鳴らす。
「兄上、もはや言葉は通じないモノと……。」
「……残念だ。」
「さ、お喋りは終わりかな?」
「ああ。皆、いくぞ。」
「さあさあさあさあ来るがいい!私が、アンナが、絶望が、シャムシャラの亡霊が、貴様等を殺しに来たぞ!!!」
「発動ッ!」
突撃しようとした瞬間、足元で魔術反応!
「おおっと!」
飛び退く。……鎖!?
飛び退いた先にも、魔術反応!今度は腕!
浮かんで……魔術反応、またかよ!
今度は……なに、蔦?
「拘束しようってのかな?」
少し先で、魔術反応!……重り?
後ろに魔術反応、今度は鞭?
「何がしたい……?」
答えない。
飛んでくる鎖と蔦と手を避けながら考える。
これらは拘束用だろうね。撹乱にも使ってる。
重り、あれはなんだ。鞭も。
次に何が来るか……いや、感覚として、もう既に発動している?
……。
…………。
面倒だ。
「要はぶっ壊せばいい!」
ぶっこわーす!
「全テ破壊シテ……!」
「今ッ!」
「「光と闇の呪縛!」」
なんとっ!?下から光、上から闇!こいつら先に発動してやがったな!
大量の魔力で無理矢理弾き返す!
「かかった!」
お!?
「「「「我等が神の名の元に!」」」」
大規模魔術反応……!?
「「「「顕現する神域!」」」」
秤、戦姫、光、闇の奴らがなんかしてきたー!!!
歪む視界、空気が変わる。アイツらの都合の良い空間に変わる。
「貴様を悪、我等を正義に!」
「我等が美、貴女を醜に。」
「貴女を影に、我等を光に!」
「我等を闇に、貴様を陰に。」
「さあ、いくぞ!」
全員で突っ込んできた。む、全員動きが速い。そして私の動きが鈍い。
うーん、なんつーか面倒な……。
いやまてよ?神域だろ?
私もいけんじゃね?
「……私を生に、コイツらを死に。」
あ、動き良くなった。動けるね、これ。
……てことは、なんだ、めっちゃ準備してきたはいいけどほぼ意味無いと。
「…………はぁーーーーー。なんつーか、まあ、あれだ。」
うん。
「対策って、これだけ?」
とりあえず、突っ込んできた奴らを蹴り飛ばしておく。
「私も巫女だからね?神域なんざつくったら私も強くなるに決まってんじゃん。」
はい、巫女です。
「っふ、わかっているとも……。」
「へぇ。てことは何かあるね。」
なにがくるかな。
「ここまで、予定通りだ。」
防壁張ってたか。……私が一撃では終わらせない事を読まれてたかな。
「では、いくぞ。」
魔術反応!床から!
大量の鎖!また鎖かよ!
つーか多すぎ、視界が塞がれる。
対処するのも面倒なので、ここは大人しく捕まってみようかな?
「あー、つかまったー。これからひどいことするんでしょー。」
いつでも引きちぎれるね、これ。
「いーやー、エロいことされるーぅ。アハハハハッ!」
「……これで!」
「今こそ……!」
長い。はやくー。
「いきます!全てを浄化する光っ!」
「くらえ、全てを呑み込む闇!」
「「合成!相反する狭間の重圧!!」」
わお、魔術を合成してきた。息合わせないとできないよ、あれ。どれだけ練習したのやら。
とりあえず、結界を張る。んー、ギシギシいってる。
「魔術を叩き込め!」
「おうよ!」
で、魔術が沢山飛んでくると。これも結界で防がれる。
「発動しますわ。濃縮、魔力供給!」
おお?重圧がかなり強くなった。んー、壊れるかな?
「もう一度、叩き込め!」
あー、壊れるわこれ。どーすっかなぁ。
ガラスが割れるような音、あ、壊れた。
転移は……意味ねえなぁ。となるとどーするか。
発動中の魔術をぶつけて相殺、これかな。
発動中の魔術は……幻影。ふむ。
これでいこう。
「アハハハッ!」
ぶつける。含む魔力で、爆発させて。
相殺!爆発やべえ!前見えねえよ!
「やった!」
「これでどうだ!」
「……まて、爆発だと?気を付けろ!奴はまだ!」
「っふふふ、これでおしまい?」
風で煙を晴らす。
「……な、アンナ、その姿……!」
幻影が解除されて。出る姿……?
ああ、これね。
「っふふ。これがどうかしたのかな……?」
禍禍しく捻れた角、右眼から出る青白い炎、身体に走る魔力線。そして、魔力でできた見えざる左腕。
「何も問題はないねぇ。アハハハッ!」
今のところ、ダメージらしいダメージはなし。
むしろ、幻影に使ってた魔力分を攻撃に回せるね。
「さあ、次はなにがくるのかな?早くしないと殺しちゃうよぉ?」
「……イイダロウ。」
「イイデショウ。」
っふ、ようやくきたかい。
「我ガ神ノ正義ニカケテ!」
「我ガ神ノ加護ヲ!」
後ろから接近する反応!
「さあ、次は私達ですよ。」
「いきます。」
「っは、異端審問かい!」
双子を跳ね除けて。
「私ノ眼ニ見覚エガアロウ……!」
「オーッホッホッホ!!!イキマスワァ!!!」
四人で突っ込んできた!
「私と踊ろうってぇ?アッハハ!」
避けて、捌いて、でもまだ殺さないー。
「我ガ神ハ魔術ヲ否定スル……!」
うわ、きた!これは食らったらヤバいやつ!
……けれど。私とて、対策はする。
「ッハ!あまり私を舐めるなよ!」
魔術が使えないなら、魔力のままで使えばいいじゃない!
「吹き飛べェ!」
それに、魔術ってのは現象を世界に現すために補助するものだよ。
言ってしまえば、魔術を使わなくてもイメージで起こせる代物。
「魔術が使えねえ?ハッ、……本当にィ?」
くらえ。
「想像しな。……お前達を吹きとばす風を!」
暴風。飛ばされる四人。
「ナ……!?」
「悪いけど、魔術に関してなら私は世界の誰よりも知ってるんだよ。どういった代物で、どう発動されて、どんな事ができて、なにができないのか。」
どこをいじれば、発動できなくなるのかもね。
「もう少し考えてそれ使いな?ハハハッ!」
さてさて。
「マダイケマスワァー!」
このバーサーカーは、拘束しておこ。
「オホホホホ!ウゴケマセンワー!」
戦姫神って……。
まあいいや。
さっきから静かに、第一王女を守ってる二人に動きはない。
そろそろ飽きてきたし。
「ねえ、もういいんじゃあない?」
そろそろ始めよう?
なにをしたかったんだい、君達はさ?




