学園の、昼ッ!
金髪蒼眼巨乳美女剣士とか書くとなんか即落ちしそうだけどコイツはむしろ落とす方。
はぁい、アンナちゃんですよーう。私は今、食堂にきていまーす。生徒に混じってお昼ご飯!うめぇ。
「グリムディア侯爵様……と、隣いいでしょうか。」
お、なんだか可愛らしいお嬢さんが。
「いいとも。可愛らしいお嬢さんと一緒に食事が出来るとは、最高の昼食になりそうだね。」
「そ、そんな……私は……。」
頬染めちゃって、あらかわいい。
「わ、私も……。」
「わたくしも御一緒してもよろしいでしょうか!」
あーらら、モッテモテ。斜め隣までお嬢さん方に。うはは、ハーレムかな?
「いいじゃないか、花に囲まれて食事、優雅だね。」
もっとも、私としてはただの花としか思っちゃいねーけど。ここから華に昇華できるのはいないだろーね、とくにこの国にいちゃあね。ああ、私見だけどね。
この国嫌いだし。
まあいいや。お嬢さん方と談笑しつつ、優雅に食事。作法は完璧、食べる速度を合わせつつ。美味しく、かつ魅せるように食べてやりますとも。
そうすればほぅら、囲む外、その周りのお嬢さん方もこちらを見て頬を染める。自然な仕草で女を味方に、それが男装の麗人たる秘訣よ。アーッハッハッハ!!!クソワロ。
「ふぅ、ご馳走様。楽しく食事が出来たよ。やはり可愛らしいお嬢さん方と食べられたからかな?」
「い、いえ……わたくし達も楽しませていただきましたわ……。」
流し目で問いかければ、顔が真っ赤になる。やっべ、おもしれー。
食後はお茶。これも優雅に。ふと微笑めば、胸を押さえる仕草が見える。これが弄ぶ愉しさかね!うはははは。
思い出したようにちらりと遠くを見やれば、地雷ちゃんが取り巻きその4と食べてらぁ。うん、作法も何もなっちゃいねーけど。そりゃそーだな。庶民だし。あ、地雷ちゃん以外のお嬢さんなら庶民だろうとなんだろうと手取り足取り教えてあげましょうとも!
だって地雷ちゃん、作法を教える人はいるからね。それでダメってことは覚える気ねーんだろーよ。そんなのに教えてもねぇ。
さて、ご飯終わり。残りの時間は庭園で休もうかなぁ。ここの庭園綺麗なんだよね。もう嫌というほど見慣れたけど。一人でぼーっと出来るのはここしか無かったりする。だって私目立つし。チッ。
というわけでお嬢さん方と分かれて、庭園。侍女ちゃんは学園まで着いてきてくれるいい子。なので寮から連れてきて、ゆっくりお茶。え、お茶飲み過ぎだって?……貴族の水分補給は基本的にお茶なんだよねぇ……。昔飲んだ、コーヒーが飲みたい。隣の国にならあるけどまっずい。だから今取り寄せて、領地で美味しくなる様に改良中。どうすればいいかはループのおかげで(皮肉ね、ここ)解ってるから、それとなく、はたまた直接的に教えてるのよ。これで昔大儲けしましたとも。昔ね。(超皮肉。)
閑話休題。
にしてもさ、見飽きたと言いつつ癒される庭園だわ、ここ。視界の端に地雷ちゃんと取り巻きその2がいるけど、そんなものは私の目には見えませんの。私、目が悪くって。300m先の敵は見つけられるけどね!
「食堂の万人受けするやつもいいけど、私はやっぱりこれね。美味しい。」
「有難うございます。」
うん、本当に美味しい。美味しいお茶に、こういう一時、本当に大切だわ。荒んだ心が癒される。すでに壊れてるけどね。自覚はしてる。くはは。
穏やかな時間も終わりを告げて、午後の授業。
「いってらっしゃいませ。お部屋でお待ちしております。」
「留守は頼むわ。」
「はい。」
本当にいい子。
午後は実技。剣を降るやつね。二人組で組んで、素振りしたり打ち合ったり。まあ、なんだ。児戯。
「せりゃああああああ!!!」
お、元気な男がいる。組んでるのは取り巻きその3か。あいつは、たしか、アレ。クソ脳筋のライバル?か何かで、入学当初から剣技だと学園一番だったはず。私を除いて。
そんでもって武人。強い奴と戦うために傭兵紛いの事をする確率、95%。残りの5%は事故死。つまり傭兵紛い確定の男!すげえ!
にしてもまあまあ強いね。少なくともウチの団長よりかなり強い。これからさらに強くなるんだろ?すげえよ。これが本当の才能って奴なんだろうね。
それはそうと、私は一人でとっっっっってもゆっくり素振りしてます。案外これがキクんだわ。なんで一人かって?取り合いになるからほら。同じくらいの人同士がやったほうがいいだろう?的な事で丸め込んだ。なので一人。楽だわー。
……武人君の視線を感じながら。あ、ぶじんくんね。たけひとじゃないよ、どこの種族の人だよたけひとって。
そのままスルーして素振りしてたら。
「グリムディア侯爵様、是非私と手合わせしてもらいたい!」
武人君からアプローチ。
「手合わせかい?」
「ああ、俺は強い奴と手合わせして、上を目指したいんだ!」
「そうかい、それは素晴らしいじゃないか。とはいえ、既にかなり強いと聞いているがね?」
「いや、まだまだだ。俺より強い奴は沢山いる!貴女みたいにな!」
ほぉ。
「私が強い奴、かね?ははは、冗談を。剣は嗜む程度なんだがね……。」
「それこそ冗談、だろ?強い奴を見抜く目は持っていると自負している。貴女は、俺なんて及ばない遥か高みにいると確信している!だからどうか!」
ふむ、その目は本物かな。だからこそどんな戦いでも生き残ってた訳だし。(過去のループで。若い時に事故死する以外、大抵寿命で死んでるし。伝説の傭兵扱いされてたね。)
「……いいだろう。そこまで言うのであれば、手合わせといこうじゃあないか。」
「本当か!よろしく頼む!」
いいですとも。
「本気で来たまえ。君の実力も気になるからね。」
周りが掃ける。囲んで人二のステージの様に。
木剣を構える。さあ、遊んであげよう。
「よろしく頼むっ!」
「ああ、よろしく。先手はどうぞ?」
「有難く頂戴するっ!」
突進。直情的ではなく、身体がブレるように見えるほどのフェイントを混ぜた必殺の突進……!
素晴らしい。この歳でこれか!
「ほう、これは。」
だが私は受け流す。こんなものに斬られては元魔王軍の幹部とは言えんよ!
剣を振る動作、その予兆を少し出して、あとは殺気、というのかな。それで、そこはヤバいと回避させる。が、それは見抜かれた。いいねぇ!そこから何合も打ち合う。
「ッハァアアア!!」
「気合い充分、だがそれでは斬れんぞ?」
「っ、やっぱり、強いッ!」
おっと、下がったか。だが集中は切れてない、奇襲に備えてる。……うちの人材に欲しくなってきたかな。
「ふふ、素晴らしい。熱いね、燃えるじゃあないか。」
だが、今は実戦経験が少し足りてない。
「俺も、かなり!燃えてますッ!」
それと。
「だが熱さだけではいけないよ。冷たさも併せ持つといいかもしれない。」
「っ……ありがとう、ございますッ!」
ほう、技も織り交ぜてきたか!これはなかなかどうして、強いじゃないか!……だがね。
「それとね。」
君は絶望を知らない。
「一度、死ぬといいかもしれない。」
「死……?」
「本能から意識の全てを呑まれるほどの死の感触、そこから生きて帰る者こそが……。」
暗く、淀んだ瞳で。
「真の、捕食者になる。」
一瞬のみ、そう瞬きより短いほどの刹那。私の狂気をほんの少しだけぶつけてやる。
「ッ…………ァアアアア!!!!!」
恐怖に押しつぶされた瞳、されど向かってくる心!
「その永遠は君の一生の宝になる!」
素晴らしい、素晴らしい素晴らしい素晴らしいッ!!!
「いいだろう!己が恐怖の門を開けッ!!!」
私、今すっごい壮絶な笑みしてるッ!
真上から斬り掛かるその剣、刃を剣先で受け止めて。
「君は素晴らしい戦士となるだろうね。……生き残りなさいな。」
そのまま首元に。
「あ、あぁぁ…………。」
勝負あり、っと。あっはぁ♡
「大丈夫かな?」
呆けてるね。その顔、素敵。
「んー、だめかな。」
「し、死んでない……生きてるのか……?」
「何を言っているんだい?ただの手合わせだろう。」
「そ、そうだったな……はは、ははは……。」
「救護室に運ぶよ。」
「だ、大丈夫だ……歩ける……。」
「なら肩を貸そう。」
「すまない……。」
なんだか へんな ゆうじょうが うまれたきがする!
彼を送り届けたら、実技の時間が終わった。そういや彼、肩を回した時に私の胸に触れたんだけどなんかすごく顔赤くしてたね!あはは、巨乳ですよう。はっはっは。触り心地はどうだったかね???(後日聞いたら真っ赤になってたしなんか手が空気揉んでた。相当よかったんだね、よかったね!私でぬいたのかな???)
実技担当の教員に顔出して、と。今日は終わり。授業が終わったのでかーえろ。
んじゃまた!
男が一人落ちた気がするアンナちゃんでした。