めんどーねー。
問い詰められるアンナちゃん。
やっほー、アンナちゃんだよー。あれから一週間経ったよー。
あの時の発言が問題になったとかなんとか。私は間違った事言ってないんだけどなぁー。
で、愛国心あふれる奴らから敵視されてまーす。
悪い噂広めたりとか。
いやはや、面白いよねー。
今日も朝ご飯が美味しい!
「おはよう、グリディナ。」
「おはよー、第三王子ー。この国って、ほんと面白いよねぇ?」
「……ノーコメントだ。」
「王子だしねぇ、下手な事は言えないよねぇー。あっははは。」
第三王子はよく話しかけてくるね。
「おはようございます、グリディナ様。」
「おはー、光の巫女ー。」
光の巫女は名実ともに光の巫女になりましたー。ぱちぱちー。
「その、大丈夫ですか?」
「何がぁ?」
「その……。」
「それは私も気になりますね。噂の真偽も含めてね。」
クソ眼鏡ぇー。
「グリディナちゃんがそんなコトするわけないでしょーがー!」
と、チャラ男。
「食堂で揃うの、久しぶりじゃなーい?」
「そーだねぇー!」
「でしたら、私達もご一緒してよろしいかしら?」
「ごはんだよー。」
四女とサボり魔。
「私もいますよぅー。」
と、情報通。
「勢揃いじゃん、どったの。」
「その、ね。」
「凄い噂を聞きましてー。それの真偽を確かめにー。」
「どんな噂?」
わざわざ全員が確認に来る噂ねぇ。
「その、だな。幾つかあってだな……。その組み合わせがな。」
「ま、まず一つ、エイロジャルに情報を流してるって噂。」
「何当たり前の事を噂にしてるのよー。隣国に来たんだから、色々と報告書書くに決まってるでしょーに。それが悪い事だったら、報告書という物が悪だね!即刻やめさせないと!まず紙から廃止だねー!」
あはははは、あほらし。
「まあ、そうなるでしょうね。では、二つ目。……貴女は、エイロジャルでも指の実力者だとか。」
「コロッセオで勝ち抜いた事あるよー。屈指かはしらないけどー。ま、実力者かって言われたらそうかもねー。弱者を寄越すわけないでしょって前も行ったし。」
あほらし。
「そりゃそーだよねぇー。んじゃ、三つ目いきまーす!……グリディナちゃん、エイロジャルのかなり新しい、魔術で名を上げた貴族らしいじゃん?」
「そだよー。私の家……いや、言っちゃおう。私が、あの国の魔術を発展させた。最新の貴族、ディアグリム伯爵だよ。」
エイロジャルは私が育てた。
「す、すごいですわね……。では、四つ目。貴女は、魔族?」
「どうだろうねー。魔族のような格好は出来るけど、私は人間だ。確信してるよ。」
なんだそりゃ。
「ふーむ。では、五つ目。五年前、魔王領行った?」
「それ噂にして面白いのかなぁ。ただの目撃証言じゃないのかな……。んー、行ったよー?」
わけわかんねー。
「ま、これは確認ですから。では六つ目!……守護神の森に入りましたか?」
「まさかー。あそこ入ったら処刑でしょー。入んないよ面倒だし。」
過去では沢山入ったけどね。
「……では、私から。……なあ、グリディナ。」
「なによー。」
「お前の国が、戦争の準備をしているというのは本当か?」
「んー、いつもしてるけど。軍事演習なんか毎月欠かさずあるよ。月に二、三度あったりする時もあるし。」
そんな国だし。
……変な質問ばっかり。噂なの?これ。
「まあ、そう言うな。次だ。……お前、先程自分が家を興した様な事を言っていたな。」
「そだよー?」
「何故その家名にした。」
あー。簡単だからって理由だったから考えてねーや。やべー。
「……なんでだろーね?パッと頭に浮かんだんだけどねぇ。」
これ、バレるかなぁ。
「ふむ……。」
「グリディナさん。私からの質問です。魔王領に行った、と仰っておりましたが……その前は何処に?」
追求してきたよぅ。
「北に。その前は、東。」
嘘は言ってないよ?
「……正直、何を疑ってるのかな。私が敵国のスパイみたいな質問もあったかと思ったら、私の過去を探ったり。しかも、どれも繋がらないし。なんなのさー。つーか噂はどーした。」
「……そうだな。色々確認したんだ。……噂についてだが。大きく纏めて、二種類あってな。」
ふむー。
「一つ、お前はエイロジャルから来た、国内情勢を流すための外患という噂。」
間違ってない、つーかあってる。
「そしてもう一つがだな。……お前が、アンナ・グリムディアなのではないか、という噂。」
大正解!!!!!おいバレてんじゃねーか!!!誰だ!!!
「これらの噂について、真偽を問う。……正直、答えなくて良いとは思う物もあるが。どうなんだ、グリディナ。」
ふむ。どうすべきかな。
「まず確認したいんだけど。この二つの噂、これを問う事がどういう意味になるかわかってるのかな。」
「……一つ目は、エイロジャルとの関係悪化に繋がるな。」
「肯定しようとも、否定しようともね。」
「故に、これは答えなくて良いと私は判断するが。……今はまだ、そちらの国と敵対したくないからな。」
「良い判断だよ。……そーだね、これは聞かなかった事でいいかな?」
「ああ。」
はい、茶番。
「では二つ目。これについてはどうなんだ。」
「これ、答えるとどーなるんだろうね。答えによっちゃ、大混乱じゃないの。」
ねえ、四女。そうだろ?
「私は、構いませんわ。」
お、おお。
全員、私を見てるねぇ。うーん。どうしようね。
「……そーだね。答えはノーだ。だがイエスでもあるね。」
「……どういう事だ。」
「私はね、五年前あたりから記憶が無いんだよ。」
嘘。
「色々な所を彷徨い歩いて、アンナという名前だけ覚えてたよ。」
大嘘。
「だからさ、私がそれなのかどうなのかは私にもわかんないんだよねー。」
真っ赤な大嘘!!!
「アッハ、でも今はグリディナだよ!過去がなんだったかは知らないけどさ、私は私!」
はい、この話おわりしゅーりょー第三章完!いいね!
「さー、そろそろ授業行かないと遅れるよ!ハリー、ハリー!」
授業授業。
ああ、適当にやりすぎたかなぁ。これは面倒くさいぞ。
いやまだおわんねーよ。




