呼び出し!
展開は投げ出すものだよ!
やあ、アンナちゃんだ。また、更に二週間。
私は今、城にいる。なんか呼び出しくらった。エイロジャルには緊急で連絡してある。
いつでも兵を出せるようにね。
「……結局、何で呼ばれたのさ。」
「グリディナ。お前がアンナ・グリムディアの可能性があるとして、グリムディア侯爵夫妻に確認をしてもらおう、という事らしい。」
親ェ。
「国王立会いの元?」
「ああ。母上も立会う。」
「見てわかるのかねぇ?」
「神殿の者も来ている。祝福を見れば、すぐにわかるだろう。」
ま、マジかよ……。
「……違ったらどーすんのさ。」
「その時は、別人だったと言う事で終わるだけだな。」
うへぇ……。
祝福なんざ隠しようがねえよ……。
こーいう時こそ助けてくんねえかなあ、あのクソ邪神。
……。
…………。
こねえ!やっぱり邪神だあんちくしょう!
そうこうしている内に、謁見の間。
「……来たか。」
「ごきげんよう、王サマ。」
久々だなーこの顔。
ちらりと見ると、王と王妃と王子全員と王女、宰相、騎士団長、大司教、そしてグリムディア一家。妹までいんのかよー。
「して、お前がアンナ・グリムディアであると言う話であるが。本当か。」
「私には解りかねますわ、陛下。」
私です。
「どうだね、グリムディア侯爵。」
「……とても、似ております。少々雰囲気は異なりますが……。」
「記憶が無い、という事ですので雰囲気が異なるのは有り得ることです。」
第三王子ィ……!
母親と妹は、確信したような目で見ていやがる。目を潤ませるんじゃない。
「では、祝福の確認をしよう。……大司教殿。」
「はい。では執り行わせて頂きます。」
……はぁ、バレちまうかー。
困りはしないけど、とっても面倒。今更戻ったとしてもねぇ。
どうにかならないかなぁ。
ならないよなぁ……。
ふふ、どうにかしてあげようか。
……イメージ、無し!?いや、白と……裂け目!?なんだ!?誰!?
「祝福の結果で……な、なんです、これは!?」
祝福の結果が、皆にわかるように大写しになっているんだけど。
《輪≒ネ申死■♪糸色白ャラカロ護・人エ人女byそれるちゃん♪》
読めねえ!!!つーかソレルテメェ!!!助かったわこんちくしょう!!!
「っぷ、くく、あはははは!!!」
皆、戸惑ってるねー。
しかもなんか書いてあるよ!
《亡霊、汝が神から伝言だよ。……隠すのもいいけどさ、堂々と名乗ってしまえばいいじゃん。それに、そろそろ、暴れてくれないとつまんない、だとさ。やったはいいが、私もそう思うよ。》
「っははは!!!了解しましたよう!」
邪神からのリクエストならしゃーないかー!
「どうなって、……お前何を笑っているのだ!?」
「いえいえ、我が神からのリクエストを承りましてぇ。堂々名乗ってしまえ、だとさ。」
ではでは、全てをふいにして、名乗ろう!
「ドォーモ、ワタクシ、アンナ=グリディナ・ディアグリムと申しますゥ。過去にはアンナ・グリムディアとも呼ばれておりましたァ。」
狂笑。
「っひひひひはははは!!!そしてぇ!輪廻神の巫女をさせてもらってまぁーす!あっははははは!!ウケる!!やっぱりバレバレだったねぇ!!!いやあ、失敗失敗!」
唖然とする奴ら!
「アンナ、なのか?しかし、これは。」
「正真正銘あんたの娘だぜオトーサマ!アッハハハ、こんな娘でごめんねぇー?????」
「お、お姉様がこんな風になる筈ないわ!」
「こんな風、こんな風、こんな風、ねぇ。どんな風がよかったのかなぁー?」
「五年間で、なにがあったの、アンナ……!」
「えー?んー。色々旅した!」
五年間、か。私はもっと年季入ってるよ。
「はぁー、にしてもさー。私が々楽しくやってたってのに、わざわざ呼び出してさー。ほんっと、かなーり迷惑だっつーの。つーかなに、私見つけてどーするつもりだったのさ。コイツにゃ婚約者いるしー。私コイツとなんてやだしー。つーかまずなに、今から貴族としてのお勉強しましょうねー、なんて言うつもりだったのかしらぁ?んな事するくらいなら私なら神殿にぶち込むかな!あー、それが目的?邪神の巫女だからねぇー、その力はかなり有効だろーね!アッハハ、ゴメンだけどね!つーかそもそもの話この国私嫌いだしー!使えねーしー!生贄くらいにゃなるかもねー?輪廻にぶち込んで次の生命にしようぜはっはっは!つーわけでわけでわけでぇーーーー!!!!!」
狂笑浮かべて、獰猛に嗤って、畳み掛ける様にくっちゃべって。
エイロジャルに緊急通信、トキハキタ。
さてと。
変身☆
「そゥらァ!!!いっくぜェーーー!!!!アンナちゃん大変身ー!!!巫女巫女モーーーード!!!!」
右眼から噴きでる魔力の炎。身体を走る魔力線。二本の禍々しく捻れた角。ふわりと浮かび、双剣を構えて。
祝詞を騙る。
「右ノ剣ハ死セル希望ヲ。」
右の剣を広げ。
「左ノ剣ハ生キシ絶望ヲ。」
左の剣を広げ。
「右ノ脚ハ生ナル道ヲ。」
脚を伸ばし。
「左ノ脚ハ死ヘノ道ヲ。」
揃えて真下へ。
「右ノ腕ハ死ヲ与エ。」
力を込め。
「左ノ腕ハを生ヲ与エル。」
されど弛緩させる。
「右ノ瞳ハ旧キ時ヲ。」
炎を煌めかせ。
「左ノ瞳ハ未知ナル時ヲ。」
全てを射抜く眼差しで。
「冷徹ナ貌ニ愉悦ノ眼差シ。」
全ては我が獲物。
「口ニ浮カブハ凄絶ナ嗤イ。」
さあ、嗤おう。
「禍ツ捻レタ角ハ生ト死ノの威容。」
走る線を煌めかせ。
「輪廻神ガ巫女、アンナ・グリムディア。イザ参ル。」
行くとしようじゃないか。
「シャムシャラノ亡霊ガ、貴様等ヲ殺シニ来タゾ……!」
底の無い、絶望の闇に!!!
「全テ我ガ手デ輪廻ニ帰ラン……!」
「ヒッ……!」
「あ、アンナ……!」
驚愕、恐怖。
ニタリとわらって!
「最早貴様等トノ縁ハ無イ……。」
バイバイ、オトーサマ!また次の世界ね!
「い、嫌……!」
そして、オカーサマ!
「いや……いやぁ……助けて、お姉様……!」
慈悲は無いよ!
全部腹からかっさばいて!背骨を掴んで引きずり出す!
もちろん、首付きでね!
「アハハハハハハハハハハハハハハ!!!私ニ捧ゲヨ、貴様等ノ魂ヲ!」
禁術、スナッチャー!ふはは、魂を引きずり出してくれるわ!
王、王妃、大司教を引きずり出す。
で、それを……喰らっちゃいます!最近これが以外と美味ぇの。質のいい魂ほど美味くてね!
人の肉は不味くて食わないけど、人の魂は美味くて食うよ!
うーん、美味なりー。
「ぐ、グリディナ!やめろ!」
言うの遅くね、第三王子。
「神ノリクエストニハ答エナイトネ???」
だからやめなーい。
あ、そうだ。面白い事思い付いた。
「第三王子……。第一王女ト共ニ行クガイイ。」
あえてこいつらを残しまーす。うふふ、楽しいかも。
「ソシテ貴様等ハ……。」
騎士団長と、第一、第二王子。
「死ネ♪」
適当に首狩り。はいサヨナラ。
「っはー。楽しいねぇ、楽しいよ!このまま暴れ回ろう!」
巫女巫女モードしゅーりょー。あとはじぇのさいだーなアンナちゃんの時間だよ!
あ、第三王子が王女連れて逃げてった。そーいうのはしっかりしてんだよなーあいつ。
さてと、まずは城をまわろう!
いっくぞー!
リクエストならしょうがないね!さあ、楽しい時間の始まりだよ!
エイロジャルの兵士が殺す分、残るのかこれ。




