ごー、いーすと!
レイスちゃんと合流!
やっほー、アンナちゃんだー。
「お久しぶりです、マスター。」
やー、レイスちゃん。元気そうでよかった。
「申し訳ありません……。お預かりした兵が半分もやられてしまいました……。」
気にしない気にしない。
で、どんな奴ら。
「異文化の服を着崩した、細身のオーガですね。」
ふーむ。
「そういやヨムニールはちょっと変わってるんだったね。」
「ええ。建物が四角くて、石ではなく鉄と木、だそうです。また鉄の加工技術が高いですね。」
「ドワーフとオーガと人が混在してるんだっけ。」
「ええ。なんとも珍しい事に。」
「ここだけなんだよねぇ、混ざってるの。」
「……その為か、妙に強い個体が時偶に混じっております。それらを集めたものに……負けたのですよ。」
ふーむ。アンデッドに対して強いってのは?
「強力な除霊魔術を使ってきました。前線に出る奴らも、剣に除霊魔術を掛けている様で。」
「ふーむ、むむむ。」
そりゃアンデッドじゃきつい訳だ。
「どうしたもんかなぁ。」
私一人でそいつ等相手してもいいけど……レイスちゃん、満足しなさそうだしなぁ。
ふーむ。
「そういえばさ、ネクロマンシーは出来るようになったの?」
「それが、未だ。」
「ならそれ教えよーじゃん。」
イメージするだけなんだけどねぇ。
「本当ですか!ありがとうございます、さあさあ!」
近い近い。
「はい、先ずは魂を鮮明にイメージしてみましょー。」
「いきなり超難易度っ!」
行けるはずよー?だって貴女レイスだもん。
「まず自分がどんな状態なのか考えてみなよ……。」
「レイスですね!霊体ですよ!」
「コア、あるじゃん?」
「ありますね!」
「それ、魂。」
「……えっ。」
「無意識的に何重にもプロテクトがかかっているそれ、魂だから。それがほかの奴らにもあるのイメージね。」
「えっ、と……。」
「勿論、私にもある。」
「その、イメージ……んー。」
「というかレイスなら目に魔力通せば見えるんじゃね?」
「……おお!見えましたよ!マスターのどす黒いカルマがまとわりついた魂……いやまって。」
「あっはは、よく見えてるじゃんー。」
いやあ、人殺しまくって国滅ぼしまくって37564回もループしてりゃそうなるよねって。
「ほかの奴らも見てみなさいなー。」
「……流すんですかそこ……。まあいいや。いろんな色してるんですねぇ。」
「そうそう。で、魔力で鍵をイメージして。」
「鍵。」
「それを魂に突き刺して、扉を開ける感じを想像しながら回すと。」
「……あ、出来ました。」
「ならそれを、アンデッドのイメージを混ぜながら、別の鍵に変えて、もう一回閉めるのさー。」
「アンデッドのイメージ……ゾンビ……スケルトン……レイス……ヴァンパイア……。」
あ、変化した。
「見事なヴァンパイアの出来上がりですなー。」
「せ、成功しちゃった……。簡単に……。」
「これが丁寧なアンデッドの作り方ねー。」
「これで丁寧なのですか……。」
「イメージしたのが作りやすいのさー。んじゃ、次。」
荒っぽい方。
「さっき鍵をイメージしたじゃん?それを、アンデッドのイメージを混ぜた……猛毒の鋭い針とか風とかそんな感じで。」
「無理矢理入れる訳ですね……。よし、やってみよう。」
私の場合はあれ、猛毒の魔力…… 瘴気って言った方がいいのかな、あんな感じ。あんな……アンナちゃんだよ!てへ!
「出来ちゃったよ……割と簡単に……。」
「これで量産出来るねー!」
なんかヘコんでるけど大抵私の今までの時間は一体……みたいな事思ってるんだろーなー。
呪文はイメージの手助けするだけだからねぇ。実際は魔力にイメージを乗せれば全部やってくれる。
だから、魔術って便利。
禁術はイメージが凄いやりにくかったりするけどね。
「まあいいや。これからどんどんアンデッドを量産してねー。」
「ええ。ええ、ええ!やってやろうじゃーないですか!」
「ちなみに既にアンデッドになってる奴を書き換える事も可能だったりするんだけど……。」
「え?」
「例えばそこのぞんびーをだね。」
スケルトンに変更。
「その魂がどこまでのモノになれるかも関係するけどねー。適性とかさー。あと質がいいとかなり強くなるよ。」
「ど、どうやるので。」
「扉ぶっ壊して、別の扉にする感じ。」
超、荒業!
「……できたー!っしゃオラァ!」
雄叫び上げちゃってら。ぞんびーがスカルロードになったよ。……ロード!?
「え、マジ?今の魂で、それ?マジ?」
どう見てもスケルトン止まりのやつだったけど!?
「……またもやというか何というか。やーな予感するんだけど……。」
もしかしなくてもあのクソ邪神め。
「レイスちゃん。何かいつの間にか持ってたみたいなのあったら怒らないからすぐ言うように。」
「……。」
目ェ逸らした!既にあるのかい!
「見せなさい。」
「……これです。」
これは、石で出来た十字架?のネックレスか。いや、下が太い、これは剣か?
「ついでに、これも……。」
本ェ……。
「どう見ても禁書です、本当にありがとうございました。」
禁書・エリュシュー。まーーじーーーかーーーー。
鎮魂と幽冥を司る守墓神、エリュシュー。
物静か、されど内には苛烈な狂気を秘めた神。魂を輪廻に送る前に鎮める墓地の墓守。シャムシャラとも関係が深いね。そうそう、なんでも、年代の解らないほど古い朽ち果てた遺跡でも名前が出てくるらしい。
逸話はあまり残ってないけど、老齢の戦士や年老いた魔族が安らかな眠りを望んで信仰する事が多いね。
とはいえ、死者を率い使役するという話もある訳で。各地に死者を紛れさせて、それを眼として世界を見ているらしいよ。
そんな話もあるから、ネクロマンサーが信仰するのは必ずと言っていいほど守墓神だったりするよ。
かなり二面性のある神……そういえば、本当に神なのか、という話もあったね。かつてこの世界が歩んだ歴史の登場人物なのではないか、という話。
そういう議論の中でよく槍玉に上がるのが精霊王近辺とか守墓神なんだよねぇ。
まあいいけど。
「……それはそーと、なんか変化あった?」
「いえ、まだですね……。」
そっか。多分、ネクロマンシーが関係してそう。なんとなくね。
まったくー、こーいう事するなら挨拶くらいしてくれりゃいいのに。
クソ邪神とかさぁ!言えよ!いや言ったら面白くないか。
まーいいやー。
……コノ子ヲ宜シクネ。
……言ったら来たよ。律儀ねぇ。
ま、レイスちゃん鍛えるついでに巫女目指して貰おうかな。
そうすりゃ面白い方向に行けるんだろうよ、なあ我が邪神よ。
ったく……。最近妙に介入してくるねぇ。
何を考え……真意は何処に。ってね。
まあいいや。私は楽しませてもらうかなー。
あははっ。
エリュシュー。覚えておくと、いい事あるかも。いつかきっとめいびー。




